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【文字だけで解説する】スライドの解説

 文字だけで解説するシリーズ第二弾!今回はスライドです。スライドは地味ながら非常に要求されるシーンが多い重要なトリックですので、理解して頂くとより技のバリエーションが増すかと思います。

板を横向きに滑らせるトリック

 スライドは板を横向きに滑らせるトリックです。一般の方は足をそろえたブレーキを思い浮かべて頂くとわかりやすいでしょうが、スライドはそれを「止まらないように」行う技です。

 スライドの軸となる足、足の置き方で様々なバリエーションがあり、名前があります。これを文字だけでどこまで解説できるかわかりませんが、頑張ります。

基本としてはただの横滑り?

 と、思われていますがそうではありません。コントロールされて初めてスライドはトリックになります。

 コツとしてはまず進行方向を向くこと。真横を向いたままではなく、意図的にスライドさせている事を示すように進行方向を向きましょう。すると案外難しいことがわかると思います。板が引っかかったり止まってしまったり。最初は斜面の下側、谷側の足に乗っていく感覚で山側の足は添える程度、何なら板が揃わなくともよいので、真横にしっかり動くことを練習しましょう。

 この時、行う斜面は平らで少し斜度のあるコースの方がやりやすいです。あまりに急斜面では暴走しますし、逆に緩斜面は進みません。自分が安心して練習できるコースを選んでやってみて下さい。

 慣れてきたら添える山側の足を意識して平行にできるようにします。この時完全に板を揃えるのではなく、少しスタンス幅は広くても良いですし、前後差があっても構いません。しかし谷側の足はしっかりと、板がぶれないよう体重をかけてスライドします。

 このスライドでどうしても板が左右にぶるぶると動いてしまう!場合は、膝が伸びてしまっている事が原因になります。少し意識的に膝を曲げ、足裏全体で体重をかけている感覚を得ましょう。それでも震える場合は、板のチューニングの問題が予想されます。エッジがギンギンに立っている板だとスライドは特にしにくいので、適切にチューンを依頼するなどの必要もあるかと思います。

 スライドの形が分かってきたらだんだんとスタンスの幅を狭めて、山側の足の外側のエッジが掛かっている感覚を得ましょう。これが非常に多くのグラトリの為の導入の一つになります。

  外側のエッジは「アウトエッジ」といい、初級者では普段の滑りではほとんど使わない部分です。しかし中級者以上の滑りだったり、ハイレベルなグラトリでは必須の部分で、ここに乗れるか否かが今後の滑りに大きく作用してきます。
 ですがアウトエッジは乗りにくいんですよね。特に幅広の板になるほど乗れなく、意識することもできなくなります。ですが今後「ソロ」や「クロス」などのグラトリをしたい!と思うなら必ず会得が必要な事なので、このスライドで感覚をまず会得しましょう。

 足を狭めるほどにアウトエッジが使えるようになります。安定してきたら徐々に体重のかけ方を半々にしてみたり、思い切ってアウトエッジに乗ってみたりしましょう。
 ちなみにスライドでは必ず「得意」「苦手」な向きが存在します。まずは得意側でできるようにして、同じことを苦手側でやればそのうちどちらもできるようになるので、まずどちらが得意か理解しましょう。

足の置き方でトリックが変わる

 安定してできるようになったら山側の足を動かしてみましょう。谷川はそのまま、山側をがばっと大きく開いて板がTの字になるような形にし、そのままスライドしていきます。これは「バーチカルスライド」と言う技で、非常に安定して行えるグラトリでもあるので、急斜面などでの助けにもなる有用なトリックです。
 続いてバーチカルから山側の板のテールだけを持ち上げてスライドしてみましょう。上げたまま安定してスライドできれば「バーチカルリフト」と言う技になります。これは見た目がソコソコ派手で、アクセントトリックとしても使い勝手の良いスライドです。
 そしてバーチカルリフトのもち上げたテールをてでつかんでみましょう。そのままできれば「バーチカルグラブ」と言う非常に派手なグラトリに進化します。停止時のグラトリとしても見た目にかっこいいので個人的によくやるスライドでもあります。

 今度はバーチカルの体勢にならないまま山側の板のテールを上げてスライドしてみましょう。すると「リフトスライド」になります。これでテールをつかめば「グラブスライド」と、ちょっといろいろわかってきたんじゃないでしょうか?

 足を一本だけにしてスライドすれば「ソロスライド」これをあえて山側のアウトエッジで行えば「アウトエッジソロスライド」、そして空いた谷川の足を進行方向にけりだすように持ち上げると「カンフー」と言うトリックになります。

 進み方を工夫してもバリエーションがあります。スライドでわずかにトップ側を下に向けると前に、テールを下に向けると後ろに動きます。これを交互に繰り返して「リーフスライド(木の葉)」、バーチカルの形のままで行えば「バーチカルリーフ」、そしてそれを細かい動きでウネウネと動かすと「シャッフルスライド」に変化します。

 こんな感じでスライドが出来ただけであっというまに10種を超えるグラトリが出来るようになります。他にも「スライドワイパー」「ライニングスライド(スクリーミースライド)」「バタースライド」などなど、非常に多くの派生トリックはこのスライドにはあります。
 どうです?有用性が非常に高いのが分かってきたのでは?

基本的な技術にも応用できる

 スライド技術は侮るなかれ、基礎スキーと呼ばれる世界では上級者の必須技術として重用される技術です。これを意図してコントロールできる技術と言うのは滑りにも大きく作用し、ターンコントロールやブレーキコントロールにも重要な技術に繋がります。

 もし「これ以上どうやってもうまくならない!」って思っている方、このスライド見直してみても良いと思います。案外このスライドの中にできていなかったキーが見つかることも少なくありません。

 そしてスライドは、不意の転倒を防いだり、怪我の防止にも役立ちます。板のコントロールだけでなくそういった面でも重要なトリックなので、私はこのスライドを基本トリックとして皆さんに大事にしていただきたいと思っています。

 こんな感じでの文字だけでの解説。スライドの場合は難しいですね。
 それでも「へー、スライドってちゃんとやるといい事あるんだ~」と思っていただけるだけで、皆さんのスキーボード技術が向上するのでは?と思います。


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