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Go to ASIA 【天皇杯:準決勝】浦和レッズvsセレッソ大阪

スタメン

レッズは宇賀神をスタメンで起用。柴戸と伊藤がコンビを組み、明本が左SHで起用され、ユンカーがトップに入りました。

セレッソは瀬古と西尾の代表コンビがCBを務め、若手の喜田が奥埜とダブルボランチを組み、為田、清武、坂元の2列目、そして今シーズンで引退する大久保が1トップに入りました。


マッチレポート

公式マッチレポート

天皇杯 準決勝 vs C大阪「宇賀神、小泉がスーパーゴール!ファイナルへ!」


試合結果

天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会 準決勝
2021年12月12日(日) 16:04キックオフ・埼玉スタジアム
浦和レッズ 2-0(前半1-0) セレッソ大阪
得点者 29分 宇賀神友弥、89分 小泉佳穂
入場者数 30,933人



マッチレビュー


体現した狙い

・ビルドアップ
10:06のゴールキックからのビルドアップはセレッソの狙いとしている左SHを前に出してプレスをかける左肩上がりのプレスを逆手に取ったようなプレイでした。

10:06のレッズのビルドアップ

柴戸が最終ラインに下りてボールを受けるとレッズの最終ラインは3バック(ショルツ、柴戸、岩波)になります。セレッソは柴戸から岩波へ横パスが出た時に左SHの為田を縦にスライドさせることでハメようとしていました。しかし、レッズは酒井が高い位置を取り、関根が図のように左斜め下に下りてくることでプレスの逃げ道を作り、そこから一気にユンカーのスピードを活かした背後へのボールでセレッソのゴール前まで侵入することに成功しました。

セレッソとの過去の対戦で左肩上がりのプレスに苦戦した試合もありましたので、しっかりとこの試合に準備したことが伺える場面でした。

・SBの攻撃参加
この試合で個人的に興味深い発見が相手陣内に押し込んだ際のレッズのSBの立ち位置です。今シーズンはSBがオーバーラップまたは幅を取ることで攻撃参加することが多かったと思いますが、この試合では絞ってサポートする形が多かったように見受けられました。

推測にはなりますがレッズが敵陣でボールを失った時のリスクマネジメントのために内側に絞ったのではないかなと思います。SBが内側に絞っていることでセレッソがボールを奪った際に縦パスを通すことが困難になるので、カウンターアタックの予防策になります。特にこの試合ではレッズの選手の切り替えの速さが目立ち、ボールを失った際に素早く囲い込んでボールを奪い返す場面は沢山ありました。前半はネガティブトランジションが効いていたのでセレッソ陣内に押し込む時間帯が増えました。

またSBが内側に絞ることで伊藤がPA内に入っていけるという利点もあると感じました。クロスを上げる時のPA内のレッズの選手の数は今シーズンの課題でしたが、この試合ではしっかりと人数を確保できていたように感じました。実際に29分の宇賀神のゴールシーンでも関根のクロス時に伊藤、ユンカー、明本の3人がPA内にいましたし、中央に絞っていた宇賀神のシュートがゴールに繋がりました。

守備陣形の維持

レッズは後半立ち上がりにセレッソに2回(48分と51分)決定機を作られましたがどちらも共通しているポイントがあります。まずはセレッソがロングボールでレッズの陣形を崩したことです。48分のシーンでは清武がサイドチェンジをして右サイドで幅を取っている坂元にボールが渡りましたが、このサイドチェンジによってレッズの4-4-2の守備陣形が横に広げられる状態になりました。そこから坂元がカットインしましたが、横にレッズの守備陣形が拡げられてしまったので中央のスペース(縦へのパスコース)を閉じることが間に合わずにPA内に侵入されてしまいました。清武が外してくれたので助かりましたが失点してもおかしくない場面でした。

そして、51分のシーンでは前からのプレスをかけるレッズに対してセレッソがロングボールを使って前進しました。

51分のレッズのプレスとセレッソの回避

レッズがプレスをかける際に柴戸と伊藤は人(喜田と奥埜)を捕まえに行くために縦関係になります。するとボランチの周りにはスペースが生まれます。そのスペースに清武が流れて西尾からのパスを受けたところからレッズはピンチを迎えました。清武がボールを受けた時点でレッズの中盤のラインを超えられてしまっているのでどうしても守備が後手に回ってしまいます。最終的に右サイドの坂元に展開されて、右SBの松田がオーバーラップしPA内に侵入される形となりました。

この試合では多くのクロスを受けたレッズですがシンプルなクロスはショルツと岩波を中心に跳ね返すことができていたので安定して対応することができていました。基本的にシンプルなクロスを受ける際にレッズの守備陣形は整っていたのでボールにしっかり対応できていたことが大きかったと思います。ですので、レッズが如何に守備陣形を崩さずに対応できるかが決勝のカギになると思います。

交代策の明暗

・セレッソの交代策
セレッソが大久保と為田を下げて山田と加藤を投入して4-4-2にシステムチェンジしたことでレッズとしては守りやすくなったのかなと感じました。2トップにしたことで清武と大久保という縦関係から山田と加藤の横関係に変わったのでレッズのDF-MFライン間を使われる機会が減ったことが考えられると思います。交代前まではライン間で清武が上手く引き出す場面がいくつかありましたが、レッズは2トップを捕まえれば良くなったのでCBが引き出されることが減りました。

また清武がトップ下から左SHにポジションチェンジしたことでこれまで広範囲に動き回って試合のリズムを作っていたのに対し、交代後は左サイドに留まることが増えたことで清武にボールが入る回数が減ったように思います。

・レッズの交代策
一方のレッズはとても効果的に交代カードを使うことができていたと思います。坂元のいるレッズの左サイドで後手に回り始めた時間帯に宇賀神を下げて汰木を投入したことで明本がしっかり坂元に対して対応し、汰木もプレスバックして2vs1を作ることを徹底していました。

その後の小泉と平野を投入したことで運動量の確保をしつつ、繋げる選手を増やしてレッズのボールを保持率を高めて守備の時間減らす意図が伺えました。この交代策で小泉が追加点を奪いましたしプレスの強度も上がったと思います。

試合を締めるために西と槙野を投入して5バックにしたことで守備も強固なものになりましたし全体的に素晴らしい交代策だったと思います。


マッチプレビュー

ここからはあくまでも個人的な推測になります。

今シーズンレッズは大分と2回対戦して1勝1敗と五分の成績です。直近では0-1で敗れているだけに強敵であることは間違えないです。大分は今シーズン限りで片野坂監督の退任が決まっておりレッズ同様に負けられない理由があるチームです。

大分のチームカラー

大分はチームコンセプトがしっかりとしていて攻撃時は3-4-2-1を採用しバリエーション豊富なビルドアップができるチームです。ま守備時は5-4-1のシステムでプレスに行く場面とブロックを引いて守る状況を上手く使い分けることができるチームです。トップに起点になることができる長沢のような選手を起用しシャドーに1トップの周りを衛生的に動き回ることができる選手を起用する傾向にあります。WBは運動量豊富にアップダウンを繰り返すことができ、3バックは人を捕まえることが得意で1v1に強い選手が多い印象です。GKの高木は足元の技術は抜群でセーブもしっかりしている選手です。今シーズンのレッズは3バック(5バック)の相手との相性が悪い傾向があります。

要注意選手

シャドーを主戦場としている町田は豊富な運動量を活かした献身的なプレスと広範囲に動き回ってレッズの最終ラインをかき乱すようなプレイをしてくるので注意が必要です。前回対戦で得点を許していますし自由にプレイさせたくない選手です。またボランチの下田は前線へパスを供給する役割で大分の攻撃のスタート地点となる選手なのでケアが必要な選手だと思います。また準決勝ではベンチスタートだった坂は高精度のロングフィードができる選手で、レッズの守備陣形を拡げるようなロングフィードができる選手なので気を付けたい選手です。

大分のプレスに注意

レッズがボールを保持している際に3-2-5(3-1-4-1)でビルドアップすることが多いのですが、大分の5-4-1の守備システムと噛み合ってしまうので大分はやりづらい相手といえると思います。レッズはボランチが下りて3バックにしてビルドアップすることが得意としているので、大分が1トップ2シャドーでプレスをかけてきた時に直線的に3バックが圧力を受けてしまい、ハメられてしまうのでビルドアップで苦戦しがちです。ですので、後ろからレッズはボールを繋いでビルドアップしていく中で大分のプレスにハメられてショートカウンターを喰らうことは避けたいところです。レッズがどのようにプレスを回避していくのか、リカルド監督がどのようにな策を講じるのか注目です。

大分のブロックの攻略法

レッズが大分陣内まで前進すると大分は5-4-1のブロックを作る可能性が高いと思います。5レーンが埋められてしまうので幅を使った攻撃を展開することが難しいので、レッズの選手たちがアクションを起こして動きながらボールを引き出す、動いてスペースを作るということが重要になります。特にレッズが使いたいスペースが大分のWBの背後のスペースです。WBの背後を上手く取れると3バックの一角が引き出されるので中央にスペースを作り出すことができます。レッズの幅を取る選手が斜めのランニングで背後を取る動きがだせると攻撃が活性化していくのではないでしょうか。


最後に

いよいよASIAまであと1勝まできました。来年、レッズがアジアのステージで戦うために。そして再びレッズがアジアの頂点に立つために。引退する阿部ちゃんにトロフィーを掲げさせるために。今シーズンでレッズを退団する選手たちと勝利を分かち合うために。レッズには沢山の負けられない理由があります。

シーズン開幕前にはレッズがここまでのレベルまで成長できているとは思いませんでしたが、リカルド監督の下ここまで非常に充実したシーズンを過ごしてきたと思います。しっかりとした土台を作り、今は如何にして点を取るかどうやって相手を攻略するかというところまで来ていると感じています。そういった意味で大分はとても難しい相手になると思います。レッズのストロングポイントを出しづらい相手なのでストレスの溜まる試合になるかもしれません。

最後の最後で勝負を分けるのはほんの些細なことだと思います。そのなかにはサポーターの熱い応援も含まれていると思います。声は出せませんが熱い想いは選手たちに必ず伝わると思います。今こそ一丸となって選手と一緒に戦って選手たちを後押ししましょう。

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