小説『オスカルな女たち』 44
第 11 章 『 感 情 』・・・4
《 おとなの階段 》
かつて、玲(あきら)に「おまえは蛇苺だ」といった男がいた・・・・。
ありとあらゆる煌びやかな花になぞらえた玲を、こともあろうに「蛇苺」と言ったのだ。
そこは決して気軽ではない、店内の床すらふかふかのベルベッドが敷き詰められた豪奢なバーだった。
「君は薔薇より美しい。僕の最愛のバラだ」
人目を気にせず跪き、しおれそうな赤い薔薇を一輪差し出すその男の度胸は買うが、高級そうなスーツに身を包みながらも品のない、実