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「プロコン」という言葉と「企業内診断士」

中小企業診断士の界隈には「プロコン」なる言葉が存在します。一般的に、独立開業した中小企業診断士のことを指します。「企業内診断士」と対になっている名称です。

「プロコン」を独立中小企業診断士の意味で使うのに、僕は強い違和感を覚えています。「企業内診断士」という言葉もあまり好きではないのですが、もっと好きになれません。

申し遅れましたが、私、中小企業診断士の中郡久雄と申します。来月、初めての資格更新を迎えます。診断士として5年が過ぎようとしているところです。

昼間は、東京の城北エリアにある印刷会社に勤務しています。「診断士になったんだから経理をできるよね」との会社からのむちゃぶりにより経理部門を担当して4年が過ぎました。とはいえ、勤め先も中小企業ですから、経理だけをしていればいいわけではなく、大企業であれば財務部や法務部、経営管理部が行うような業務も担当させられています。


■「プロコン」の本当の意味

ところで、なぜ「プロコン」を独立中小企業診断士の意味で使うのに違和感を覚えるか、です。プロコンとは「プロフェッショナルコンサルタント」の略語です。では、独立企業診断士だけがプロフェッショナルなのか。企業内診断士はアマチュアでいいのか。そんなことはないと思います。というか、それではいけないと考えています。

僕は仕事柄、編集者の知り合いが多くいます。編集者にはフリーで動いている人もいれば、出版社など企業に勤務して働いている人もいます。一緒に仕事をさせていただいて、フリーの人がプロで、勤務している人はアマチュアだなどと感じたことは一度もありません。少なくとも僕が関わらせていただいた編集者の方は、みんなプロフェッショナルとして編集の仕事に取り組まれていました。当たり前の話で、「仕事」として取り組む以上、誰もがプロであるべきではないでしょうか。

だから中小企業診断士も、「中小企業診断士」「コンサルタント」としての業務では、独立であれ企業内であれ、プロフェッショナルであるべきです。少なくともプロフェッショナルを目指さない選択肢はあり得ない。

ですから「プロコン」という言葉は、独立中小企業診断士を指すのではなく、すべての中小企業診断士を指す言葉でなくてはいけないと思うのです。

■「企業内診断士」としてプロフェッショナルになる

「プロ=金銭的報酬を受ける、アマチュア=無報酬で取り組む」との見方が根強くあります。企業内診断士は、副業規定などの縛りによって、報酬を得ない活動を中心にせざるを得ない時代が長かったのだろうと思われます。これによって「プロ=独立」との解釈が生まれたと考えています。

ですが、プロフェッショナルの意味は金銭的報酬の有無なのでしょうか。僕は違う定義をしています。それは
「他人を喜ばせたり楽しませたりするために、自分を生かして仕事をする」人がプロフェッショナルである、です。つまり、他人に価値を提供できる人がプロだということです。結果としての対価が金銭的報酬である場合が多いだけでしょう。

こう決めると、企業内診断士がプロフェッショナルになるために進む道が見えてきました。

それは「所属している企業で培ったスキルを支援実務で活かし、支援実務での経験を所属先に還元する」サイクルをまわしていく、です。このサイクルが回れば、所属先にも支援先にも、自分の経験値を活用して価値を提供できる。これがプロフェッショナルになる一つの形だと思うのです。

偉そうに書きましたが、診断士になったばかりのころは、支援先に提供できるノウハウはなかったですし、所属先に還元できる経験もほとんどありませんでした。焦って研究会活動に傾倒しすぎたり、活動が迷走したりしたこともあったと思います。考えているサイクルが少しは回せるようになったと感じたのは、つい最近、今年に入ってからです。それもまだ道半ば。その意味でまだまだ僕はプロフェッショナルとは言えません。ただ、企業内にとどまっている限りは、このサイクルがどんどん回せるよう努力して、プロフェッショナルになれたと自ら認められるようになるべく頑張るつもりです。

では、企業に勤めているからこそできる経験とはどんなことなのか。次回はそのあたりから書いていきます。

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