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育成年代(幼少中)の指導者がu-18を覗いたら違う世界が広がっていた話。

コロナウイルスの影響により、自チームの活動が圧倒的に減ったので色々とまとめていければと思います。

これは、幼稚園から高校までしっかりとサッカーを選手として経験し、その後、幼児〜中学生までの指導に約4年間携わっている僕が見て感じたことや知人からの情報、知人が見聞きしたものなどから僕が感じたことをつらつらと書き連ねたものになります。
ここに書いたことが全て当てはまるわけではないですし、一次情報から三次情報まで入り混じってますが、どうかお許しください。


1.簡単に自己紹介

初めましての方は初めまして。面識のある方はご無沙汰しております。
後藤遼太と申します。
人見知りな性格から幼少期より「あんたはスポーツでもやって友達を作りなさい!」と母親に言われ、半強制的に体操教室やサッカークラブ 、水泳クラブやバスケットボールに親しんできました。
その中でサッカーを選択し、高校卒業まで熱心に取り組みました。
現在は(恐らく)総合型スポーツクラブでサッカーコーチとして現場に立ったり、スクールの責任者をしたり、WPPというスポーツ専門職向けのサービスの運営をしたりしてます。

2.高校時代の経験

前述の通り、高校を卒業するまで熱心にサッカーに取り組んでいた私は多くの人が通るであろう部活動でサッカーに従事していました。
中学時代は学校の部活の関係でバスケットボールに親しんでいた私はとにかくサッカーに飢えていました。(スクールに通っていたので2回/週はサッカーしてましたが)
そのため、知り合いがいなくてもいいから少しでもレベルの高い環境でサッカーができる学校を探して進学しました。
そして入学して初めての練習を迎えるわけですが、最初の練習は土手ランでした。
サッカー部なのにマラソンでした。(たしか約5kmを25分以内で完走が最低ライン)
これが、衝撃的で。

何が衝撃的って、コースがわからないままスタートしたことです。
先生やコーチ曰く、「スポーツ推薦組はコースを知っているから一緒に走っていればわかる。」だそうです。
体力上の問題や途中でのアクシデントなどで逸れてしまった場合を考えると恐ろしいです。。。

そして次の衝撃が名前Tシャツです。いわゆる名Tってやつですね。
補足的に説明すると、高校サッカーは強豪校になればなるほど部員の数が多くなります。(中には200人を超えることろも!)
そのため新入生の名前を上級生や先生、監督、コーチが覚えるために白い無地のTシャツに大きく名前を記入します。
それを部活動の時間中は着用して活動します。

当時は全員が同じ格好をしていたので(他校の生徒さんも)何も違和感を感じませんでしたが、よく考えると個人情報はダダ漏れ個性のかけらもない服装でよくあんな格好で学校内や近隣のグラウンドまで走って行っていたなと。。。

そうやって紆余曲折しながらも高校サッカー生活を過ごしてきたわけですが、学年が上がるにつれて闇も深くなり、闇を目にする部分も多くなっていきました。(本当に考えられない事が沢山あったので興味ある方がいれば次回以降で書こうと思います。)

一番耐えられなかったのはやっぱり体罰暴言論理破綻しているお説教でした。

上級生から受けたこともありましたし、本来、学校の先生でもあるはずの監督から受けたこともありました。さらには外部コーチとして練習を担当してくれるコーチからも。。。

僕が今でも覚えている出来事があって、ある友人が練習試合で疲労から思うようにプレーできずにいる姿を見たコーチが「五体満足に生まれてきたんだからちゃんと走ってサッカーしてよ!!!」とベンチから大声で叫んだ事がありました。

高校生といえど僕らは人間です。そんな言葉を言われれば誰でも傷つきます。
そのコーチはそれをあろうことかそれを激励の意味を込めて、本当に悪気がなさそうに叫んでいました。
そのコーチは今でも指導者として現場に立たれていますが、本当に衝撃的でした。

他にもサッカー部なのにサッカーボールを持たないで参加する合宿(通称走り合宿)があったり、1日に100km近い距離を走ったりもしました。
そんなサッカー部だったので部員の2割ぐらいはサッカーが嫌いになってしまい辞めてしまいました。

これは、僕の出身高校に限った話ではなく、高校サッカー選手権に出場するような高校や近隣の強豪校でも普通に行われていました。(中にはもっと酷く悲惨な部活もありました。)

つまり、日本のスポーツ界にはこのような現場がまだまだ多く見られるということです。
僕は海外にサッカーを見に行った経験はないのでわからないですが、正直、この環境や現場には恐怖しかありません。
恐らく他のスポーツ界や部活動、クラブチーム問わずこのような現場があると思います。


3.本当の恐怖

上述したような事も十二分に恐怖ではあるのですが、もっと恐ろしい事があります。

それは、過去の悪しき経験を正当化してしまうことです。

どういうことかと言うと、「過去にあれだけ辛い練習(走り)を乗り越えたから何に対しても立ち向かっていけるはずだ」といったマインド情勢や「あれだけ理不尽な出来事を乗り越えたからこの先の人生でも理不尽な出来事が起こっても乗り越えられるはず。」といった過去の辛い出来事や絶対にあってはならない出来事を肯定してしまっていることです。

記憶のすり替えもいいところです。


他には、僕は負の連鎖と呼んでいるのですが、
選手としてはサッカーを引退したが、指導者としてまたサッカーに関わるようになった僕らのような若い世代が同じような接し方を繰り返してしまうことです。

この原因はいたってシンプルで。自分が現役の時に暴力や暴言混じりの指導とにかく理不尽で論理的に破綻している指導を受けてきたからです。

この、過去の正当化負の連鎖が僕にとって一番の恐怖です。
なぜなら、悪しき習慣や本来、改善されるべき指導方法が残ってしまい、サッカーをする選手が苦しんでしまうからです。
また、よくない習慣を正当化してしまうと、何十年後の同窓会であたかもあの当時の練習があったから今の苦しい生活を乗り越えていけているだ平成や令和は寛容になったからいまの子は甘いだとかよくわからない価値観が蔓延してしまいます。
(実際に僕らの同世代やその上の世代の方々の多くは該当するかと思います。)

4.育成年代の指導者が思うこと

さて、長々とu-18年代のことを書いてきましたが、今回、僕はu-18年代の闇を照れし出したいわけではありません。

そんな現状に言いたいことは一つだけです。



僕ら育成年代の指導者はそんなこと(暴力や暴言)を選手にしてほしくてサッカーを教えているわけではありません。


僕らはだた、
選手がこの先のカテゴリーでも楽しく、そして、選手個人の願いが叶うようにという気持ちで指導しています。

あなた達のストレス発散の道具にするためでも、あなたの頭の中のイメージ通り動くコマになるためでもないです。

ただただ、選手の成長だけを願って先のカテゴリーへと送り出しています。

日本のスポーツ界の現状としてプロクラブ以外は幼児期から大人まで一貫して指導しているクラブがまだ多くありません。
選手はサッカーを始めてから上のカテゴリーまで進む過程でひとつの螺旋階段のようなものを登っているのです。
そんな現状だからこそ、次の年代の指導者の方にもしっかりと見てもらえるようにと、どこにいっても選手が困らないような技術や戦術を身に付けてもらえるように意識し、全員がプロ選手になれるわけではないので、サッカー選手としての本気の取り組みが終わってもその先の人生に何か残せるようにと思いながら日々接しています。

それを、あなた達がそんなことを現場でしていたら僕らは何を信じて送り出せばいいんですか。
選手は右も左もわからない状態からサッカーの魅力に気づいて、一生懸命練習してきたんです。
あなたがわけのわからない理不尽極まりないトレーニングをしなくてもスポーツは、サッカーは勝手に理不尽な出来事を与えてくれます。
選手はあなたの道具ではありません。
選手はあたなのおもちゃではありません。



選手は人間なのです。

それも過去に保護者や学校の先生を含む多くの人の手で育てられ、色々な経験を経て育ってきた人なのです。
それを、彼ら(彼女ら)の背景を知ろうとすることもなく、頭ごなしに否定しないであげてください。
選手だって一生懸命サッカーしてます。
サッカーが好きなんです。

だから、あなたに何を言われてもどんなに嫌な思いをしてもグラウンドに現れてくれるのです。

最後に

どうか、僕ら育成年代の指導者がやっとの思いで送り出した選手達をあなたの勝手な都合で螺旋階段から突き落とすことだけは辞めてください。

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