見出し画像

「スナック」は、非常に「ワークショップ」的であり、実践から学ぶ場になる(スナックを語ってみる)

日本の文化の一つ(?)と私は思っているものに、「スナック」があります。そこでは、お酒と軽食程度がサービスされ、お店の人と会話するもよし、お客さん同士で会話するもよし、大抵の場合カラオケも設置されているので、カラオケを歌うもよし・・・という世界が展開されています。

私は、この「スナック」という場が好きです。好きな理由を分析すると、実は「スナック」と「ワークショップ」で同じ要素が整う「場」になっていることがあげられます。

良いワークショップには4つの要素がある

*ワークショップについて詳しく知りたいという人は、青山学院大学の苅宿教授による「ワークショップと学び」シリーズの本を読んでいただくか、直接「ワークショップデザイナー養成講座」に出てもらうのをオススメします。私も少し前に青学のワークショップデザイナーの講座を受けて、修了した人間になります。

ここでは、とりあえずワークショップの4つの構成要素を触れます。

1:即興性・・・その場で、その時に考える。またはその場で、何かをする。参加者間で「上下関係」を発生させないためにもこれは重要です。参加者の関係性で上下がつくと、大体忖度して、その「場」への信頼や安心感が下がったりします。

2:身体性・・・頭だけではなく、身体を使う。これも社会的な関係性から外れる機会になります。やり慣れないワークをやるときには、みんなぎこちなかったりしますから。そこで助け合ったり、話し合ったりすることが産まれます。また、身体を動かすことから感じる、気づくことも多いです。 

3:協働性・・・即興性や身体性があると、生まれやすいのが、この協働性です。周りで助け合ったり、話し合ったりする場になり、お互いを助け合って場が作られていきます。何かを作り上げるようなワークやお題があると、よりいいですね。

4:自己原因性感覚・・・最後に、これ。一番わかりにくい用語ですが、これはつまり「自分が存在することが、この場に影響を与えている、という感覚」で、つまりは自分が存在している理由や意義、重要性を感じる、ということだと解釈しています。

これらの4つの要素が、良いワークショップ(または良い参加型研修)には含まれています。

スナックにも、この4つの要素がある

そこで今度は、この4つの要素を「スナック」に当てはめてみたら、どうなるでしょうか?

1:即興性・・・貸し切りの場合は除くとして、店に入ってみるまで、その日、そのお店にどんなお客さんがいるのか?その日の店の雰囲気は?・・・行ってみるまでは、わかりません。その後の展開も予測はまずできないでしょう。どんな人が隣の席に来るかもわからない・・・。まさに「即興性」満載です(そこをストレスと感じるか、ワクワクと感じるか、というのもスナックを好きになるかどうかの境目な気がします)。

2:身体性・・・ここは「カラオケ」になるでしょうか。会話するだけではなく歌を歌うという行為は、身体を使うことになります。そして、選曲には即興性がありますし、それによって、見知らぬお客さんと会話が始まったり、合いの手を入れたり、入れられたり、なんてことも発生します。

3:協働性・・・1と2のあたりが、上手くまわっている時には、なんとなく場を作る協働の雰囲気が出てきます。会話がお客さん同士で始まったり、歌を一緒に歌ってみたり・・・。

4:自己原因性感覚・・・お店のお客さんでありながら、スナックで過ごしていると、自分が実はそのお店に何かを及ぼしている、影響をしている、というような感覚になることもあるかと思います。なんでしょう。単なるお客さんというよりも、チームのような感覚かもしれません。

「場」を楽しむ・考えるきっかけにもなる

「ワークショップ」もそうなのですが、先を100%読むことはできません。だからこそ、今を楽しみながら、試行錯誤しながら行動と思考とコミュニケーションを重ねるわけです。

私は「スナック」はそういったことが体験できる「場」だと思っています。練習できる「場」とも言えるでしょう。

というわけで、ぜひ毛嫌いしないで、一度「スナック」を体験してみて欲しいと思います。

この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

最後まで読んでいただきありがとうございます。感想・コメントをいただけると嬉しいです!