日向坂46「ナゼー」の歌詞からみる、浄土真宗の み教え
こんにちは。
浄土真宗本願寺派弘教寺副住職の小林真法と申します。現在浄土真宗の学校で真宗学を勉強中の25歳です。
最近日向坂46が好きで(箱推しです)、日向坂46で何か書きたいと思い、こちらに記しました。
日向坂46の4thシングル「ソンナコトナイヨ」の収録曲(Type-C)「ナゼー」を引用しまして、
浄土真宗の往還回向について書いてみたいと思います。
こちらは「ナゼー」の公式のMVです。
日向坂46主演のドラマ「DASADA」の話の中で登場するアイドルユニットの楽曲です。
「ナゼー」の歌詞の詳細は以下に掲載させて頂いています。
歌詞の中で私が本日特に取り上げたいところは、
というフレーズです。
ここからは浄土真宗の内容の話を進めていきます。
「ナゼ」の向こう側
私もそうですが、皆さんも何か物事が起こると、起こった事象を「当たり前」だと思ってしまい、疑問を持たずに見過ごしてしまうということがあると思います。
しかしながら、人間は「なぜ?」と考えることによって文明を発展させてきました。コペルニクスの地動説も、ニュートンの万有引力も、「なぜ?」と疑問を持つ事によって生まれた賜物です。
さらに「なぜ?」の遥かその先には、目に見えない、人知を超えた、広くて深遠な世界があるのではないでしょうか。
例えば、生老病死に関する疑問は仏教にヒントを見いだせるのかもしれません。
往還回向
浄土真宗で読まれるお経の1つに「正信偈」(しょうしんげ)というお経があります。
その中に、
「往還回向由他力(読み:おうげんねこうゆたりき)」
という言葉があります。
漢文をやったことのある人なら、漢字に返り点と送り仮名をふって書き下すことがあると思いますが、この言葉では、
「往還(おうげん)の回向(えこう)は他力(たりき)による」と書き下せます。
そしてこの言葉の現代語訳は以下の太字部分です。
つまり、「私たちが極楽浄土という世界に往生(おうじょう)成仏(=仏となる)させていただくのも、仏として人間世界に戻って私たち衆生(=みんな)をすくうはたらきを賜るのも、全て阿弥陀如来(=浄土真宗のご本尊)の本願力によるものだ」と述べているわけです。
今を生きている私には、
死後の世界がどうなるか、
明確な答えを出すことは到底出来ません。
しかし、仏様は
「死んだらどうなるの?」
という問いに対し、
「あなたがその命を終えても、必ず浄土に迎え、仏に生まれさせます」
とお示し下さり、
「死んだら地獄に落ちるの?」
という問いに対し、
「『あなた』を極楽浄土にすくいとるから、安心しなさい」
とお示しくださいました。
今の私は、そんな仏様からのおはたらきに感謝することもなく生きていますが、
そんな私のことを心配し続けて下さる仏様の存在に気づかされたとき、
歌詞にある「当たり前になっちゃいけない」
感謝しよう!という気持ちが湧いてくるのだと思います。
浄土真宗では、普段、仏様に感謝の気持ちをお伝えするために、「なもあみだぶつ」とお念仏申させて頂きます。
「なもあみだぶつ」とお念仏させていただくことで、
日々の「ナゼ?」を「そんなの当たり前じゃん」ではなく、
「めったにない、有り難いな」と気づかされていくなかで、
感謝の気持ちを持って日々を過ごしていきたいですね。
お読みいただき有難うございました。
弘教寺副住職 小林真法
サポート頂きましたお布施は全てみ教えををお伝えするための、日々のお寺の活動に還元させて頂きます。