見出し画像

「すばらしき世界」 感想回

この記事は映画の内容(ネタバレ)についても書いてるので、まだ観てない方はそれも承知の上で…


どうも、牛乳配達です。今回は映画の感想回ということで、扱うのは現在公開中の「すばらしき世界」です。これがちょっとあまりにも強烈な映画だったため、熱が冷めないうちに書きたいことを書こうと思いました。てことで参りましょう!





・役所広司の存在

画像1

まずなんと言ってもこの映画で最も重要であるのは、役所広司さんの存在でしょう。もちろん脇役の方たち(長澤まさみ、キムラ緑子、六角精児などなど)の演技も素晴らしいのですが、普段そこまで映画を観ず、これまでの役所さんの映画もあまり観てない自分としては、役所さんの演技が素晴らし過ぎたと言いたいです。これをきっかけにこれまで出られた映画も観たいと感じました。


・ストーリー、自分の感想について


ここからはもっと具体的に映画の内容について書きたいと思います。確認程度に内容を言うと、役所さん演じる三上正夫は反社会勢力の一人だった時に殺人事件を起こしてしまいます。映画は刑務所から出所し、彼がどのように社会に復帰していくかを描いています。

自分はこれまで、日本のヤクザ系の映画を観てこなかったため、あまり反社会勢力と聞いてもイメージがしにくく、「仁義なき戦い」などを思い浮かべてしまいますが、そういったほぼ知識なしの状態でも関係なく物語を観れる内容になっていました。

この映画で重要なのは、三上が社会復帰していくのを助ける周りの人との関係性であると感じました。というのも、出てくる登場人物はほぼ全員彼が出所後に知り合った人たちになります。

まず観終わった後、というか映画の終盤を観ながらも感じてたんですが、この映画は今の日本映画として誇るべき傑作の一つだなと思いました。海外作品がなかなか公開されない中で、日本からこういった現代社会を描いた強烈なモノが作り出されたことはとても大きいと言えるでしょう。映画を観る前に、作品について「和製ジョーカー」という言葉を目にしました。それはとあるユーチューブチャンネルであげられてた、この映画の感想回でした。


自分は「ジョーカー」も観たので、少しこの映画と比べた話をしますね。

画像2

バッドマンのキャラクターであるジョーカーが善から悪になっていくのを描いたこの作品。この中でも、ホアキンフェニックス演じるアーサーが生活保護や持病の関係からカウンセリングを受ける場面が出てくるのですが、映画の感想として、「社会背景から主人公が悪になっていくのは、仕方がないことだ」と個人的には感じてしまいます。もちろん「すばらしき世界」では出所した後の様子を描いてるんですが、生活しながら暴力を振るう場面もあったので、自分も観ながら「いや喧嘩に割り込むなよ、いや暴力振るうなよ」と「ジョーカー」でのアーサーを見る並みにハラハラしましたね。

ところが、映画の終盤では間違ったことに対して暴力を振るうのではなく、黙る、ということをしていた。もちろん自分も観ながら、暴力じゃない方法で割り込んだり、ブチギレてほしいなとは思ったんですが、それがこの映画で三上が変わった大きな点でもあるということなんです。というかあの職場でのいじめの場面は、かなり気持ち悪かったよなぁ…。正直自分もそうと言えるんですが、世の中の間違ったことに対して正しいことを言えないのて大半ですよね、て話。それがある意味反面教師としても描かれてた三上が普通になる。でもそれは本当に普通なの?ともなってしまうんですね。

そして最後、いじめられていた障害をもった人から花をもらったところで、泣く、という。そういった間違った社会に対して泣いているように自分には見えました。

つまり三上は出所した直後より、完全にと言えるかは分かりませんが、更生した状態でラスト亡くなったということなんだと思います。

自分の一番感動した場面は就職が決まった後に、家で三上を助けてくれていた人たちがお祝いをするところでした。「すばらしき世界」というのはあぁいうことなんだろうな…

劇中でもセリフであった通り、シャバの世界では黙っていること、逃げることも正しい、人は全てのことには対応しきれない。しかしそれが本当に「すばらしき世界」なのかどうか、という問いかけもしています。


日本映画は…

去年、「パラサイト」がアカデミー賞を受賞した時に、「日本映画はダメだ、日本ももっとこういうのを作らないと…」みたいな意見もありましたが、なんならこれはそういった海外映画にも引けをとらないような作品だと思いました。元ヤクザを主人公にして、これだけ考えさせられるモノを作るとはスゴイですよねぇ。最近「花束のような恋をした」も観たので、「邦画もスゲェな」ていう気分になっております。


今回はこのへんで…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?