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東海大と走ったオーストラリア人学生ランナー

エドワード・ゴダード。
アメリカ、アイオナ大学院に通うオーストラリア人の学生ランナーです。
昨年5月、東海大学、東京農業大学駅伝部、そして2つのトラックレースにも参加をしました。

私と彼が出会ったのはオーストラリア、シドニーです。彼の練習場所と当時私が滞在していた場所が近かったこともあって、一緒に走り出したのがきっかけでした。
自身の成長のためいろんな環境にチャレンジする陽気なオーストラリア人学生ランナーのランニング人生はどのようなものでしょうか。

彼がランニングを始めたのは6歳の時、学校のクロスカントリー大会で5位に入ったことがきっかけでした。11歳の時には全国大会にも出場。
高校に入学する頃にはクリケットをメインにスポーツを行なっていましたが、徐々にランニングへとシフトしていったようです。
お母さんがハーフマラソンに参加するなど、ランニングを楽しんでいたことも大きな要因だったと言います。

徐々にのめり込んでいくランニング。走行距離は200kmを超える週もあり、非常に練習熱心です。自然豊かな環境もあり、オーストラリアのランナーは公園の芝生やトレイルなど、不整地を走る人が多いように見受けられますが、練習の90%弱はロードやトラックで走っていた彼。練習日誌もしっかり手書きです。

2018年には世界学生クロカン、コモンウェルズゲームスのハーフマラソン代表にも選出されるなどメキメキと力をつけていきました。
オーストラリアのトップチーム、メルボルン・トラッククラブの練習にも参加するなど国際舞台で活躍する選手達に刺激を受けます。

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2018年冬、大学卒業後の進路として日本の大学院、もしくはアメリカの大学院を検討していました。
当時、ロードレースを中心に活躍の場を見出すのか、それともトラックやクロスカントリーを中心として競技を続けるのかを悩んでいるときに、その存在を知ったのが日本の駅伝だったと言います。多くの日本人学生がハーフマラソンで好記録をだす現状に関心を抱き、そこに自分の成長のチャンスがあるのではないかと考えたと言います。
また"The way of the runners"日本語版タイトルで駅伝マン。世界13ヶ国語に翻訳されているこの本を読んだのも日本の駅伝を知るきっかけの一つだったようです。



2019年4月にはアメリカの大学へ体験に、そして5月には日本へやってきました。彼の練習参加を引き受けてくれたのが東海大学駅伝部さんでした。

約10日間に渡る、日本滞在の中で日体大記録会、平成国際大学記録会の5000m,10000mにそれぞれ出場。1レース目前の調整では東京農業大学駅伝部の練習にも参加しました。

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日本でのお気に入りコースは砧公園。クロカンではなく外周コースの方が好きのようです。
大好きな日本食はお好み焼きと言い、3食全部お好み焼きの日もありました。

日体大記録会でのレースを終えると東海大での約1週間の練習に参加しました。

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食あたりなど少しハプニングもあったようですが、練習、生活ともに非常に充実した1週間を過ごせたようです。滞在中には箱根駅伝ミュージアムにも連れていってもらえたようでした。また海が大好きな彼はオーストラリアではほぼ練習の後にはビーチに行って、泳ぐのが習慣。5月の時期、海に入るにはまだ早時期でしたが、どうやら湘南の海で泳いだようです。

タイムや記録にこだわるのが好きな彼は、日本チームがよくトラックで行うペース走のスタイルを気に入っているといます。現在のアメリカでもオーストラリアの時も、ペース走などを行うときは基本、トレイルなどの外に出ることが多いため、きっちりペースを把握できるトラックでのペース走はスイなようです。
もし彼が日本のチームに入ったら一番克服しないといけないのは朝練の時間に起きることのようです。滞在中はどうやら起きれなかったとか。

レースの時も過度に緊張せず、リラックスしすぎなようにも感じましたが、走る楽しさを見出す姿勢は学ぶところが多いように思いました。

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最終的にはアメリカの大学院を選択しましたが、今でも日本の駅伝、ロードレースには関心があり、常に日本の大会はチェックしています。チャンスがあれば日本の実業団で走りたいという思いもあるようです。

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アイオナ大学院ではスポーツジャーナリズムを学びます。
チームの雰囲気はすごくあっているといい、練習も大きくオーストラリアと変わりもなくスムーズな移行ができているようです。
初めてのNCAAクロスカントリーシーズンは思ったような結果ではなかったようですが、一番学んだことはレース戦略と言います。狭いクロスカントリーのコース幅に多くの人数で走るため、オーストラリアのクロスカントリーで経験できなかったレース中の位置どりなどが難しく苦しんだようでした。
しかし今年の室内シーズンでは5000mで14'00の自己ベストを更新。

彼の大学の日常を簡単に紹介してくれました。
男子チームは約20名。
4人のコーチ(ヘッドコーチ1人、アシスタントコーチ4人)で男女チーム両方を指導します。東海大学との違いは学生コーチやマネージャーの存在が彼のチームにはいないことだと言います。
コーチ達からのアドバイスはあるようですが、食事は基本的には自です。
練習は午前と午後の2部練で9:30-10:00の間で午前の練習をスタート、午後は5:00-5:30の間に行います。彼の場合、授業は夜間に。

2月に行った室内シーズン中の1週間の練習の例を以下に紹介します。

日曜 2時間ロング走 
月曜 70分ジョグ+流し/ 30分ジョグ
火曜 200m×3,1000m×6,200m×3/ 8kmジョグ
水曜 80分ジョグ
木曜 30分ジョグ 200m×8/ 30分ジョグ
金曜 13km テンポ走/ ジョグ
土曜 60分ジョグ(16km)

現在はコロナウイルスのため、シーズンが早くに終了し、オーストラリアに帰国。NCAAの規則により、NCAAに申請を出してコーチからのスケジュールに基づいて練習を継続していると言います。(シーズン外のコーチからの指導は申請が必要)
オーストラリアでは2人までの行動は許可されているため、ランニングの時間が他者と関わるいい時間になっていると言います。

現在の大きな目標は2022年のコモンウェルスゲームズ、世界陸上のオーストラリア代表入り。年々、トラック種目はレベルが高くなってきているオーストラリア代表を勝ち取るためにはもちろんレベルアップは不可欠です。
将来はマラソンも視野に入ります。
アメリカでの経験を得て今後彼がどのように進化していくのか目が離せません。


日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。