企業内用

資格更新のためにしてきたこと~実務ポイント30の集め方~

「なんとかなりますよ」
診断士に登録したばかりの人から、
「企業内にいながら、5年間で実務ポイントを30集めるのは難しいと思うのですが、どのようにされたのですか」
と質問されたとき、友人はこう答えていました。
「そんなこと言ったら身も蓋もないじゃないか」
と思ったのですが(笑)

昨年10月、無事に最初の資格更新を完了しました。そんな私自身も登録したばかりの時期は、実務ポイントをどうすればいいかの不安でした。できそうにないと思ったのではなく、何をどうすればいいかわからないので不安だったのです。
そして更新が終わった今、5年前の自分に声を掛けるとしたら、結局は友人と同じように
「なんとかなるよ」
になります。

では、どのようなことをして「なんとか」なったのか、その経過を書いてみます。


■きっかけは商店街支援


最初に取り組んだのは、ある商店街のイベント支援でした。同期がすでにその商店街支援の責任者になっていて、声を掛けてもらったのです。
「あの商店街、中郡さんの会社から歩いていけるよね」
の誘い文句とともに。

振り返ると大した支援はできていなかったと思うので、当時の関係者に対しては大変申し訳なく思っています。ただ私の方は、「こんな感じでやればいいのか」とその後の活動を考えるきっかけになり、とても感謝しています。

またこの同期からはのちに、東北復興支援に関連する案件も紹介してもらって、一緒に取り組ませてもらいました。

■経営支援サービスから副指導員まで


具体的な企業支援のきっかけになったのは、大塚商会の「経営支援サービス」を利用しての取り組みでした。


大塚商会では、得意先などから依頼があった場合、外部の専門家と連携して支援を行なうサービスを提供しています。外部の専門家として、中小企業診断士である我々が協力をする形です。登録すれば支援案件の情報がメールで送られてきます。その情報を見てやりたいと思えば応募して、メンバーに選ばれればチームを組んで支援に当たります。

このプラットフォームで2件、診断実務に取り組ませてもらいました。経営者の方に直接ヒアリングをし、報告書をまとめます。報告会も直接、経営者の方に向けて行ないます。普段、なかなか開示してもらえない決算書も、大塚商会と守秘義務契約をすることで、数年分をまとめて見せてもらえます。あとで考えるとこの経験は貴重でした。中小企業の決算書を見る機会はなかなかありません。診断士としてだけでなく、勤務先で経理を担当する者として、のちに活きる勉強の場になりました。

「大塚商会がやっていることだから大塚商会の営業に使われるのだろう」
と考える人もいると思います。そうした面がゼロだとはあえて言いませんが、経験上、ほとんどないと考えていいと思います。大塚商会の社内でこのプラットフォームを作った人は中小企業診断士ですし、短期的な利益よりも長期的な利益を狙っている印象です。

その後、参加している研究会を通して声を掛けてもらい、スケジュールと自分の興味・スキルを考えながら、いくつか支援案件に参加しました。この時点で、ほぼ30ポイントはクリアしていたと思います。

さらに更新の直前、お世話になっている先輩診断士が指導員を務めた、協会主催の実務従事に副指導員として参加しました。以前からその方の支援スタイルを身近で学びたいと思い、「副指導員をやらせてください」とお願いしていて、このタイミングでチャンスがめぐってきたのです。
副指導員をやるにはいくつか条件をクリアしないといけないのですが、指導員の方の推薦があればなんとかクリアできます。

こうして計40ポイントで更新の時期を迎えました。

■チャンスは人に乗ってやってくる


こうやって見ると、他人から紹介された案件がほとんどです。そして思うに、大半の人が紹介によって案件に巡り会っています。

最近になって、他人の紹介をすることも出てきたので感じるのですが、紹介する側も誰に話を持って行くか、かなり考えていると思うのです。紹介すればそれでお終い、とはなりません。クライアントに対して紹介した責任が出てきます。だから誰でもいいとはならないのです。

私が紹介を受けるに値する振る舞いをしていたのか自信はないのですが、少なくとも「大外しはしないだろう」とは思われていたのだと思います。だから、副指導員になるときも推薦してもらえたのだと思っています。

結局、チャンスは人に乗ってやってきます。ある日突然はあり得ません。普段から引き受けた仕事はちゃんと仕上げ、自分がやりたいこと、得意なことなどをウザくならない程度にアピールしておくことが、仕事につながる道だと思います。


■協会の実務従事


なお、最初の頃、何から手をつければいいかわからないと、つい、協会が用意してくれる「実務従事」に参加したくなることもあるでしょう。「実務従事」自体を否定するつもりはありません。ただ、ポイント取得のために参加することには懐疑的です。

実務従事は本来、先輩診断士のスキルを間近に学ぶための者だと思っています。そのためにならお金を払ってもいいと思います。セミナーに通うのと同じです。しかし、実務従事でしかポイントが取れない、という思い込みは一度捨てた方がいいと思います。他にもチャンスはあるはずです。一度、立ち止まって考えてみてください。


■政策理論研修


もう一つ、更新のためには、政策理論研修を5年で5回受講する必要があります。協会主催のものはつまらないという声を聞きますが、必ずしもそうとは限らないと思います。私は3回、協会のものを受講しましたが、内2回は大変興味深く、勉強にもなりました。テーマが「事業承継」だったというのも大きかったとは思っています。自分が興味を持てるテーマの回を選んで参加するれば「死ぬほどつまらない」なんてことにはならないでしょう。

また、協会以外にも、認定を受けて研修を開催している会社があります。集客のこともありますから、各社、さまざまな工夫をされています。これも自分の興味がテーマを選んで参加してみるといいと思います。選択肢は多い方がいいのです。リンクしておきますので、参考にしてください。


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