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「NPO法人会計基準」を学んでNPO法人経営支援へ

FATという研究会に参加しています。デブが集まった会ではありません。Finance,Accounting,Tax,の頭文字をとって命名した、財務・会計のための研究会です。

過日その「FAT」で講師をしてきました。テーマは「NPO法人会計基準について」です。

僕も決してNPO法人会計基準に詳しいわけでもなく、まして専門家なわけでもありません。昨年の11月、ある研究会でレクチャーを受けてから少しずつ学んでいきました。

入門テキストとなるような書籍は見つけられなかったので、ネットで探しました。「NPO法人会計基準」で検索すればいろいろと出てきます。なんだかんだいって一番わかりやすいと思ったのは、この会計基準を作った「NPO法人会計基準協議会」が提供しているこのサイトでした。

サイト内からダウンロードできる
『NPO法人会計基準ハンドブック』(2017年12月改正版)
を一通り理解できれば、困らないと思います。

ただ、正直まどろっこしいと思ってしまう部分があります。会計初心者でもわかるように書いてくれているのですが、診断士であればそこから説き起こさなくてもいいでしょう、と思う部分が多々ありました。
逆に言えば、企業会計について知見があるような人にとっては、企業会計と何が違うのかに絞って学んだ方がわかりやすい。僕がまどろっこしいと思ったところはカットして、「違い」に焦点を合わせて財務・会計をともに学ぶ仲間にシェアするのは意義があるだろうと思ったのでした。

■中小企業診断士によるNPO法人支援のニーズ


もともと僕は、中小企業診断士、特に企業内診断士がもっとNPO法人の経営支援に関わった方がいいと考えていました。

NPO法人を運営されていうる方の多くは、経営に詳しくありません。自分なりの想いなり社会的使命なりをもってNPO法人を設立することがほとんどで、儲けようと思って設立する人はまずいません。儲けようと思うなら企業にするはずで、儲けようと思ってNOP法人を設立するならそれは、助成金詐欺を狙っているのだと疑った方がいいくらいです(笑)

しかし、想いを達成するためにはNPO法人の活動が持続していく必要があり、そのために少なくとも、継続して活動が続けられる程度には儲けを出さなくてはなりません。そこに診断士がNPO法人を経営支援するニーズがあると考えてきました。

■NPO法人支援も実務従事の対象に

ところが、更新登録の要件(5年間で30ポイントとらないと更新できないという要件)となっている実務従事の対象にNPO法人はなっていなかったため、支援をする積極的なモチベーションは起こりにくかったのです。社会的に意義があるとわかっていても、30ポイントをどうやって取ればいいか頭を痛めているような企業内診断士にとってはなかなか手が出しにくい領域でした。
それが2019年、医療法人や社会福祉法人とともに、NPO法人(特定非営利活動法人)実務従事の対象として追加されたのです。

中小企業診断士の新規及び更新登録の要件となっている実務従事の対象拡大について(令和元年 7 月 31 日)

これで心置きなくNPO法人の支援に取り組めるようになった、また、仲間を誘えると思いました。

■診断士サイドからNPO法人支援のメリット

診断士側から見た場合もメリットが考えられます。勤務先に副業禁止規定がまだあり、報酬を受け取れない人は多いと思われます。そうした人はこれからどんどんNPO法人支援に取り組むといいと思います。


「僕らは企業内診断士なので報酬はいただきません。ボランティアで支援します!」

と謳うことが美しいと僕は考えていません。金額の大小はあるにせよ、ちゃんと報酬をいただくのが筋だと思います。最初から無料診断を売り文句にするのは、生業として診断士の仕事をしている人たちに失礼だと思うのです。

ただし、NPO法人であれば別な考え方ができます。全員がボランティアとして活動しているNPOもありますし、専従で働いている人には給与を支払いつつ、事業活動はボランティアベースで行っているNPOも多いものです。そうしたところにボランティアの一員として経営支援に加わるのは一つの選択肢です。

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さらに取り組んでいる「特定非営利活動」に強く共鳴できるようなNPOであれば、プロボノとして参画するのもいいでしょう。金銭的な報酬はなくても、実務ポイントがもらえるだけで十分な報酬だと言えるはずです。ましてそこで得られる経験、スキルやノウハウは将来にわたって自分の財産になってきます。

■経営支援に財務・会計は不可欠

今のところ、NPO法人から診断士にアクセスするルートも、診断士の側からアプローチするルートも十分に整備されていないのが現状です。黙って待っていればNPO法人の経営支援ができるわけではありません。
ただ、道筋を作ろうとしている人たちはいます。僕の友人の中にもいます。僕としてはそうした人たちの助けになるような動きを少しでもしていきたいと考えて活動しています。それが結果として、診断士による社会貢献活動の一助になるのではないか、との想いがあるからです。

そして、どういう形であれ経営支援をする以上、財務・会計を避けて通るわけにはいきません。支援に入れるようになったときに困らないように、今のうちに最低限の知識は学んでおく必要がある。そんな想いで「NPO法人会計基準」について学んでいますし、積極的に診断士の仲間にシェアしていきたいと思っています。

*「FATは、当ブログを運営している企業内診断士の輪を広げる「楽しい」チームと同様、「中小企業政策研究会」に所属してチームです。

興味を持たれた方は、一度、中小企業政策研究会の定例会を見学してもらって、入会していただけると参加が可能になります。次回は3月16日になります。


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