見出し画像

地方創生と教育改革のシナジー

§1.地方創生と教育!?

 僕が"地方創生"について課題発表があったとき、真っ先に頭に浮かんだのが教育改革だった。まず前提として、地方創生とは地域を盛り上げて、日本全体を活性化させるために必要不可欠な施策のこと!一見、地方創生と教育って関係あるの?って思う人も多いかもしれない...
そこで地方創生と教育を語る前に、地方の課題について整理してみる。

§2. 地方の課題って?

 地方の課題として、避けて通れないのは人口減少問題!人が増えているってことは何らかのプラス要素が、逆に人が減っているということはマイナス要素があるということ。
じゃあ、地方にどんなマイナス要素があるんだろう...?
アンケート結果がこれ↓↓

無題

このアンケート結果を見ると、働き先と給与が少ない点が、地方移住の最大のマイナス要素だとわかる。それなら2つのアプローチが考えられる!

減税か?雇用増加か?

ただ減税だと、より税が安いところに住民は流れて行って、最終的に地域単位の”減税競争””によって、周辺地域の行政サービスは軒並み下がってしまう。つまり、地域の”パイの奪い合い”をしただけになる!

雇用増加しかない!

そう!雇用増加しかない!(笑)
ただ、ここで行政がやってくれるのを待つのは甘い!第3セクター(官民共同出資・経営している会社)は、約43%が自治体から計4兆円もの債務があり、大失敗している。

なぜ、自治体が総力を挙げているのに失敗するんだろう?

 失敗理由は、行政が主導で経営するからこその弱点にある!
税金を投入するわけだから、「地元合意」と「制度制約」に乗っ取って、第3セクターの経営方針は決定される。その「地元合意」を得るために、”まちをあげた活性化”が目標化されて、その大きすぎる目標実現のために膨大な予算をかけ、希望的観測ばかりの絵にかいたような事業計画が実行される。
 また役員には役所絡みの人が就き、経営経験者ではない人によって経営がなされ、上手くいかなくなっても潰すわけにいかないと自治体の補助金によって補填されるため、役員は経営責任を負わない。

上手くいくわけない!(怒)

 やはり、雇用増加のためには民間の力が重要になる!

§3. これが民間の力!~猫しか通らない商店街~

 民間主導による地方創生(雇用増加)の一例をあげると、大分県の豊後高田市の商店街再生計画だ!

スクリーンショット (8)

ちなみに豊後高田市はここ↑↑
古くから海運交通が盛んで、戦後から60年代まで電電公社(現在のNTT)の支社など大手企業の支店・支社が立地する国東半島の経済的な中心地として繁盛していたらしい。(※1 根本祐二『豊かな地域」はどこが違うのか』ちくま新書)
 しかし、高度成長期に移動の手段が車に変わると、水運の役割がなくなり、人の流れが大きく減少を始めた。豊後高田の商店街はお客さんを失って「ネコしか通らない商店街」と呼ばれるようになった…

画像3

こういった現象は、地方でよく見られることで、ニュースでもとりあげられることが多い。

ただ、多くの商店街がそこで税金による補助をしてもらい、国のメニューにしたがって活性化を目指す。豊後高田商店街も最初はそうしていたが、成果は上がらなかった。

 さまざまな失敗の結果、地元の人たちが決めたのは”原点回帰”だった。そこで、「豊後高田昭和の町」が始まった!

 商工会議所や行政の若手がアイデアを出し合って、協力した。この計画は従来の国の商店街再生プログラムとはいくつかの違いがあった。

1つめは「昭和の町」をテーマにしたため、昔懐かしい昭和建築(木造建築やうだつなど)、‘”一店一品”の専門店化、昭和の商人再生として温かい接客の実現のため、おじいちゃん、おばあちゃんに店番復帰してもらった。
2つめは全員の合意をとらず、賛成した人だけで進めたこと。そうすることでスピーディーに、決定することが出来た。また、テーマパークではないので、すべての店を同じ時代の街並みにする必要はなく、訪問者は自分にとっての昭和の町に合うシーンを選び出して、満足できた!

画像4

結果発表!!!

 結果として、観光客0の商店街はわずか数年で観光客20万人を数える人気商店街にチェンジし、雇用も大幅に増加した!!それに伴って、大学へ通うため一度市外へ出た人の中で、Uターンする人も多くなった。

こういった成果を出せた要因は民間が主導となって、行政はノウハウ面や整備面の適切な支援プログラムを実施するバックアップに徹したこと。
また地域資源にこだわらずに柔軟な姿勢をもったから!

豊後高田市だけではなく、いくつかの自治体が地方創生に成功している!

身近なところでいうと、大阪府此花区もそうだ!
此花区は高度成長期に阪神工業地帯の中心として活動してきたものの、徐々に国内外に工場移転が進み、2000年代初頭には工場の跡地が増えてきていた。
そのタイミングで工場跡地をどう活かすか、大阪市は機敏な誘致、整備によりUSJ誘致を勝ち取り、USJはその後日本を代表するテーマパークとなった。
”高度成長期に取り残された自治体”は、いまでは人口増加に成功した非常に稀有な自治体へと変貌を遂げた!

画像9

ただ、これらの自治体は非常にまれな例!
現状、多くの自治体は地方創生(雇用増加)に
成功していない。

だから、「官民共同になって頑張ろう」なんて、うわべの結論で筆をおくことはできない!(笑)

§4.3つのソリューション

 いまでは多くの自治体が官民共同で地方創生を図ろうとしている。
それでもまだまだ成功する確率が低い要因として3点挙げる!政治学科に所属する大学生として、政治行政分野の課題に絞った。

画像10

①自治体の力不足
自治体の適切な支援プログラムを組む力が足りていない。

②有権者の地域理解不足

政治抜きで経済は語れない。いくら民間が頑張っても、政治よくなければ地方創生は成功しない。
 近年、低いと問題提起されることの多い国政選挙の投票率よりも、さらに地方議会の投票率は低い!棄権理由1位は「政治に関心がない」。それって自分の住んでいる地域の課題を知らないのが理由じゃないだろうか?

③地元愛の薄れ
大学や専門学校へ通うため都会へ行くと戻ってこない。(愛着が薄いため、戻って来る理由がない)

僕はこれらを順に解決するため、
3つのソリューションを提案する!

1つめはシティ・マネージャーの設置!
 “自治体の力不足”を解決する目的だ。海外ではシティ・マネージャーと呼ばれる専門家によって自治体経営を行わせる手法があって、選挙ではなく市長や議会によって任命される。

画像5


もちろん、政治的には中立を求められて、市長や議会が政策判断を行う際に、データや情報を整理して、選択肢を提示する。役所に経営の専門家をいれることによって、ちぐはぐな経営計画になることを減らせるのだ。
また住民にとってもメリットがある!大事なポイントは「地域の人が地域のことを知っている」とは限らないことでシティ・マネージャーが地元出身であることは普通はないため、外から地域の人が気づかないような点も発見できる。
住民はシティ・マネージャーの提示した費用対効果の高い選択肢から選ぶ方が、「自由に考えてね!」や「行政から決められたプロセス」を淡々とやらされるよりもモチベーションを高く、また安心して取り組めるのだ!

2つめは住民の地域理解をあげる教育!
 “有権者の地域理解不足”へのアプローチだ。みなさんは地域教育、義務教育で習ったでしょうか?
僕は小学校時代に神戸市に住んでいたこともあって、港や酒蔵までみんなで見に行ったことを今でも覚えている。

画像6

カリキュラムの内容は、地域にこんな歴史があるよ!こんな強みがあるよ!ってことを語り継ぐ教育だった。もちろん大事!!
ただ地方創生を考えると、強みの部分だけではなく弱み、目標、今後求められることを地域住民に共有して、理解レベルを合わせる必要がある!

そこで僕たちの研修を思い出してほしい!
これからの地域理解の教育、僕たちもうやっちゃってます(笑)

 “Will•Can•Must”シートや、“自己理解(地域理解)フレーム”、“PDCA”、これ全部使える!これを小学校の地域理解教育において、地元に当てはめることで、地域の強み、弱み、今後何をしないといけないかの理解を深められる。
 また今日では自身の志が見つからず、“自分探しの旅”なる旅に出て行ったまま、人生に苦しむ人も多くいる。“人生をどう生きるか?”といった大きいテーマでも、先ほどの地域の部分を自身に置き換えて、考える癖を多くの人が身につければ、そういった人を減らす1つの手段になる!

まさに一石二鳥!(笑)

そして10年後、その教育を受けた彼らが投票権をもったとき、いわゆる劇場型政治に惑わされることは少なくなる。
地域の課題に自治体が向き合う際に有権者一人一人がさまざまなものさしをもって適切な支持・批判を行う。そういったシビック・パワーを高めることで、地方自治はより良くなるはずだ!

3つめは地域教育を復古することだ。
 “地元愛の薄れ”を解決する。江戸時代の我が国では寺が教育を担い、寺小屋で文字の読み書き、計算等を教えた。それによって、世界有数の識字率を誇っていた。
学制が規定された明治以降は学校が教育を担ったものの、昭和までは地域で子どもを教育する環境があった。ただ、核家族化が進み、地域の絆やつながりは希薄化し、地域そのもののありかたが大きく変わってしまった。

画像7

どこまでが体罰ですか~?お尻を叩くのもアウト!?

そんなニュースも最近TVでやっていた。今の社会において、親を含む大人は学校に「教育」を押し付けすぎているのではないだろうか?

教育の役割分担しよう!

親は子どもを温かく見守り、第一の教育者として躾ける。
学校は勉強を教え、子どもは集団生活から規律、規範を学ぶ。
地域では大人全員が教育者であることを自覚して、子どもは多くの年齢層と接することから小さい社会実践、さらにその地域の風習や歴史を肌で感じる。

この教育のトライアングルによって、地域の絆、縦横のつながりを強固にして、かつての地域らしさ、地元愛をもう一度取り戻せるはずだ。

長くなっちゃった・・・
ともかくも、僕はこの3つのソリューションを地方創生のアンサーとしたい!

先週母方の実家の宮崎県に帰省してきました(^^)
やはり宮崎県の過疎化・高齢化は肌で感じる。
地方創生は早急にどげんとせんといかん!!

画像8

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?