【書評】インテグラルシンキング ~統合思考のためのフレームワーク
本の概要
・この世界に存在するありとあらゆる情報は四つの領域に分類することができる
・その領域とは「個の内面」「個の外面」「集団の内面」「集団の外面」の四つである
・四つの領域それぞれの中にある重要な真実や洞察をすくい上げ、それらをひとつの物語にまとめ上げるのが「統合的に思考する」ことである
インテグラルシンキングの目次
■序章 統合的に思考するとは
■第一章 世界の四領域
■第二章 視野狭窄の罠
■第三章 知性の成長段階
■第四章 対極性の統合
本のポイントまとめ
便宜的な一般化
21世紀に入り、あまりにも多い情報が手に入れられるようになりました。
この無数に存在する多種多様な情報を整理・統合するための方法としてインテグラル理論は「便宜的な一般化」という方法を使います。
この「便宜的な一般化」の法則にもとづいて世界にある多種多様な情報を四つに分類します。
個の内面・・・問題や課題に取り組んでいる関係者の主観領域。
集団の内面・・・関係者が共有している空気や風土や文化の領域。
個の外面・・・課題や問題に取り組んでいる関係者の客観的な領域。
集団の外面・・・共同体(コミュニティ)の客観的に観察できる領域
世界を統合的に見るためにはこの四つの領域を意識的に利用することが重要です。
対極性の統合
統合的思考法の基盤となる四領域とは対極的な要素が組み合わさることで成立します。
対極性の本質
・相互に依存しあう
・対立しながらも同時に補完し合う
・どちらかを正解としてもう片方を排除できない
ひとつの領域の論理で世界のすべてを説明するのではなく、互いに対立しながらも同時に保管し合う複数の論理に基づいて構成されていることを認識することに重きを置くべきです。
対極の例として質と量が挙げられます。
例えば仕事においての健全な質は価値や使命の重視、品質の確保などが挙げられます。しかし、質に重点を置きすぎると、精神主義・心理主義、経済効率の犠牲など、量の領域が犠牲になります。
一方で、仕事においての健全な量は業績や成績の重視、安定した経営などが挙げられます。しかし、量に重点を置きすぎると、拡大主義・拡張主義、貨幣信仰など、質の領域が犠牲になります。
このように、どちらか一方を絶対的価値として置くのではなく、対極する二つの論理を統合することが尊重されるべき思想といえます。
感想
ぼくがこの本を手に取った理由として、大量に蔓延る情報との向き合い方を知れる方法が分かればいいなと思って読み始めました。コロナの影響で真偽がつかない情報に対しての向き合い方を少しでも知れれば役に立つかもと思った次第です。
本を読み進めるうちに普段情報と接するときは個の内面と個の外面しか向き合っておらず、「その情報は集団にとってどんな影響があるのか」などは考えたこともありませんでした。自分の浅はかな主観ではなく、集団的に、組織的に考えることで情報を一歩引いた見方ができます。
この本の刊行は2011年で少し古いですが、仕事の質と量の話などを例に出しながら先入観に切り込むような話が多々あったのが印象深かったです。
1つの領域に囚われると複眼的な視野が狭まるのは危険だと読むと感じます。
新たな視点が欲しい方、情報と真に向き合い方におすすめです。
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