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いくさき・偽

夕方に散歩に出かける。
今日は夕焼けがきれいだ。
彼もだいぶ年老いて、
時折立ち止まっては休みながら進む。
もう何回も繰り返した日常であるが、
あとどれくらい繰り返せるのだろう。
そんなことを考えながら、
歩みを合わせていると、
突然、彼は苦しそうに倒れた。
私が声を掛けると、
それを聞きつけた女性が駆け寄って救急車を呼ぶ。
彼は最後に私の首輪を外し、
「私はここまでだ、もう行け。」
と言う。
彼の指を舐め、
私は歩みだした。

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