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アインシュタインとフロイトによる往復書簡から感じたこと

ひとはなぜ戦争をするのか (講談社学術文庫) という本を読みました。

これは、物理学者アインシュタインと精神分析の祖フロイトの間に交わされた往復書簡を収録した本です。議論の内容も興味深いのですが、私が心動いたのは、内容以前の部分でした。

この「対話」の背景

時は1932年。国際連盟が、アインシュタインに対して、

「今の文明においてもっとも大事だと思われる事柄を、いちばん意見を交換したい相手と書簡を交わしてください。」

(なんと面白い依頼!)

という依頼をしたのが始まりでした。

簡単に言えば「どんな球を、誰に投げてもいいよ」と依頼したわけです。

それに対して、ド直球すぎてびっくりするようなテーマ「人はなぜ戦争をするのか」をアインシュタインはとりあげ、さらに投げた相手は、かのフロイト

第二次大戦前夜の出来事です。

その「場」に私は感動したのです

二人の間で交わされた議論の内容自体は、実際に読んでいただきたい。往復書簡をおさめたものですから、読みやすいですし、長さも短いものです。

でも、私は議論の内容よりも、二人の間でそういった対話の場(往復書簡だがそこに生まれた「場」とあえて言います)が発生したことにこそ、感情を揺さぶられました。

お互いが考えを伝え合う、そういった機会を作り出すこと、そしてそれに対してお互いが真摯に向き合って、考えを述べる。

そういった場を国際機関が依頼して作り出していた、ということ。

こういった対話を積み重ねて、絶やさずに続けていくことこそが、実は「戦争をなくす」ということへの「答え」そのものなのではないか、と思うのです。

「答えをみつけるまでの全て」こそ「答え」

ワークショップやセッションをやっていても思うのですが、大事なのは見つけた「答え」そのものではないのです。

そこへ至るまでの対話によるプロセス、その過程で生まれる感情の揺れ、自己理解や他者理解、その先で感じる信頼感・・・といったものこそ大事であり、言葉にしづらい本当の「答え」なのではないかと思うのです。

この本を読んでみて、二人の間に生まれた「場」を感じ、そんなことを思いました。

一応、本の紹介もリンクしておきます。







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