EP.11「蠍座ってどんな人?」〜星詠みの物語〜
「そうよ、わったっしは~♪」
・・・・・・・・・
「わったっしは~?」
さ、蠍座の女?
「おぉー、知ってた! 歳がバレちゃうねえ~」
いや、あの、年齢どころか、自分が蠍座かどうかさえ分からないのだけれども・・・
「まあまあ。それはさておき、今回は蠍座なんだけど・・・ぶっちゃけた話、西洋占星術の中で一番の 風 評 被 害 を受けている星座だ!!」
ふ、風評被害・・・?
「世の蠍座の皆さまのためにも、ここで汚名返上しなければ!・・・ってことで、ここで蠍座の特徴を紹介したいと思います。それはずばり・・・執念深いぃ!ねちっこいぃ!怒るとやばいぃ!の三拍子ぃ!」
・・・汚名返上するどころか、挽回してるのでは?
「いや、その通りとしか言えないから仕方がないかなーって。風評被害って言っちゃったけど、まあぶっちゃけ正しいし?」
なんか、開き直ってませんか・・・?
「ただ、一見恐ろしそうな蠍座のその特徴も、本人たちからしたら理由があるんだよ。前回の天秤座は、相手と自分は違う存在である、境界線があるって考えがベースになってたよね。天秤座の次に位置する蠍座は、その境界線を何とか越えて、目の前の人物と一体化しようとするんだ」
境界線を越えて・・・一体化・・・?
「そう。もちろん、簡単なことじゃない。自分と他者が違う存在だなんて、天秤座じゃなくても分かること。それに対して蠍座は、「それでも」と言って相手と一体化しようとするんだ」
ふいに、頭の中で「激しい」という言葉がよぎった。
「そこで、どうやって相手と一体化しようとするのかって話なんだけど。蠍座特有の徹底した洞察力を使うことになる。蠍座は、ぼーっとしているようで、その眼は絶えず周りを観察している。その洞察力や観察力で、相手の心の奥底へぐいぐい入っていこうとするんだなー」
な、なんだか怖い・・・
「だよね。何せ、蠍座の方は相手を深く理解しようと本気だ。相手を見かけや噂なんかで判断することはない。一般常識や社会的通念なんかは全く通用せず、ありのままの、そのままの相手を見透かしてくる。まあ、ここらへんが、蠍座が怖いって言われる由縁なんだけど」
ありのままを・・・自分で見て考えたことを信じるってことかな・・・
「そして見抜いた結果、その人が信用に足る人物だと思えば蠍座は全ての信頼を預ける。一種の忠誠心に似たとこあるよね。三国志でいうと、趙雲みたいなやつ!」
ちょ、ちょう・・・?
「あれ? 三国志は知らなかったか。・・・ま、ともかく、それほどまでに蠍座は目の前の人と深く通じ合うことを望んでいるんだ」
つまり、その重さこそが、相手にプレッシャーを与えることになるのか。
「そういうことだね。まぁ、実際一番辛いのは蠍座の方なんだけどね」
それはどういう・・・?
「さっきも言ったけど、人はそれぞれ違う存在だ。他者と一体化するなんてことが無理なのは、実は蠍座自身が一番分かってる。どんなに愛せども慕えども、一緒になれないという絶望にも似た気持ちを本能的に知っている。叶わない理想さ」
たしかに、そう考えるとなんだか可哀想かもしれない・・・
「それでも蠍座は、諦めないんだ。人と人は分かり合える。心の奥底で真の意味で通じ合えるって信じてる。無理なことに、敢えて挑む。だから、蠍座は重いとか執念深いというのは、風評被害でありながら正解ってわけ」
・・・バカにしていたわけではないけど、蠍座のこと、少し誤解していたかもしれない。
「さーて、恒例の落としタイム!今回説明したように、深い思い入れがある蠍座だけど、思い込みが激し過ぎると単なるストーカーになることもある!相手の様子を伺わないと相手のことをがんじがらめに束縛してしまうこともある!これで立派なアブナイ人だ!おめでとう!」
・・・せっかく、見直そうとしていたのに!
次回EP.12「射手座ってどんな人?」
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