自動筆記

1.
はだしのまち、何が湧き出るのか分からない水色。CD-Rに何が入っていたかもう覚えていない。スプレー缶がこっちを見ている。壁際でヴァンパイアの卵管の夢を見た。くいしばって向こうを見れば空っぽの壁、挟まれて、くるしい。


2.
かちかちかちかち音がしていてあの海ははたして成長しているのか退行しているのかひろがる深くなる山頂にはあけびの種撒いて口をぽかんと開けてほうけている。猫と暮らす曜日に指が指ばかりが饒舌。


3.
木目に火を放っていつピアノが完成するだろう。無をたゆたう先にフェルトのあなた。引きちぎるにはかたすぎて何もかもが白日の下つまさきは冷えていく、ビル・エヴァンス聴いてて。


4.
ぜえんぶどこかにやってしまわなきゃ。ふわふわの髪のおんなのこ、話せてうれしかったな、くじらが向こうで鳴いている。ヒーローにはなれない。ヘリオトロープ。あんずのリキュール。あなたなんのパルファンつけたの。いいえそれは桃色のタイル。


5.
絡まっている電源コードどのくらい大事にほどいてあげましょうね、あなたを組み敷いたって蔦がほどけない、まだあなた、そこにいるでしょ、金の髪してふざけないで。ペンを持つことが怖いままなの。怖くたって構えなくちゃって口ばかりが前に。生理痛。口紅を折る。

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