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エレキベース改造沼

 前回の記事で『響け!ユーフォニアム』の作品分量を「TV版26話+未放映1話+映画版3本」と記述しまして、これに「おいおい『リズと青い鳥』は数に含まれないってことかよ」という緩やかながらも鋼針の如き突っ込みが内外から(主に僕の心の内から)寄せられましたので釈明いたします。
 『リズと青い鳥』は皆様もご存知の通り、『響け~』シリーズの文脈を含んだ内容の映画ではありますが、単体として観たときに、元シリーズの予習などはしなくても物語の核心をとらえることができるよう徹底的に企図と配慮がなされており、シリーズからの独立性が極めて高い作品であると判断したため今回カウントから除外しました(作品の題名に『響け~』を連想させるような単語が一切用いられていない点も、この判断に至った一因として列挙いたします。この美しい題名を決定した英断には向こう2世紀ぐらいは喝采を送り続けたい所存です)。『リズと青い鳥』が、『響け~』を始点とし構築されているユニバースを正確に理解し楽しむうえで非常に重要な役割を担っていることは紛れもない事実で、僕にこの作品の存在を無視や否定する意図は全く、完全に、ダニの触角の先端面積ほども持ち合わせがない旨は強く主張しておきます。また、件の作品分量についての記述は、“『響け~』の主人公”である黄前久美子さんのセリフを記事タイトルへ引用するにあたっての例え話の中で用いたものであり、録音台本上で確認できる久美子のセリフがわずか二言という『リズと~』を、彼女を主人公とする作品の数にカウントするのは当シリーズ全体を愛好する僕でもいささか抵抗があったという臆病さも、本件の判断の理由として追記させていただき、釈明を終了させていただきます。
 それはそれとして『リズと青い鳥』はもうこれ単体で専用のボイジャーを開発して現存する全ての言語での紹介文とともに搭載して全宇宙の文化的素地を持ったエイリアンどもに見せて回りたい傑作なので、『響け~』を全く知らないという方も興味が湧いたらぜひご鑑賞ください。心の琴線に触れた一部の人間がどうにかなってしまうほどの引力(魔性と読み替えていただいても結構です)を持った映画です。
 前置きも済んだので本題ですが、僕は楽器の改造が大好きです。とりわけエレキギター・エレキベースは、大量生産品として構造のコンポーネント化が顕著な楽器なので、アコースティックギターやバイオリン属、管楽器などのトラディショナルな楽器よりも簡単に手を加えることができます(ドラムセットに用いられるような近代的打楽器も、それはそれでコンポーネント化が進んでおりカスタマイズの楽しみ方があるのですが、そっちは僕よりも詳しい先達がたくさんいるのでここでは割愛します)。
 フェンダーやギブソンなどの有名なモデルであれば、構成部品がネジ1本まで規格化され流通しているので、「ここの部品をこれに交換したい」ぐらい具体的なビジョンがあれば、web検索と通信販売を駆使すれば自宅から一切外出せずに完了できるほど敷居の低いホビーとして取り組むことができます(当然メーカー保証は受けられなくなるので結果は全て自己責任ですが。あと最終的には電気を取り扱うことになるのでその辺りも十分ご注意ください)。改造の目的はドレスアップ的な外見の変化にもありますが、ブリッジなどの金属部品やピックアップなど電装部品へのカスタマイズは、改造前の状態の音をよく知っていればいるほど、大なり小なりおそらく明確に改造後の音の変化が分かるのも面白みなので、新しく楽器を買う余裕はないけど何か新しい刺激(機材)が欲しいという時にうってつけな逃避方法です。僕はこれをよく「ミニ四駆やベイブレードに近い感覚」と人に話すのですが、いまいち飲み込んでもらえないことが多くモヤモヤしています。本当なんだ。信じてくれ。
 で、今のところ僕の持つ楽器の中で最も劇的に改造を施された個体が今回のヘッダー画像のやつです。元はフェンダージャパンのJB-45というベースで、おそらく90年代頃の入門用モデルだったらしい。らしい、というのは、このベースがちょっと変わった経緯で僕の手元に来たからです。ものすごく話を端折りますが、これは学園祭学園のサポートを長年務めてくれているブラボーカフェの小松秀行氏から、数年前に僕へ譲ってもらった楽器なのです(元々の持ち主は小松さんとは別の方でした)。うちへ来た当初はペグのツマミが一個もげてシャフトはひん曲がり、ブリッジもスパイラルサドルの山が摩耗していて、コントロールもボリュームポットを回すとガサガサいうような状態で、全体的にレストアが必要でした。小松さんからも「どのように扱ってもOK」という了承をもらっていたので、じゃあいっそウルトラ大改造してみるかと思い立ち、それまで僕が持っていなかったアクティブベース化をしてみることにしました。
 そうと決まれば根がクソオタクなので俄然やる気が出てしまい、傷んだ部品の交換(金属部品は近年のフェンダーUSAとほぼ同じになりました)と、ベーシスト的にはもはや定番アイテムと化した感もあるアギュラー社のプリアンプOPB-3を中心にしたアクティブサーキットを組み込み、1度目の大改造が施されました。この出来に気を良くしたクソオタクは、ほどなくしてピックアップをノーマルなJBのものからアギュラーのハムバッカーDCB-D1へと交換することを決め、ついにボディトップへの不可逆な切削加工を施します。この2度目の改造で得られたサウンドの変化はそれはまあ劇的なもので、実にくっきりワイドレンジ。持ち込んだ現場で「ジャズベの形なのにジャズベじゃない音がする」と不思議がられ、持ち主の「フフフそうでしょう、実は……」とオタク特有の早口が苦笑いであしらわれたりてました。音源としては「その名は未来」の録音で使い、ライブでは「鷲崎健のアコギFUN!クラブ」などで活躍し、パッシブの「金色」ではカバーしきれない音色が必要な場面で持ち味を発揮してくれました。
 3度目の転機が訪れたのは昨年開催された「ほばらサマーフェス2019」にて使用した時で、詳細は企業秘密ということにさせてほしいのですが、当時のスペックでの明確な弱点(のようなもの)を個人的に体感してしまったので、それを打開するための部品を吟味し、ノードストランドのBig SinglesとBirdcageのBCP-3という組み合わせの回路に変更して現在に至ります。この改造の結果はかなり好感触なので、今後ライブでの登板が増えるかも、というのが最近の僕の機材事情です。何を言ってるかサッパリわからないけどこの人なんだか早口で楽しそうということが伝われば、今回の記事の意図としてはおおむね成功です。こんな記事を読んで「なんだかわかんねえがワクワクしてきたぞ!」という方はこっち側の素養があるので試しに「ギター 改造」とかでググってみてください。食指が動いてしまったらレッツ改造。

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 今回は『ユートピアだより』の内容にあまり紐付けられなかったので、最後に先日公開されたばかりの「ユートピアをさがして」のPVを置いておきますね。上述の「2度目の改造」をされた姿がチラっと映ってるので個人的には記事との関連性はセーフの判定です。甘いか。


#学園祭学園 #ユートピアだより #楽器 #ベース

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