
【対談】 徳島という地に根を張って。想いの乗ったお菓子づくり。
グリラスの歴史と未来を語るメディア「グリラスストーリーズ」
第4弾は、グリラス初の自社ブランドC. TRIAから発売した「C. TRIAクッキー」を共同開発した徳島県の菓子メーカー 市岡製菓を訪れました。グリラスにとっても、市岡製菓にとっても初めての挑戦となった今回の取り組み。サーキュラーフードであるコオロギを使ったお菓子企画開発の背景に迫ります。
市岡製菓株式会社
1949年創業。「ナンバーワンよりオンリーワン」の商品を目指し、菓子の製造販売を行っている。また、徳島県の素材を原材料に使用した安心安全のお菓子作りを通じて「地域社会への貢献」に努めるとともに、ハラール認証取得や積極的なSDGs活動も目指している。
市岡沙織さん(以下、敬称略)
市岡製菓代表取締役社長。大学では理学部専攻。システムエンジニアを経験した後、家業である市岡製菓へ入社。入社後、営業企画、店舗を担当し、2018年社長に就任。
渡邉崇人
グリラスCEO。昆虫の発生·再生メカニズムが専門。コオロギの大規模生産、循環エコシステムの開発を行う。徳島大学バイオイノベーション研究所・助教
西郷琢也
徳島大学卒。大手物流系企業を経て2020年9月にジョイン。営業及び商品開発、ロジスティクスを担当。
写真左から西郷、市岡、渡邉
はじまりは1行のメッセージ
西郷:6月4日に晴れてC. TRIAクッキーが発売になって、今日の対談では開発が実現するまでの苦労や裏話など、これまでの歩みを振り返ってみたいと思っています。そもそも、市岡さんとグリラスの出会いっていつ頃だったんですか?僕の入社(2020年9月)より前ですよね?
市岡:当時コロナの話題も無かったから、2019年の年末頃でしょうか。徳島ニュービジネス協議会の会合が最初のきっかけだったと思います。
私自身その場には行けていなかったのですが、そこで(徳島大学学長の)野地先生と出会った方から「食用コオロギを作っている会社が県内でお菓子を加工できる所を探しているけど、市岡さんどう?」というLINEが来たんです。
もともと新聞などでお見かけしていたのもあって、グリラスという会社のことは知っていました。お菓子を作ろうとしていたのは知らなかったけれど、それならぜひ一度お話してみましょう!となったのが年明けごろですね。
西郷:最初の商談......といいますか、一番初めはグリラスやコオロギという食材についての簡単な説明がほとんどだったと思うのですが、コオロギを使ったお菓子の加工と聞いて当時の印象はいかがでしたか?
市岡:直感で作りたい!と思いましたね!
西郷・渡邉:ええ!そうだったんですか??
市岡:もともとハレルヤではSDGsに積極的に取り組んでいて、「地元の産物を地元の企業が消費(買い上げ・加工)し全国に販売する」という意味の地産地消や、廃棄になる規格外の農産品を使用したお菓子作りをしていました。
グリラスさんでも同じ文脈で、フードロスを活用した取り組みをされていますよね。向いている方向が同じ、というのも大きかったと思います。もともとベトナム支社を頻繁に訪れ現地の昆虫食文化を知っていたこともあって、抵抗は感じませんでした。
西郷:ベトナムあたりは、そうですよね。市岡さんは抵抗が無かったということですが、その後会社に持ち帰って他のメンバーにも伝えるタイミングがあったと思うんです。皆さんのリアクションはいかがでしたか?
市岡:グリラスさんの心の通った想いをそのままに伝えたつもりだったのですが、シーンとなってしまいました。(笑)やっぱり文化の違いですよね、どうしても。抵抗というより、みんなピンときていなかったのだと思います。
渡邉:それは......そうですよね。普通の反応です。(笑)
西郷:その後コロナ禍もあって間が空いてしまいましたが、10月にあったチャレンジメッセでまたお話させていただいて。
市岡:そうですね。2回目にお会いしたタイミングで渡邉先生のお話も聞けて、かなり理解が深まりました。たとえば先進国は飽食で食品ロスが多いからこそ、フードロスでタンパク源を作ることに意味があるということ。なぜバッタじゃダメで「コオロギ」なのか。グリラスさんがやっていることの背景と想いの部分を、そこで改めて聞くことができました。
チャレンジメッセには、弊社の開発メンバーと一緒に参加していたんです。又聞きじゃなく直接グリラスの社員の方々の声を聞けたことの影響がものすごくあって、一気に「よし、試作をしよう!」という空気感に変わっていきました。
渡邉:僕らとしても、最初にお話があった際はまだようやく鳴門で飼育を始めたばかりの頃で、生産の現場も数人体制。お菓子を作るのに十分な量の供給にあまり現実味が無かったんです。2020年秋頃にはメンバーも随分増えていて、実現できる体制が整った頃再び戻ってきたお話でした。
西郷:10月に話してから、翌年6月4日の虫(ムシ)の日には販売。決まってからはものすごいスピード感でしたよね。大分無茶なお願いにも付き合って頂いて......本当にありがとうございました!
地元、徳島という土地
西郷:今回市岡さんとお菓子を作るにあたって、お互いが徳島県内の企業であることの意味も大きかったですよね。同じ土地でコオロギを育ててお菓子を作って......社会課題解決のための取り組みが回りまわって徳島への還元にもなる。同じ徳島県内の企業と一緒に何かできたということも、ものすごくありがたいと思っています。
市岡:そう言ってもらえるとこちらも嬉しいですね。今回の新商品の開発は、グリラスさんが同じ徳島の会社だったからというのも「やりたい!」と思った理由の一つなんです。
もともと徳島県内の規格外農産品など、本来廃棄になる一次産品を使ってお菓子作りをしているように、「いろいろなロスを減らしたい」という想いがありました。近い企業であれば、当たり前だけれど遠方とのやり取りより物流を減らすことができますよね。
他にもコオロギは餌によって味が変わるというお話をグリラスさんから聞いて、徳島の風土を味に生かすことができることにも惹かれました。私達も育った環境によって風味の変わる農産品を使ってお菓子作りに挑んでいる。これまでやってきたこととすごく似ていると感じたんです。
同じ徳島という土地に根を張っている企業だったからこそ、同じ方向を向いているという直感に繋がったのだと思っています。
渡邉:距離が近い、というのはそれだけで信頼関係を作っていく上でも重要ですよね。そこに、互いの「徳島で何かしたい」という想いが乗っかって今回お菓子を開発できたのだと思っています。これを機会に、徳島に輪を作って一緒に大きくしていけたら嬉しいです。
手に取ってくださった方へ
西郷:先日無事販売に至ることが出来ましたが、まだまだこれが一歩目だと思っています。このクッキーを通して、何を届けるのか、社会をどう変えるのかと思考を絶やさずに、改良を重ねていくことが不可欠です。
最後なりますが、今回こうして企画から共に走ってくれた市岡製菓さまから、手に取ってくださったお客様にメッセージをお願いします!
市岡:はい、ありがとうございます。やっぱり私たちはお菓子のメーカーなので、美味しく召し上がっていただきたい、というのは大前提です。
ただ、抵抗のある人がまだまだ多いのは当たり前で、おっしゃっていただいた通り販売して終わりではないですよね。
この商品はグリラスさんの想いと、市岡製菓で大事にしたいと思っていること。そのベクトルが一緒だったからこそ、これだけうまくいったのだと思っています。想いを乗せた商品をぜひ手に取ってみてほしいですし、これからもブラッシュアップとリニューアルと重ねて、多くの人に食べてもらえたら嬉しいです!
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ちょっとビターなココアと、ありそうでなかなかないハーブ&ガーリックの詰め合わせ。フードロスを活用し、今回共同開発して作ったC. TRIAクッキーはこちらから!
C. TRIAクッキー制作秘話についてもっと!
https://gryllus-online.jp/blogs/voice/p-voice-001
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