
【特別企画】コンテスト特典:Supercell主催海外体験ツアー~クリエイターたちの特別な旅②~
※こちらの記事は『【特別企画】コンテスト特典:Supercell主催海外体験ツアー(以下、Supercellツアー)』の第2回になります。
▼第1回はこちら
■座談会の参加者

さて、『クラッシュ・オブ・クラン(クラクラ)』『クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)』『ブロスタ』など、世界的ヒットを連発しているゲーム会社Supercellのオフィスツアーと試遊会参加のお話です。Supercellファンの方も多いかと思いますが、「こんなヒット作を生み出している人たちはどんな人たちなんだろう?」「どんな環境で働いているんだろう?」そんな疑問や憧れを抱いたことがある人もいるのではないでしょうか。
そんな中、実際に憧れの開発者たちと出会い、彼らから直接ゲームプレイの感想をいただく貴重な経験をした今回のツアー参加者たち。彼らがどんなことを感じ、どんな学びを得たのか。gamescomに続くストーリーをぜひお楽しみください!
※Supercellツアーは2024年8月22〜28日実施され、本記事のインタビューは2024年12月に行われました。

【第2回】Supercellのオフィスツアー&試遊会体験
■ クリエイティビティあふれる「ザ・Supercell」のオフィス

ーー上原:ヘルシンキでのSupercellオフィスツアーに関してですが、オフィスの見学だけでなく、試遊会やセッションもありました。まず、皆さんがオフィスを見学して感じたことや印象に残ったことを教えてください。

🟦浅羽:オフィスに入った瞬間、もうすでに『クラッシュ・オブ・クラン(クラクラ)』とか『クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)』のキャラクターがいて、Supercellビルそのものって感じでしたね。自社のキャラクターがオフィスの至るところに置いてあって、作品に関わっているっているのをより実感しながら仕事する環境なのかなと思いました。全体的に日本のゲーム会社よりも開放的な雰囲気でした。

🟧保坂:1階のロビーにあるマップのディスプレイですが、今この瞬間ここで遊んでるっていうところが光るようになっていて、 実際見るとすごかったです。
🟦浅羽:色がその各タイトルによって違って、「あ、今ここで遊んでるんだ」と実感できるようになっていました。 面白い仕組みですね。

🟦浅羽:あと、食堂では地域別のApp Storeのランキングが大型ディスプレイで見られるようになっていましたね。自分が携わっているタイトルが、各地域で現在何位に位置しているか、ランチ中でも売上を常に意識するような環境になっているんだなと思いました。
ーー上原:そういえば、ケンキツ団の皆さんは、お掃除の仕事でもいいから働きたいとおっしゃってましたっけ。
🟪セウン:あ、本当に雰囲気がよくて、皆バリスタでもなんでもいいからここで働きたいと話してました(笑)。

🟦浅羽:ランチのバイキングは、めちゃくちゃ美味しかったです。2日間いただきましたが、どれも美味しくて、しかも健康的なメニューで、これをちゃんと食べてるっていうのは非常に羨ましかったです。ゲーム業界の人って食事も偏りがちなんですけど、やっぱり人間、食事も大事なので(笑)。日本人の自分が食べても本当に美味しかったです。

🟧保坂:会議室も部屋ごとにコンセプトがしっかりしていましたね。入るだけでもワクワクしちゃうような感じでした。
🟪セウン:『ヘイ・デイ』の会議室を見てたら、キャラクターが可愛くて、家に帰ってから『ヘイ・デイ』を遊ぶようになりました。
ーー上原:ありがとうございます。それは会社に言わなきゃですね!
■ 直接触れたプロの視点:試遊会で得た新しい発見
ーー上原:さて、今回のメインイベントの一つだった試遊会について伺います。Supercellのメンバー10名が2名ずつ5チームに分かれ、5つの島(各ゲームブース)に行き、受賞者の皆さんのゲームをプレイしながら直接交流しました。各ブースには通訳がつき、20分間で、自己紹介、試遊、そしてフィードバックをする形式を取りました。テーブルには事前にお聞きした「注目してほしいポイント」を印刷したプリントを置いておき、それを参考に試遊とフィードバックをしたのですが、特に印象に残ったエピソードや感想を教えていただけますか?

🟪セウン:あの試遊会は本当に助かりました。様々なタイプの専門家の方がプレイしてくださり、私たちが用意したポイントについて非常に丁寧に答えていただきました。このときのアドバイスのおかげで、開発について悩んでいた問題が解決できました。
ーー上原:もう改善されたんですね。
🟪セウン:フィードバックのおかげで答えは出たんですが、これからプログラマーさんに実装してもらわないといけません。世界観を楽しんでいただけたのも良かったですし、職種の異なる方々からの意見もすべて勉強になりました。
ーー上原:厳しい意見も出ましたか?

🟪セウン:そうですね。テキスト量が多いという指摘があって、それが没入感を損なう要因になっているということでした。厳しいフィードバックではありましたが、とても貴重な意見でした。その後、テキストと演出をバランス良く相互作用させる形で没入感を出せるように、ゲームの導入部分を変更する方向で会議を重ね、改善案を考えています。
ーー上原:これからどんどん良くなっていきますね。
🟪セウン:はい、みんなで頑張っています。少しずつ変えていこうと思っています。

🟦浅羽:本当にいろんな職種の方から、いろんな角度で意見をいただけたので参考になりました。細かい部分で言うと、例えば「ヒットポイントバーの色をプレイヤーと敵で分けた方が分かりやすい」という意見だったり、「パッシブ効果の発動タイミングが分かりにくい」というフィードバックもありました。これらを課題として受け止めて、改善を進めていく予定です。
🟧保坂:世界観に関する意見をくださる方もいれば、ゲームの内容について具体的な指摘をいただくこともありました。その中で私が特に印象的だったのが、「情報の洪水になっている」というフィードバックです。『サマーロード』は10分で1サイクルを楽しめるゲームとして設計しているのですが、試遊用のバージョンでは短時間で一通りの要素を体験できるように多くの情報を詰め込んでいました。その結果、情報が一度にバッと出てきてしまい、「何がどういう情報なのか分かりづらい」という意見が多かったんです。このフィードバックを受けて、現在、大幅な調整を進めているところです。
🟦浅羽:自分にとって特に印象に残ったのは、プログラマーの方の言葉です。プレイ後に「これがリリースされたら絶対にチェックするよ」と言ってくださったことが、とても心に響きました。フィードバックもたくさんいただいている中で、特に何をしている誰の言葉かというのも重要で、ちゃんと私たちのゲームを知ってくれた上で話してくださったのが、すごくよかったです。「この人に応えるゲームを作らなきゃ」「頑張らなきゃ」という気持ちが強く湧いてきました。
■ 試遊会の学びを反映:TGSで挑んだ改良版
ーー上原:その後すぐに東京ゲームショウを控えていたので、「すぐに変えてやるぞ」という大きなモチベーションになっていたら嬉しいです。

🟦浅羽:そうですね。「良かったよ」という感想以上に、情報の洪水などの具体的な指摘をいただけたのが非常に貴重でした。それらの指摘が機能改善を行うきっかけになりました。
🟧保坂:個人で開発していると、gamescomの後に東京ゲームショウ(TGS)にも出展するのは、ほぼ不可能に近いと思います。でも、GYAAR StudioさんとSupercellさんのサポートを受けてこうした機会をいただけたことで、gamescomやSupercellさんの試遊会で得たフィードバックをTGSで試さないわけにはいかないという気持ちで、大幅な修正を行いました。とてもタイトなスケジュールでしたが、なんとかやり切りました。
ーー深澤:世界規模のゲームショウに出展するだけでも大変ですが、両方に挑戦するのはなかなかないことですよね。そのチャンスを最大限に活かせたようで良かったです。
🟦浅羽:そうですね。短期間でそれぞれに向けて調整するのは本当に大変でしたが、日本の皆さんに直接見てもらえる機会も得られ、さまざまなデータを集めることができました。
ーー上原:Supercellの社員に直接試遊してもらい、フィードバックをもらうのは、展示会で一般の方に遊んでもらって聞くフィードバックとはまた違いましたか?

🟦浅羽:そこはやはり違いますね。どうしてもそこは多くの作品を見てきているプロフェッショナルなので。次回もしこうした機会があるなら、そのときにはさらに完成度の高いゲームを用意して、もっと喜んでもらえるようにしたいですね。
🟧保坂:Supercellの社員さんたちは、本当にトップクラスのプロなので、フィードバックの内容が非常に深くて的確でした。そのおかげで、自分たちのゲームについて新たな気づきを得ることができたと思います。
ーー上原:実は、試遊会に参加したSupercellの社員もとても楽しんでいました。「また機会があればぜひ参加したい」といったポジティブな声をもらっています。自分がワクワクしないと良いゲームはつくれない。会社になると、どうしても考えなければならないことが増えてしまう中で、純粋につくりたいものをつくっている皆さんに刺激をもらったという声も聞きました。「皆さんのパッションがキラキラしている」と感じていたそうです。

ーー深澤:Supercellさんのように、素晴らしいゲーム作品を生み出している方々と交流することで、考え方とかで共感をいただけたんじゃないかと思います。
■ こぼれ話
船酔いを克服した上でのロマンチックなバーから想像力をくすぐられた件
Supercellのオフィスの近くにある船上バーで、ヘルシンキ滞在初日にケンキツ団の皆さん、ビールを一杯ずつ飲みながら語り合ったそうです。少し寒くなってきたことと、揺れる船に少し酔いそうだったこともあり、早めに切り上げたものの、ロマンチックな雰囲気は格別!ヘルシンキならではの風景に、大いにインスパイアされた貴重な時間だった、とのことでした。

(第3回へ続く…)
※『第3回』では、「Supercellセッション体験」についてお話しいただきました!