これからの3Dキャラクターとヴァーチャル市場
ヴァーチャルで活躍する人たち
近年ヴァーチャルYoutuber(以下Vtuber)が大流行していますね。
数年で6000人以上のVtuberが誕生し、個人法人問わず多くのYouTube動画を配信しているとの記事を読み、驚きを隠せません。この「個人」によるVtuberたちの大量参入は、OculusやViveなどのVRデバイスの浸透、Unityなどの開発環境やBlenderなどの無料DCCツールの普及が大きく背中を押している結果ではないかと思っています。リアルタイムモーションキャプチャCGの技術的ハードルが一気に下がり、デバイスの進化と浸透も手伝いある程度のレベルであれば個人でも好きなキャラクターに扮し動画を配信したりバーチャル空間で活動できるようになってきました。
個人的な憶測ではありますが、Vtuberが生身のYoutuberのように爆発的に流行ったもう一つの大きな理由として、インタラクティブ性と双方向性のコミュニケーション機能があったからだと思っています。CGキャラなのにリアルタイムにリアクションし、まるで実在するかのように視聴者とコミニケーションが取れる。その生っぽさはAKB48が打ち出していた「会いに行けるアイドル」のそれに近いと感じることもあります。3次元のアイドルではないためスキャンダルリスクの少なく、それによりVtuberは、2次元ファンたちにも広く認知されていったのかなと感じています。2次元でも3次元でもない、そのいいとこどりの存在が今後どのような発展を見せるのか、少し考えて(妄想して)みました。
3Dキャラクターのあり方は変わるかも?
少し話が変わりますが、Epic Gamesのオンラインバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』というゲームでは、過去1年間だけで24億ドルもの収益をあげているというニュースを目にしました。
基本プレイ無料のこのゲームの主な課金要素がプレイヤーのアバターの拡張(服やモーションの購入)というのが驚きです。課金により強くなる「pay to win」を完全に排除しているところがこれからの課金による付加価値創造を感じさせます。
かっこよくなるために、おしゃれになるために、目立つために、課金するのがこれほどまでに受け入れられた背景に、オンラインゲームのコミュニケーションツール化、が大きく起因していると感じています。
たくさんの人たちと遊ぶコミュニケーションツール化されたオンラインゲームの中で、アバターをカスタマイズし自己表現をする、というのはSNSで自身のオンリーワンのプロフィール画像を設定するのと同じような感覚なのだと感じています。
これからの3Dキャラクターのあり方は、よりコミュニケーションの場での自己表現に特化していくと考えています。
仮想世界と自己表現の市場
弊社のグループ会社であるVR法人HIKKYが仕掛けたヴァーチャルマーケット2(以下Vケット)が2019年3月8日~10日の3日間開催されました。VRチャット内に特設ワールド設け、個人、法人がブースを出展、来場者がアバターやアイテムを購入できたり、VR空間ならではの体験ができるブースで遊べるなど、本物のコミケさながらの大型VRイベントに、延べ10万人以上が来場し、様々なVtuberたちも参加・PRをしていました。VRチャットというプラットフォームの中で、多種多様な人間が想い想いのアバターで出店、来場し、そこで消費活動が行われる世界は、紛れもなく現実世界の市場と同じものが広がっていました。
この新たな試みであるVケット、第三回、バーチャルマーケット3が今年の秋に開催が決定されました。
ご興味のある方はぜひご注目ください。
現実世界と仮想世界はもっとリンクする
すでに仮想空間での自己表現や消費活動は発達しはじめ、今後更に仮想空間は拡大、そこに今まで存在しなかったニーズが現れ、サービスが充実していくことでしょう。すでに流行しつつあるアバターの販売だけでなく、オンラインゲームのように仮想空間内での土地不動産売買、現実世界とリンクしたサービスも出てくるはずです。仮想空間内だけで完結する雇用も出てくることで働き方も変わるかもしれません。
自己表現としての3Dキャラクター、コミュニケーションの場としての仮想空間、そしてその二つが市場を形成しつつある、という事実が、VRチャット、そしてVケットのような、コンテンツが今後メジャーになる未来を示していると感じます。技術的な障壁は多々あり、まだ雲掴むような話ですが、誰もが手軽に仮想空間で活動する未来はそれほど遠くありません。