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積極財政派の欠陥とは?

今、日本の財政政策の中で「財政再建派」と「積極財政派」で議論が分断されています。中でも積極財政派の意見を整理すると以下の通り。

①日本政府は自国通貨を発行し、国債は自国通貨建てなので、財政破綻しようがない。
②財政赤字の拡大は金利の高騰を招くことはない。
③財政赤字が制御不能なインフレを引き起こす可能性は低い。

文藝春秋2022年1月号「激突矢野論文」

■日本の信用の限界はどこにあるのか?

私の考えでは、今の日本の状況に関しては「限界を見極めた積極財政派が、一番真っ当ではないか」と思っているのですが「限界が一体どこにあるのか?」測りかねています。

「限界」とは何の限界かというと、自国通貨建ての国債発行がどの時点まで発行されると、通貨(日本円)の信用を失うのか?ということです。

以前、以下の中で、積極財政派に近い考え方を紹介しましたが、そのまま積極財政派の意見に同意しているというわけではなく「日本の信用の限界まではOK」という条件付きです。


もしかしたら「その限界は誰にもわからない」から財政に関する議論が真っ二つに割れているのかもしれません。慎重な人は財政再建派になるし、楽観的な人は財政積極派になる。

■積極財政の欠陥とは何か?

ここから本題。積極財政の欠陥とは何か?積極財政派の意見を丸呑みしてしまうと「税金不要論」にいきつきます。

彼らの言い分は、自国通貨建ての国債なら無制限に発行していいかのような発言。もしそうだったら、そもそも税金って何?という話になります。

政府の歳出資金の調達は、全て国債で賄えばいいじゃないか?ということです。なぜ所得税も消費税も法人税も間接税も、必要なの?全部国債で賄えばいいんじゃないの?なぜそうしないの?

積極財政派の人からは、こんな意見はついぞ聞いたことがありません。多分彼らもわかっているのです。国債発行は自国通貨建てであっても無制限でいいわけがないと。

この話は、銀行が借金漬けの企業をどこまで信用するか?という話によく似ているように感じます。企業が倒産するのは借金漬けで大赤字だから倒産するのではなく、銀行がこれ以上貸せないと判断するから、倒産するのです。

■日本円が暴落すると何が起きるか?

企業と国家は、もちろん違いますし財政赤字の限界はわかりませんが、限界を越えれば、間違いなく通貨(日本円)の信用が失われます。

日本円の信用が失われると、日本円は米ドルなどの対外貨や金に対して暴落→株価も暴落、債権も暴落(金利上昇)、経済は大混乱→大失業時代の到来です。

そして最初に困窮するのはいつものように貧困層。

円が暴落すると、日本はエネルギー源・食糧など、日本国民の生命を左右する重要な資源が買えなくなります。日本は(世界一の)350兆円規模の外貨を保有していますが、日本の輸入規模は70兆円程度なので、5年で底をつきます。一応経常収支の黒字はここ20年で5兆円ー20兆円規模あるものの、全然足りません。

一体、日本の信用の限界はどこにあるのか?誰にもわかりませんが、日本円の信用がいつ喪失しても生きていけるよう、ある程度の外貨は保有しておくべきでは、と思っています。

*写真:羽田空港にて(2020年撮影)。
 いつでもキャピタルフライトできるよう、準備はしておきましょう。


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