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働きながら大学院で学ぶ

昨年の4月から大学院に通っています。明治大学大学院博士課程前期経営学研究科経営学専攻マネジメントコース、要するに社会人大学院の修士課程になります。

大学院に行きたい気持ちはかなり以前から漠然とですが持っていました。極端に言えば、大学を卒業してからずっと心に秘めていたように思います。とはいえ具体的なものはなにもありませんでした。どうやったら入れるか、金銭的にいくらかかるのか、など調べればすぐわかるようなことすら調べてこなかったのです。

その思いが表出し、具体化してきたのはここ数年のことです。同世代から少し下の世代の人たちから、大学院に入学した話を多数、聞くようになりました。そうした人から、大学院の様子を具体的に聴く機会もありました。刺激も受けましたし、イメージもできるようになりました。

さらに、明治大学大学院経営学研究科には中小企業診断士協会から推薦をしてもらえることもわかりました。ここまで条件がそろって決めない手はない。それでも、逡巡した部分もあったのですが(苦笑) 話を聞いた大学院経験者全員から
「行くなら早くしたほうがいいよ」
と言われていたこともあり、やっと決断しました。先延ばしする理由はないですし、歳を取れば取るほど大変になる(体力の問題が大きいと思います)部分もありますから。

という経過で、一昨年の9月に診断士協会に推薦依頼を出し、12月に研究計画書とともに願書を大学に提出し、2月に面接をして、入学となったわけです。

■なにを学んでいるのか

指導教官の講義は「中小企業経営特論」です。ここで、中小企業の事業承継に関わるテーマで修士論文を書く予定にしています。
それ以外に受講していたのは、
・競争戦略、戦略マネジメント
・企業会計、原価計算、財務分析
・公共サービス・マネジメント、ソーシャル・ファイナンス
・日本企業発展論
といった科目です。こうやって見ると、診断士っぽい(笑)

仕事柄、会計・ファイナンス系の専門家だと思われている節がありますが、一切そんなことはなく、財務・会計は一番苦手な分野でした。勤務先の仕事を通して覚えたことを診断士としても活かせるようにはなってきたとは思いますが、体系立てて学んだことはありませんでした。その意味では、とても良い機会になっています。特に原価計算。今までちんぷんかんぷんすぎて、実務への応用もままならない状態でしたから、考え方の基本を学べたのは本当に良かったと思っています。

また、ソーシャル・ファイナンスや公共サービス・マネジメントで、NPOや社会的企業に関して学べたのも良かったです。元々、復興支援をやりたくて診断士受験を思い立ったという最初の想いと、NPOが診断実務ポイントの対象に加わったことも重なって、これから具体的なNPO支援をしていきたいと考えていました。良いタイミングだったと思います。また最近の個人的なテーマであるSDGsに引きつけて学ぶこともできました。

学友? は、一般企業に勤める人もいれば、税理士や社労士の方もいます(僕以外にも診断士はいます)。議論をする場面などで、刺激を受けることも多々あります。

「診断士村」に安住しない、は大きなテーマだと意識していましたから、その意味でもとても良い機会になっています。

■コロナ禍の中での学生生活

とはいえ、コロナ禍で院生生活はなかなか難しいものがあります。昨年の4月以降、僕が構内に立ち入ったのは2回、それも講義のためではありません。対面講義は一度もなく、Zoomによるリモート講義、または録画配信による講義になっています。

1年目はわりと知識をインプットする科目が多かったこともあり、リモート講義が嫌だ、と思ったことはありません。通学時間もありませんから効率を考えればよかったとも言えます。

それでもなお、このままでいいのかなあ、との想いは残っています。やっぱり生身だからこそ伝わる部分はあると思います。安易に言葉を使えば「ライブにおけるグルーブ感」がないと思うのです。またそれ以上に、講義の前後の余白がまったくないのも刺激がたりないと思う原因です。
「本当に大切な話は講義の後の懇親会で聴ける」
と以前から言ってきましたが、マイナスな意味で、それを実感しているところです。懇親会とまで行かなくても、待ち時間や駅までの帰り道の雑談でも触発される事があります。直接関係ないからこそ、視点が別にあって刺激になるので。科目によっては、受講生間の議論の上に成果が成り立つと思えるのもありますし、論文などは、フィードバックをもらえることでレベルアップできると思うのですが、リモートだと同じようにはなかなかできないのが実情です。

来年も今の状況が続くと仮定すると、このままでいいのか、休学してもいいのではないか、と悩むこともあります。が、そもそも休学なんてしなくても、修論が書きあがらず、卒業できない可能性はあるわけで(笑) 余計なことを考えても仕方がないと思うようになっています。

■リカレント教育

ですから、こんな状況下にあっても、進学してよかったと思っています。パンデミックが収まるまで待っていればよかったのかといえば、そんなことはありません。たとえば来期、僕の意思で休学したり、あるいは、社会の都合で完全に大学が閉鎖されるようなことになったりしても、1年間の経験があるのでどんな勉強をしていけばいいか、自分なりにある程度は考えられます。これが入学前であったなら、暗中模索していかざるを得なかったでしょうし、結果的には従来の延長上のやり方しかできなかったのと思うのです。

現状に対して不満はあります。しかし、これは誰が悪いわけでもありません。悪い奴がいればそいつを退治しに行くのですが(笑)、僕が新型コロナウイルスを退治できるわけでありませんから、現状の中で、より良い選択をしていくしかないと思っています。

命や全財産を失うようなことでもない限り、どんなことでもネタにはなります。コロナ禍に大学院で学んだ人というのは、5年もたてば希少価値になると思っています(笑)

それで満足できないなら、その先をまた考えればいいのですから、とにかくあと1年、コツコツとできることをやっていこうと思います。

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