
【インタビュー】中華そば 田村_コオロギラーメン開発の軌跡
徳島県板谷郡北島町にあるラーメン店「中華そば 田村」。
2003年に創業した同店は、王道の徳島ラーメンである中華そばを展開し、ラーメンの特集に掲載されるほどの人気店です。2012年12月にて幹線道路沿いにある現在の店舗に移転。ガラス張りの窓から暖かい日差しが差し込み、明るい店内は一見カフェのような佇まいです。
そんな 中華そば 田村 が、グリラスと共に新たなラーメンの開発に着手したのは2020年2月。開発されたコオロギラーメンは発売当初から多くの方から注文をいただき好評を博しております。
そこで、今回のインタビューでは、開発のキッカケやそれまでの苦労話、発売後の反響などについて店主の田村さんに直接インタビューしました!
ー新たな出会いとの楽しみ
各テーブルの上にあるポップのメニューの通り、味噌ラーメンやカニ味噌ラーメン、トマトとチーズのラーメンなど、これまでも様々なラーメンに取り組んでいます。
定番のラーメンがあるけれども、やっぱりたまには違うものも食べてみたいのではないかなぁと思うようになり、新商品の開発を続けています!
同じ商品を作り続けることは、ある意味楽ではあるのですが、やはり新しい商品を作ることは自分自身の成長にも繋がるのが一番ですね。正直、しんどいなぁと思うところもあるのですが…
コオロギも然りです!
今回は、本当に多くのことを学びました(笑)
ー地球環境について考えるキッカケになれば
コオロギラーメン開発のきっかけ。実はお仕事のつながりで、グリラスで働かれているメンバーの方のご家族を知っていました。ご家族皆さんでラーメンを食べにきてくださっていた間柄で、ある時「ウチの嫁、コオロギ作ってんねん」と伺い、最初は「えっ!?」と聞き返してしまいましたね(笑)そんな会話の中で、「田村さん、コオロギラーメン作ってみたらどう?」とご提案いただいたことがきっかけです。
その時は、コオロギを食べたこともなかったのですが、なぜか興味が湧いてきたんです。それで、グリラスのホームページを見に行きました。そうすると、なぜコオロギを作ろうとしているのかという理由が環境問題への危機感。そのことを知れば知るほど、自分に何かできることはないだろうか、そう思い始めました。
環境への意識が高くなった背景としては、ラーメン屋ならではなのですが、作っていると厨房がとてつもなく暑いこと。真夏が怖いんです....
脱水症状で倒れかけることもあります。年々、温暖化によって気温も高くなりますし、趣味でサーフィンをしているのですが海水面が上がったりしてサーフィンできるエリアも少なくなってくると思います。
それに色々な仕入れ状況が環境によって左右されることもあります。干ばつがあったり、洪水があったり、魚介類が取れなくなったり、と。環境への危機感は抱いてました。10年後も今と同じ材料で作れるのか、我々の次の世代も生きていけるのか。
ラーメンは、どんな世代の方でも食べに来ていただきやすいものだからこそ、ラーメンをきっかけにこの環境問題について考えるキッカケを作りたかったという思いがあります。
ー意外だった、裏方役のコオロギ
鳥や豚、魚などの旨味は脂からくるのですが、開発当初はその脂分がコオロギには少ないなぁと思っていました。あとから、脂分があることはわかったことではあるのですが。
そんな中でも、コオロギには大豆に似ている香ばしさがあると感じました。ただ、大豆を食べて”とても”美味しいかと言われば、そこまでは言えない。加えて、やっぱり虫を食べるという先入観が味覚を邪魔するんですね。仕入先の方に黙って試作を食べてもらったのですが、「いつもとは違うけど、普通に美味しい」という返事が返ってくるのですが、ただ、コオロギが入っていることを知ると….(笑)
食べたことないものを食べるというのは相当のハードルなのかと思います。知らなければ大丈夫なのですけどね。
コオロギの香ばしさを活かすことを考え、徳島ラーメンでもトライしたのですが難しく、最終的には味噌の香ばしさと合うことがわかりました。味噌ラーメンには胡麻油が入っており、それとの相性もよかったです。すごく甘味も際立ちましたね。チャーシューやアーモンドにもマッチしました。これまでに至る試行錯誤は2ヶ月ほどです。
コオロギ感を最大限、前に出すものではないのですが初めて食べられる方でも美味しくとっつき易い商品に仕上げることができたと思います。
恐らくですが、何も言われないとコオロギと気付かない。コオロギはある種、裏方の食材のジャンルですね。なので、"あえて"ありのままのコオロギ2匹上にトッピングしてコオロギであることを見せるようにしています。
ー改めて感じた若さのパワー
注文される方のほぼ全ての方、95%くらいはありのままのコオロギを乗せらています!興味を持っている方には、特に若い方が多いですね。学生の方はグループで来られて、みんなで「追いコオロギ」をシェアされています(笑)。他には、とある女性はご飯のお供に「追いコオロギ」を美味しそうに食べられていました…。
まさに、これなんだなぁ!と。意外にも多くの方が違和感もなく興味を持って食べてくださっている。
店内に置いているグリラスのアンケート結果では、5月26日時点で、20代〜50代まで幅広い年齢層から55件の結果を回収。95%のお客さまより、「美味しかった」「想像以上に美味しかった」という評価を得ています。
ーさらなる普及に向けた大きな期待
将来的には、一度断念した徳島ラーメンでも作っていきたいです。
グリラスから、今も試作に持ってきてもらっているコオロギのエキスや油を活かして改良を重ねていきます!
スープやトッピング以外に、麺についても取り組みたいところですが、コオロギには甲殻アレルギーがあるので同じ釜で茹で上げるのは難しく、そこがハードルになってしまいます... そこが何とかなれば有り難いですね。
このコオロギラーメンを通じて、食に対する概念を変えていければと思っています!通常は食べるものではなく害虫扱いされてる虫ですが、実は「食べられるもの」でありますし、さらに美味しいと感じてもらいたい。
これからは環境への影響もあり食べられるもの自体が減っていく中で、このラーメンを通じて、何か考えるキッカケになれれば有り難いです!
グリラスは研究熱心で色々な食材としてのコオロギを開発されていますよね。あとは自動飼育システムが開発されて大量生産されれば、もっと市場に出回り普及が進むと思います。今後も期待しています!
中華そば 田村 さんのSNSは▼こちら▼
https://www.facebook.com/tamuramen
https://www.instagram.com/tyukasobatamura/
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