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本当の自分

世界史の授業で、「現代は自動車・飛行機など移動手段やインターネットなどのテクノロジーが発展し、便利な時代になった」と先生は言った。

ふと疑問に思った。便利になったことに異論はない。しかし、「今の現代が生きやすいか?」と聞かれた時、僕は間違いなく「NO」と答えるだろう。

恐らくこれは、僕だけの感覚ではない。
世間一般的には生きやすいと思っている人の数の方が少ないのではないか。

人間は進化の過程で狡く、自分を繕える人間が勝ち残ってきた。これは歴史を見れば明らかで、第一次世界大戦では、イギリスはユダヤ人・アラブ人双方に国家建設を約束し、その問題は現在まで引き続いている。第ニ次世界大戦ではドイツはロシアとの条約を破った。人間の歴史は裏切り、繕いの連続だ。

だから大人になると、見栄をはり、気を使い、自分を繕って生活する。

しかしそれにそぐわない人いる。
学校で習った道徳に従い、ルールを守り、他人の意見を尊重する。いわゆる『いい人』もその一人だ。

『いい人』は確かに人に好かれ、尊敬される人間だ。しかし、どこか面白みがなく、眩しすぎていたい。それはいつまでも、理想を追っている子供のように。

僕が会社に入って、『いい人』は生き残っていけない。人間として生き残るには狡く、繕って生きることが正しいのだと痛感した。

だから、僕は毎日笑顔を貼り付け、自分の意見を曲げて相手に合わせる。

最初は辛かった。けれど、意外と早く慣れるもので、今では僕の本物の笑顔と作り笑顔の違いに気づける人はいないくらいに繕うのが上手くなった。

僕も、自分の繕いに騙されている一人だ。

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