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『BANDIT KNIGHT』盗賊は「声」を集めて進化する!? ~大活劇の舞台裏~【受賞者ドキュメンタリー第13弾】【後編】

※こちらの記事は『後編』になります。
▼前編はこちら

――GYAAR Studioインディーゲームコンテストへ応募する際、苦労された点はありますか?

🔸Ameo:企画書を作ることですね。我々がゲームを作る際は、企画書どころか仕様書も作らずに進めます。ですから、「BANDIT KNIGHT」の面白さや狙いなど、自分で分かっていることを改めて文字にするのはいい機会でしたね。

――ターゲットとするプレイヤーについては明確に決められているのでしょうか?

🔸Ameo:明確に決めるというよりは、ゲーム自体のユニークさで勝負するという感じです。その上では、やっぱり自分が好きなゲームを作らなければならないと思います。自分で好きになれないものを作ったとしても、誰の心にも刺さりはしないでしょうし。

――コンテストに用意されたサポートの中で、よかったものはありますか?

🔸Ameo:開発者コミュニティが集まるスタジオ「GYAAR Studio Base」を使わせてもらえることです。定期的にイベントが行われるし、開発作業ができる。これまでは自分たちだけの視点でゲームを作っていましたが、ここなら他の方からゲーム開発者としての具体的なアドバイスももらえます。ゲーム開発はどうしても孤独な作業になりますが、それが紛れたし、刺激にもなったので本当にありがたいと思っています。今ではGYAAR Studio Baseに週3回は顔を出すようにしていますよ。

――同じフィードバックでも、イベント出展とGYAAR Studio Baseで得られるものには違いがあるということですか?

🔸Ameo:ありますね。イベント出展ではプレイを観察し、そこから自分でフィードバックを導き出します。一方、GYAAR Studio Baseの試遊会だとゲーム開発者から言葉でロジカルな指摘をいただけるんです。開発の進め方も変わりました。これまではイベント出展を参考に、ゲームを感覚的に変えていきましたが、試遊会の後はロジカルにも変えるようになりました。

――開発者コミュニティの視線で多面的に作品を深堀りできるようになったわけですね。
そして、2024年はBitSummitや東京ゲームショウ、Pax East、そしてgamescomといったイベントへの出展もサポートされました。

🔸Ameo:海外のイベントはなかなか手が回りませんから、ありがたいです。ただ、頼り切ってもいけないとは思います。コンテストが2回開かれてGYAAR Studioブースに出展される作品も増えていますし、なるべく自分でも出展するようにはしていますね。

――gamescomに出展してみていかがでしたか?

🔸Ameo:gamescom(※)は世界中のゲームが集まっているのを肌で感じることができました。東京ゲームショウよりもブースの数が本当に多い。そこに国境を越えてでも最新ゲームを見たいファンたちがくるわけですから、熱量に圧倒されました。インディーゲームの開発者さんも国外から来られていますし、自分も負けていられないと思いましたね。

※gamescom
毎年8月にドイツのケルンで行われている、世界最大規模のゲームショウ。第2回GYAAR Studio インディーゲームコンテストのプラチナ賞・入賞のチームは、現地で自作を出展でき、視察にも行った。

Supercellオブジェでの写真 撮影:もふもふひつじ

――インディーゲームブースについて、国内イベントとの違いはありましたか?

🔸Ameo:ブースの数が多いので、お客さんの目を惹く工夫をしっかりされていますね。ゲームの世界観を表現した装飾はもちろん、段ボールのルーレットでお菓子やピンバッジといった景品を配っているところもあり、小さい子も含めた行列ができていました。ゲームというよりエンタメを作っているという意識ですね。

――発売前のインディーゲームだから、知名度だけでは人が集まらない。これは当然のことなんですが、そこで色々と工夫をする。

🔹もふもふひつじ:来場者さんも、日本アニメのコスプレをしていたりして、楽しんでいるのが伝わりました。ビジネス色もあまり感じなかったですし。

――プレイヤーの反応はいかがでしたか?

🔸Ameo:言葉は違っていても、物を集める楽しさやドット絵の面白さといった感覚的な部分は伝わっているようでした。あと、海外の方は感情表現が分かりやすいですし、しっかり感想を伝えてくださいますね。ステージにいる一般人に攻撃するのにためらいがないのも特徴でしょうか。日本の方は逆だったので、まずは悪者を最初に描いて「攻撃してもいいゲームなんだよ」と誘導しています。

――ドット絵表現に対しての反応はどうでしょうか?

🔸Ameo:「これは「ファイナルファンタジーVI」だね!」と懐かしいものとして反応してくださいました。日本のゲームで育てられたのは、我々日本人だけじゃない。偉大な先人たちが作ったゲームがあるおかげで、ノスタルジーの体験を伝えることができるんだなと感じました。

――Supercell(※)のオフィスツアーも行われましたが、感想を聞かせてください。

※Supercell
フィンランドのヘルシンキに本拠地があるゲーム会社。「クラッシュ・オブ・クラン」「クラッシュ・ロワイヤル」「ブロスタ」といったモバイルゲームで知られる。第2回GYAAR Studioインディーゲームコンテストでは、プラチナ賞・入賞のチーム向けに、オフィスに招待し、開発スタイルに関するセッションやSupercell社員によるプレイフィードバックなどの支援を行った。

🔸Ameo:すごい経験でした。いろんな国から多様な人たちが集まり、フラットに意見を交換している。「ああ、この会社はいいゲームを作るんだろうな」と一目でわかりました。

🔹もふもふひつじ:オフィスの雰囲気もエンターテイメントしてるんですよ。部屋がそれぞれのゲームの雰囲気になってて、壁紙やクッションまでが統一されてて、ものすごく面白そうなんです(笑)。

🔸Ameo:テーマパークみたいな感じでしたね。また、姿勢もオープンなんですよ。ビルの1階には誰でも入っていいエリアがありますし、至る所に持ち帰りOKのグッズ類が置かれている。自分たちが作っている作品のことが本当に好きなんだという印象です。

――Supercellのスタッフからはどんなアドバイスがありましたか?

🔸Ameo:グラフィックやゲームシステム、世界観といったゲームの内部だけでなく、広報的な視点からもご意見をいただきました。
中でも「アイテムを回収する際のエフェクトは、まだまだ良くできるんじゃない?」というアドバイスが印象に残っています。確かに、Supercellさんのゲームでは、報酬獲得の画面なんかもすごくハッピーな感じで、プレイヤーさんを喜ばせることにこだわっています。作品とアドバイスを一緒に見ることで、本当にためになりました。

🔹もふもふひつじ:キャラクターを作る際のノウハウについても、外部の私たちに話していいのか心配になるくらいに実践的なところを話してくださいました。
「とにかくひねり(ツイスト)を入れるんだ。外見と性格や行動にちぐはぐな部分を作ったりして、見る人に引っかかりを持たせてキャラ立てをする。そして、登場するステージもキャラ立てと合ったものとして説得力を持たせなければならないんだよ」と。

――かなり具体的で、ゲームを作る同志としての意識が強いと感じられます。普通だと海外で行われる講演を翻訳しないと分からないところも、サポートとして現地に直接行けるから生の声を聴けるわけですね。

🔸Ameo:あのツアーのことを語ると、もう何時間あっても足りないくらいです。創作意欲も刺激されて、「帰りたくない」という気持ちと「早く帰って開発したい」という気持ちの板挟みになっていましたよ。

――今後、希望したいサポートはありますか?

🔸Ameo:「個人専用の作業スペースがあれば片づけをしなくていいから便利なんじゃないか」「第3回のコンテストを開いて新たな仲間を増やしてほしい」「一気に親睦が深まるので、合宿をしてほしい」というところです。

🔹もふもふひつじ:私たちは来年までサポートを受けられますが、その後どうなるのかな……とは思います。サポート期間が終わったら、このコミュニティからさよならというのは悲しいです。

🔸Ameo:その思いはGYAAR Studioさんも同じだと思うので、今後も色々と面白いことを続けていけるコミュニティであって欲しいとは思います。我々としても、ずっとサポートされてばかりではいけないです。だから、何かお返しができるような仕組みがあればいいんじゃないでしょうかね。

――長く続くようなコミュニティを作れるようにしたいですね。では最後にメッセージをお願いできますか?

🔸Ameo:ゲーム作りという素敵な趣味を使って、色んな人と交流して欲しいですね。また、「BANDIT KNIGHT」のプレイテストがSteamで行われています(2025年1月16日時点)ので、ぜひプレイしてみてください。

🔹もふもふひつじ:皆さんを見ていると健康面が心配になることがあります。ちゃんとバランスの取れた食事をされているのかな、体調管理はされているのかな……と(笑)。ゲーム開発者の皆さん、楽しい創作活動を長く続けるために、健康には気を付けてください。

――確かに、健康は大事ですよね。食事を作ったり、ジムに行くよりは開発に時間を使いたい……というのは情熱の表れではありますが、病気になってしまっては元も子もない。GYAAR Studioインディーゲームコンテストに限らず、皆が気を付けるべき点だと思いました。ありがとうございました。

▼BANDIT KNIGHT
BANDIT KNIGHTはピクセル調で描かれた2.5Dの世界を駆け回る盗賊アクションゲームです。
盗賊ギルドの一員となり、悪い商人や貴族たちからオタカラを盗み出そう!
集めたアイテムを使用してキャラクター強化も可能!
盗み特化してどんどん盗むもよし、ステルス特化してこっそり盗むもよし、バトル特化して衛兵とガンガン戦うもよし。
あなたの盗賊スタイルに合わせて採って、獲って、盗りまくろう!

steamストア:BANDIT KNIGHT

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