見出し画像

隠れオタク女子4人組のデビュー作:「KILLA」で見せる若手チームの挑戦【受賞者ドキュメンタリー第12弾】【前編】

※写真左から順に紹介

■ユン・セウン(Yoon Seeun)
「ケンキツ団」でサウンドを担当し、本業の合間に通訳や翻訳もサポート。幼少期に約3年間日本に住んだ経験があり、ゲームやアニメ、ドラマのサウンドトラックに興味を持ち、音楽大学で作曲を専攻することに。大学のゲームジャム(※)を通じて正式にチームに参加。

■チャン・ジェウォン(Chang Jaewon)
「ケンキツ団」でプログラミングを担当。幼少期からゲームを楽しみ、サブカルチャーに興味を持つようになり、自然とゲーム開発を夢見るようになってコンピュータ工学を専攻。大学のゲーム開発クラブで、リーダーのチェ・ダヨン氏と出会い、「KILLA」プロジェクトに合流。

■チェ・ダヨン(Choi Dayeon)
「ケンキツ団」のリーダーで、アートとストーリーライティングを手掛けている。大学ではファッションデザインを専攻。幼少期に「プリンセスメーカー」シリーズに触れ、ゲームの魅力に引き込まれ、ゲームオタクとして成長。自身のゲームを作りたいという夢が「KILLA」制作へとつながった。

■チェ・ダウン(Choi Daeun)
「ケンキツ団」で企画およびマーケティングを担当。大学では経営学を専攻しており、現在も学生。幼少期からゲームや漫画に大きな関心を持ち、その興味をもとにインディーゲーム開発に参入。リーダーのチェ・ダヨン氏とは姉妹関係。

「KILL THE LA(ラを殺せ)」ーーゲームのメッセージとタイトルが見事に交差し、「KILLA」を初めて知る人々の興味を一瞬で引きつける。「KILLA」は、主人公の見習い薬剤師「ヴァルハラ」が家族同然の師を殺した犯人を追い、未知の島へと復讐の旅に出る物語だ。このマルチエンディングを持つ3Dアドベンチャー推理ゲームでは、プレイヤーの選択が物語を大きく動かし、異なる結末がプレイヤーを待ち受ける。どの道を選び、どんな真実にたどり着くのか、その過程を自分の手で明かしていく楽しさが魅力だ。
そんな独特な雰囲気のゲームを手がけているのは、エネルギッシュなオタク女子4人組の韓国発インディーゲーム開発チーム「ケンキツ団(黔橘団)」。誰もが心の中に自分だけの趣味や嗜好を持ち、それに情熱を注ぐことがある。彼女たちはその情熱を発現する旅路を歩む者を「黔橘(ケンキツ)」という名前で表現し、チーム名にしたという。彼女たちの隠れた情熱を見出し、世に送り出すきっかけを作ったのが、GYAAR Studioインディーゲームコンテスト(以下、GYAARCon)だった。第2回GYAARConでの受賞を皮切りに、彼女たちは多くのコンテストで受賞を重ねることとなり、その実力が認められ、声がかかる機会も増えている。「KILLA」が彼女たちのデビュー作とは思えないほどの完成度と勢いを見せている。今回は、東京ゲームショウでのショートインタビューを含め、2回にわたり彼女たちに話を伺った。

■宝石箱が集結!好きを極めた4人組が歩むインディーゲーム開発の道


――こんにちは。GYAARConの受賞おめでとうございます。さっそくですが、GYAARConを知ったきっかけは何ですか?

🟥 ユン・セウン:最初に知ったのはダウンさんです。ダウンさんは、コンテストや展示会の情報をとても早くキャッチするので、それで知りました。私は日本語ができるので、少しずつ資料を作りながら準備を進めました。

🟪 チェ・ダウン:以前から記事で存在は知っていましたが、本格的に資料を日本語に翻訳して準備を始めたのは、2023年の10月か11月頃だったと思います。

――GYAARConについては第1回からご存じだったんですね。

🟪 チェ・ダウン:そうです。第1回の時に、韓国の「The Devil Within: Satgat」チームが受賞していたので、その時からコンテスト自体は知っていました。でも、その頃はまだチームが集まっていなくて、自分たちが参加するなんて全く想像もしていませんでした。

――当時は想像もしていなかったことが現実になったんですね。みなさんはどんなきっかけで出会ったんですか?

🟪 チェ・ダウン:ダヨンさんがよく「宝石箱を集めたみたい」とか「ドラゴンボールを集めた感じ」と言うんですが、まさにそんな感じです(笑)。まず、ダヨンさんとジェウォンさんは、大学の合同ゲーム制作サークル「ブリッジ」で出会って、「KILLA」の企画を始めました。その後、ダヨンさんがゲームジャムでセウンさんと知り合い、セウンさんのサウンドが気に入ったダヨンさんが、直接メールでスカウトしました。そして、3人が集まったときに、プロジェクトを進める上で、コンテストや展示会に積極的に参加できる人が必要だという話になり、私は姉妹ということでダヨンさんの推薦を受けてチームに入りました。

――「宝石箱」や「ドラゴンボール」という表現、とても素敵ですね。ダヨンさんは、人を引き寄せる力がありそうです(笑)。最初に企画されたゲームが、今の推理ゲームとは違う内容だったと聞いたことがありますが、4人で方向性を調整されたのですか。

🟪 チェ・ダウン:最初に4人が集まった頃は、推理ゲームではなく、薬作りをテーマにしたゲームがメインでした。でも、「KILLA」を通して私たちが本当に伝えたいことは何だろうと話し合いを重ねていくうちに、キャラクターの魅力や、師匠の死の謎を追う過程をもっとプレイヤーに伝えたいという意見が一致しました。そうやって、推理要素を強調した今の「KILLA」が生まれました。

――ジェウォンさんは最初にダヨンさんから「一緒にゲームを作ろう」と提案を受けたとき、どう感じましたか?

🟦 チャン・ジェウォン:実は、ダヨンさんが企画を発表したときから、そのコンセプトがすごく気に入っていて、ぜひ一緒にやりたいと思っていました。それで合流したのですが、進めていく中で、企画やコンセプトを話し合ううちに、推理ジャンルにしたらもっと面白くなるんじゃないかという意見がまとまりました。

――皆さんとてもお若いですが、ちょうど卒業したり、まだ学生だったりと、将来の進路について考える時期ですよね。就職を考えるお年頃ですが、もともとゲーム開発をしたいと思っていたんですか?

🟥 ユン・セウン:ゲーム業界に就職したいと思っていたので、提案を受けたときに「一度やってみたい」と思いました。でも、思っていた以上に本格的に進むことになって、今は就職が少し先延ばしになっています。

🟪 チェ・ダウン:私もゲーム業界に興味があったんですが、開発よりもビジネス関連での就職を目指していました。今は「KILLA」の開発がすごく楽しくて、将来的に就職するのか、ケンキツ団を続けるのかはまだ分かりませんが、今はとにかく楽しんでいます。

🟨 チェ・ダヨン:専攻はファッションデザインで、将来はサムスン物産みたいな企業に就職するんだろうなと思っていたんですが、「KILLA」を作り進めているうちに、今はゲーム業界に就職したい気持ちが強くなりました。実際にゲームを作ってみると、想像以上に楽しいですし、もし就職するなら原画の方面に進もうかと悩んでいます。上手くいけば、このまま「KILLA」を続けていきたいですね(笑)。

🟦 チャン・ジェウォン:私はもともとウェブ開発をしていたんですが、ゲームが大好きだったので、「一度ゲームを作ってみたら面白そうだな」と思って趣味で開発サークルに入りました。でも、素敵な人たちに出会って、良いアイデアで面白いゲームを作ることができて、今は考え方が変わりました。もし就職するならクライアントサイドのエンジニアとして働くと思いますが、もし「KILLA」が上手くいけば、ケンキツ団をこのまま続けたいですね。

――ケンキツ団での活動も就職もこの4人だったら何をやっても上手くいきそうですね!皆さん、もともとゲームに興味があったということですが、原体験について教えてください。

🟥 ユン・セウン:私は幼少期に日本に住んでいたことが大きく影響しています。当時、ポケモンのゲームが流行っていて、友達の影響でポケモンをプレイしていました。ひとりでゲーム機の絵を描いたりして遊んでいたら、両親がかわいそうに思ったのか、7歳くらいにゲームボーイを買ってくれました。それで、ヨッシーアイランドやカービィ、スタフィーなどの任天堂のゲームを遊び、そこから私のゲーム人生が始まりました。ケンキツ団の活動をしている中で、さまざまなゲーム会社の方と会う機会があって本当に嬉しいです。

🟪 チェ・ダウン:私も6歳か7歳くらいに初めてゲームに触れたんですが、まだ小さすぎて自分のゲーム機がなくダヨンさんのものを2〜3年くらい肩越しに見ながら遊びました。それから自分のニンテンドーDSを手に入れて、最初にプレイしたのが「ポケットモンスターダイヤモンド・パール」でした。最初に選んだポケモンはナエトル(韓国語名前の発音は「モブギ」)で、今でもポケモングッズを集めていますし、どんなゲームやアカウントでも、ニックネームはいつもモブギにしています。

🟨 チェ・ダヨン:ある時、いとこのお姉さんの家に行ったとき、「プリンセスメーカー」をプレイしているのを見たんですが、その時、本当に衝撃を受けました。娘を育てて、その娘がどんな人生の結末を迎えるのかを見守るという体験に、こんなことがゲームでできるのかと驚いたのを覚えています。

――子供ながら、ずいぶん哲学的なお気づきでしたね。

🟨 チェ・ダヨン:そうですね、それ以来、PCゲームをたくさん探してプレイするようになり、特に推理やストーリー重視のゲームを好んでやっていました。小学校低学年の頃に「レイトン教授と不思議な町」というゲームをプレイしたんですけど、ストーリーにどんでん返しがあって、震えながらプレイしたのを覚えています。

🟦 チャン・ジェウォン: 私にはかなり年の離れたゲーム好きの兄がいて、4歳か5歳くらいの頃から家にはPlayStationなどのゲーム機が常にありました。小さい頃からずっとゲームをしていて、小学生になってからはオンラインゲームに夢中になりました。自然とゲームが好きになって、気がつけばここまで来たという感じです。

――皆さん全員女性で組まれているチームですが、ダヨンさんの意図があったのか、それとも偶然だったのでしょうか。もしケンキツ団が大きくなったら、男性メンバーを柔軟に受け入れることも考えていますか。

🟨 チェ・ダヨン:たまたま気が合う人たちが集まった結果、女性4人になったんです。でも、これは私一人のチームじゃなく、4人で成り立っているチームなので、もし新しいメンバーが入ることがあれば、男性でも女性でも、私たちと気が合って、笑いのツボや感性が合う人なら、性別に関係なく歓迎したいと思います。

――皆さん、とてもエネルギッシュな雰囲気ですけど、普段からそんな感じなんですか?

🟨 チェ・ダヨン:驚くことに、ダウンさん以外は全員内向的で静かなんです(笑)。でも、みんなが集まると賑やかになるんですよね。楽しくなっちゃうんですかね?(笑)

日本語で応募した企画書

――GYAARConに応募した際、セウンさんが日本語が得意で準備を進めたとのことですが、海外のコンテストに応募するのは今回が初めてだったのですか。また、海外コンテストに挑戦する際に難しかった点はなんですか?

🟥 ユン・セウン:海外のコンテストを目標にして準備を始めたのは、今回が初めてです。

🟪 チェ・ダウン:GYAARConの準備をした時も、「絶対に受賞するぞ!」という感じではなくて、正直、バンダイナムコの名前を見て「応募してみたいな」という軽い気持ちもありました。みんなバンダイナムコのフィギュアが好きでよく買っていたので、半分冗談で「一度応募してみた方がいいんじゃない」と話していて、後悔が残らないようにやってみようという流れになりました。実際、GYAARCon以前はコンテストで受賞したことはなく、展示会に少し参加しただけだったので、こうして良い機会をいただけて本当に感謝しています。GYAARConでの受賞後、他でもいろいろ賞をいただいています。

――GYAARConの受賞をきっかけに、良い流れが生まれたんですね。応募された時点での進捗度はどのくらいでしたか?

🟪 チェ・ダウン:その時点で進捗度は30%くらいだと思っていましたが、何度もゲームを改良しようとして、最初からやり直すこともあったので、当時は「30%」と言っていたものの、今振り返ると実際には10%から20%くらいだったんじゃないかなと思います。

――企画書と一緒にデモ版もすべて日本語に翻訳して提出されたんですか?

🟥 ユン・セウン:はい。「とにかく日本語で応募しよう!」という気持ちで、短い時間の中で一生懸命翻訳して提出しました。そのため、完成度は少し低かったと思います。

――コンテストの最終審査は面談だったと思いますが、面談では緊張したり、難しかった点はありましたか?

🟪 チェ・ダウン:面談は1回だけだったと記憶していますが、実は前日に私たち4人で5時間くらい準備をしていました。そもそも面談に進むとは思っていなかったので、「せっかくだから、しっかり準備しよう!」という感じで臨みましたが、実際の準備というより、予想質問に対してお互いに妄想話をする時間が長かったですね(笑)。「まさかこんな質問は来ないだろうけど、一応話しておこうか」という感じで。例えば、「KILLA」に日本語の声優を起用したいとよく話していて、「この声優さんがいいよね!」「あの声優さんが合いそうだね!」と、何ヶ月も前から盛り上がっていたんです。それで「まさかこんな質問は来ないだろう」と思っていたら、面談で本当にその質問を受けて驚きました。

――予想が的中しましたね。

🟪 チェ・ダウン:そうなんです!だから、準備しておいてよかったなと思いましたし、事前に私たちの考えをまとめていたおかげで、面談のときに少し楽に対応できた部分もあります。でも、実際に日本語で答えたのはセウンさんだけだったので、かなり負担が大きかったんじゃないかと思います。

――かなりのプレッシャーだったでしょうね。でも、準備を進める中でセウンさんの日本語もかなり上達したんじゃないですか?

🟥 ユン・セウン:本当に前よりだいぶうまくなった気がします。もともと翻訳はChat GPTで急いでやって提出していたんですが、今では当時の翻訳を見て、違和感を覚えるくらいに成長したなと我ながら思います。

(後編へ続く…)

※『後編』では、お互いのオタクぶりがばれた秘話や、GYAARCon受賞で得た貴重な経験、そして日韓インディーゲーム市場について感じたことなどをお話いただきました!

※後編に進む前に、東京ゲームショウの会場でケンキツ団のブースを訪ね、2人ずつ交代で行ったプチインタビューを是非ご覧ください!

■【ショートインタビュー:TGS編①】

チェ・ダウン(左)とユン・セウン(右)

――日本への訪問は初めてですか?

🟪 チェ・ダウン: 今年の上半期に初めて来ました。それからBitSummitや今回の東京ゲームショウを合わせて、これで3回目です。

――セウンさんは幼少期に3年間日本に住んでいたと伺いましたが、いつ頃ですか?

🟥 ユン・セウン:幼稚園から小学校1年生までの3年間住んでいました。

――よく日本語を忘れずに覚えていらっしゃいますね。

🟥 ユン・セウン:オタクなので、アニメを見たり、時々旅行したりしていたので、自然と忘れずにいられました。

――日本での展示会は、前回のBitSummitに続いて今回が2回目ですよね。こちらのブースはどんなコンセプトで作られたんですか?

🟪 チェ・ダウン:「Selected Indie 80」という、審査で選ばれたインディーゲーム(80作品)に提供されるブースです。ブースのコンセプトは、ゲーム内のティータイムのシーンを思い起こさせるように飾りつつ、ゲームの残酷な部分も魅力的に伝えたかったので、注意バリケードテープをバラやシルクのテーブルクロスと組み合わせて配置しました。

🟥 ユン・セウン:チーム名がケンキツ団(黔橘団)なので、みかんのアイテムも一緒に飾ってみました。

――ギャー君もありますね。

🟥 ユン・セウン:そうなんです!可愛いですよね。Tシャツもいただいたので、実は昨日はそれを着ていました(笑)なぜか色合いも私たちのゲームと合っていて、とても気に入っています。

―― 昨日、展示会の初日はどうでしたか?

🟪 チェ・ダウン:ビジネスデイなので来場者は少ないだろうと思っていたんですが、予想以上に多くの方が訪れてくださって、とても良い経験になりました。

🟥 ユン・セウン:一般公開日と比べると来場者は少ないですが、周りの開発者と仲良くなれたり、業界関係者と交流できるのでとても良かったです。BitSummitでお会いした日本の方や、GYAARConの他の受賞チームの方々とも久しぶりに再会して挨拶できて、こうしてつながりができるのが嬉しいですね。
――1人あたりのプレイ時間はどのくらいですか?質問も多かったですか?

🟪 チェ・ダウン:推理ゲームなので、クイズが解けない方が質問することもありますが、ほとんどの方は静かに座って最後までプレイして帰られることが多いです。プレイ時間はだいたい20分くらいですが、ストーリーに没頭して丁寧に読まれる方だと、25〜30分くらいかかることもあります。

――東京ゲームショウはBitSummitと比べて、規模や雰囲気にどんな違いがありますか?

🟪 チェ・ダウン:まず、ブースの配置が違うという点ですね。東京ゲームショウでは、ブースに後ろ壁があるので、装飾を工夫することができるのが特徴です。あと、BitSummitではほとんどの方がインディーゲームを目当てに見に来るのに対して、東京ゲームショウではメジャーなゲーム目当ての方がこのインディーゲームのホールにも立ち寄って見に来ているパターンが多いというのも特徴ですかね。

🟥 ユン・セウン:BitSummitはインディーゲームが中心ですが、東京ゲームショウはすべてのゲーム業界の人々が集まる場所というのが一番大きな違いだと思います。私たちもそういったメジャーなゲームに興味があるので、合間に他のブースを見て回るのがとても楽しいです。

――一般公開日が近づいていますが、緊張していますか?

🟪 チェ・ダウン:とても緊張しています。今回Xに投稿したところ、思ったより多くの方にブックマークされたり、露出が増えていて、嬉しい反面、緊張もしています。来てがっかりされないようにしなきゃ、という気持ちがあって、全力で頑張ろうと思っています。

――プロモーション用にポストカードを配布しているそうですね。

🟪 チェ・ダウン:はい、そうなんです。Steamのウィッシュリストに追加してくださった方にポストカードを1枚お渡しして、Xをフォローしてくださった方にはもう1枚差し上げるというイベントを企画しました。日本語も練習して、ステッカーも配り歩いています。

――ファンの方々へ一言をお願いします。

🟪 チェ・ダウン:皆さんに楽しい思い出や体験を提供できるよう、正式リリースまで一生懸命「KILLA」の開発を進めていきます。

🟥 ユン・セウン:何度も足を運んでくださるファンの方々、こんな小さなブースまで来ていただける方々、本当に感謝しています。期待に応えられるよう、全力で頑張ります。


■【ショートインタビュー:TGS編②】

チェ・ダヨン(左) とチャン・ジェウォン(右)

――日本にお仕事で来られたのは、GYAARConでの受賞時、BitSummit、そして今回の東京ゲームショウで3回目ですか?

🟦 チャン・ジェウォン: 私たち二人は開発をしていたので、BitSummitには行けませんでした。

🟨 チェ・ダヨン:そうなんです。私たちが開発しないと大変なことになるので、残念ですが仕方ないと思っています。

――今回参加してみての感想はいかがですか?

🟨 チェ・ダヨン:ここに来られたこと自体が、まだ信じられません。ただ楽しいゲームを卒業前に一つ作ってみようという気持ちで始めたのに、いきなり受賞して、人生が一変したような感じです。ここまで来たからには、もう後戻りできないので、この場にふさわしい作品ふさわしい作品を作らないと、という覚悟ができました。

🟦 チャン・ジェウォン: 感動して、涙が出そうです。私ももっと頑張って、ゲームのクオリティを上げなきゃと改めて思いました。大企業のブースを見たり、インディー開発者のブースを回って「面白いな」と思いながらたくさん見てきましたが、いろんな面で自分を振り返ることができました。素晴らしい作品を見ることで刺激も受け、勉強もできました。

――今回、他の開発者さんと話していて、面白かったことや感じたことはありますか? 

🟨 チェ・ダヨン:今回初めて東京ゲームショウに来たんですが、ダウンさんとセウンさんが参加したBitSummitで友達になった方がたくさんブースに来てくださってびっくりしました。あと、日本の記者さんで、とても綺麗な格好をしている方が来てくださったんですけど、日本独特の雰囲気を持つ個性的な方々に会えるのがとても楽しいと思いました。

――その記者さんは今回初めてお会いした方ですか??

🟨 チェ・ダヨン:いえ、その方はBitSummitの時から私たちのゲームを見てくださっていて、記事も書いていただきました。今回、ちいかわのグッズを4つも持ってきてくださって、感動しました。

――推理ゲームの特性上、最後までプレイしないと面白さが伝わりにくいところがあると思いますが、展示会では20分程度のプレイでどれくらい魅力を伝えられるかという悩みがあったと思います。その点はどのように対応しましたか?

🟦 チャン・ジェウォン:そうですね、それは本当に悩みました。今公開している完全版デモは元々30分以上かかるので、プレイタイムが長すぎて途中で疲れてしまい、離脱する方が結構いらっしゃいました。それで、プレイタイムを短縮しつつ、重要な部分に到達しやすくなるように適切に調整しました。ただ、推理ゲームというジャンルの特性上、やはり限界はありますね。

――東京ゲームショウへの参加を通じて、どんな成果を期待していますか?

🟦 チャン・ジェウォン:ウィッシュリストの登録数が増えることを期待しています。

🟨 チェ・ダヨン:日本はサブカルチャーがすごく発達していて、オタク文化や二次創作も盛んな国ですよね。ここでたくさん露出して、多くの人に知ってもらい、キャラクターを使った二次創作が増えるといいなと思っています。認知度ももっと上がってくれると嬉しいです。

――明日から一般公開日ですが、緊張していることや心構えはありますか?

🟦 チャン・ジェウォン:緊張よりも期待の方が大きいです。私たちはオタクなので、日本はサブカルチャーの本場ですし、地元の方々がどう感じるのか、どんな反応を示してくれるのか、とても楽しみにしています。

――では、ファンやユーザーの皆さんに一言お願いします。

🟦 チャン・ジェウォン:それぞれのキャラクターに感情移入してストーリーを作ったので、皆さんもキャラクターにまつわるストーリーやキャラクター同士の関係性に注目して楽しんでもらえたら嬉しいです。

🟨 チェ・ダヨン:「容疑者」と言うと敵のように聞こえるかもしれませんが、全員が何かしらの事情を持っているので、「この子はなぜこんなことをしたんだろう?」といった部分にも注目してもらえたら嬉しいです。好きなキャラクターを一人選んで、その子のストーリーに集中しながらプレイするのも楽しいと思います。

――私もキャラクターに集中してプレイしてみます。ありがとうございました。

(後編へ続く…)

▼後編はこちら
隠れオタク女子4人組のデビュー作:「KILLA」で見せる若手チームの挑戦【受賞者ドキュメンタリー第12弾】【後編】|GYAAR Studioインディーゲームコンテスト

▼作品紹介:KILLA
「KILLA」でヴァルハラと共に復讐の旅に出ましょう。たった一つの手がかりがあなたを謎の島へと導きます。「共鳴」「夢」というユニークなスキルを使って、師匠の死の謎を解き明かしましょう。謎に満ちた島イプスを探検し、その秘密を明らかにして犯人の「ラ」を探してください。あなたの決断によって様々なエンディングへの道が切り開かれます。全ての人を疑い…、惑い…、そして最後に「ラ」を殺すのだ…。

Steamストア:KILLA

©2024 Valve Corporation. Steam及びSteamロゴは、米国及びまたはその他の国のValve Corporationの商標及びまたは登録商標です。


いいなと思ったら応援しよう!