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「第二の原神」とも呼ばれる「幻塔」、中国大手サイトTapTapストアでは賛否両論に

■抜け出せない「競合コンテンツ」論争
年末悪いニュースが続き、静まり返った中国スマホゲーム業界に一波乱が起きた。第二の原神とも呼ばれる「幻塔」のオープンβ開始のことである。
タイトル発表以来非常に注目され、公式ページでは事前登録者数が1500万人を超えた。「IPモノ」ではない新作スマホゲームとしては中々見られない光景だ。
 
ただ、「二次元キャラ」「オープンワール」の要素からは超人気ゲーム「原神」を連想せざるを得ない。

自由度の高いキャラクタークリエイトシステム

「幻塔」と「原神」のゲームとしてのクオリティーは、クローズドテスト時から激しい論争が繰り広げられていた。SNSでは「グラフィックパクリ」、「開発者がミーハーだ」などと言われ、加えて3次クルーズドβの定員を一部関係者優遇、新キャラPVで「崩壊3rd」の武器デザインを模倣など運営事故もあり、公式が謝罪する事態を招きゲームの評判を落とした。

そして最も問題となっているのは、「原神」の競合コンテンツとしての認識が定着してしまうと、更に細かいところまで「原神」と見比べられてしまう事だ。ユーザーの潜在的期待がより一層高まってしまい、少しでも期待に応えられないポイントが生じると、更に評判の低下を招いてしまう。

12月21日現在、「幻塔」はiOSの無料・売上ランキング、ゲームカテゴリのトップ3に入ったが、TapTapストアでの評価点数が開始前の「6.8」から「5.6」まで下落した。リリース開始当時のレビューではプラス評価は5,088件に対し、マイナス評価はその倍以上の12,693件にも達した。

TapTapレビューポイント

■「幻塔」は「原神」ではない
もし、他社のゲームと比較せず「幻塔」だけにピントを合わせて、「二次元」「オープンワールド」という要素から垣間見れば、「原神」とは根本的違うゲームだということがわかる。言い換えれば、「幻塔」はデザイン段階から「第二の原神」を目指してはいなかったし、ゲームジャンルも違うため「第二の原神」になることもできない。
 
まず「原神」と「幻塔」はそれぞれ2017年、2018年に立案された。「原神」は2019年6月に最初の予告PVを出し、2020年6月11日に3回目のクローズドβを開始した。それに対し「幻塔」は、2020年6月9日に最初の予告PVを出し、4ヶ月後に初回のクローズドテストを開始した。開発サイクル的には、少なくとも「幻塔」の開発段階では、まだ正式リリース前の「原神」をベンチマークとするはずがなかった。「原神が儲かったから」と言えるようになる前に、既に「幻塔」の開発は一定規模に達していたと思われる。
 
「原神」に似ている部分は、二次元グラフィックとオープンワールドのみ。
「幻塔」のゲームジャンルは「FF14」や「ワールド オブ ウォークラフト」のような「MMORPG」であり、本質上「原神」とは全く違う。
 
遊び方では、ワールドチャット、プレイヤーギルド、PVPなど、古き良きMMORPGの要素を欠かさず盛り込み、プレイヤー間のコミュニケーションを重視している。比べて「原神」は、ワールドの探索やストーリー、ソロプレイなど、「幻塔」のデザイン理念とは逆の方向性になる。似たテイストのキャラクター、ワールド上でプレイするが、それぞれジャンルの違うゲームであるため比べられない。

■まとめ
「幻塔」は、MMORPGというカテゴリにて、現在中国で流行りの「二次元ティスト」および「オープンワールド」を融合した。若い年齢層のプレイヤーのニーズに合わせて「MMOプラス」としてを打ち出している点は新たな挑戦として評価できる。

ただ、市場ターゲットは「原神」と被っており、これからユーザーの奪い合いとなる。「幻塔」としての長い試練はまだ始めたばかりだ。


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