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雪の話(人工雪)

昨日のブログの続きです

雪のお話|GR ski life @GRskilife #note https://note.com/grski/n/n531e1c366794

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 さて人工雪。このおかげで日本のスキー場はほとんどの県にスキー場が誕生することになった、スキー業界では非常に偉大な発明です。

 人工雪を作る降雪機は大きく分けて二種類あり、一般によく目にする人工降雪機と、アイスクラッシャーがあります。
 シーズンも秋頃の、雪なんて降りようもない時期にオープンしているスキー場はアイスクラッシャーを持っています。機械で内部的に氷を作り細かく砕いてゲレンデに撒きます。原理的に解りやすいのはかき氷で、あれの超巨大版です。
 雪に見えて実は氷なのでこのアイスクラッシャーの雪は非常に重く、整地されていない積まれたアイスクラッシャーの雪山は砂の山のように感じるほどです。元が氷なので固まるとすぐにアイスバーンになってしまい、こうしたゲレンデの多くは融けないために硫安などを撒くことも多いので、アイスバーンが苦手な方はあまり好まない雪質でもあります。
 しかし普通なら滑れない時期に滑れるというだけで価値があるもので、氷点下でなくとも雪が用意できるのは大きな魅力。しかし作れる量が少ないのと、ランニングコストがものすごくかかるので、広く普及しているものでもありません。そう言ったゲレンデを応援していくのも、私たちのスキーライフを楽しむために必要かもしれませんね。

 さて人工降雪機。この原理な霧吹きと扇風機です。猛烈な勢いで可能な限り細かく水を吹き出し、外気と風の力と圧力差で瞬時に雪にして撒きます。
 人工降雪機の最大のメリットは大量の雪を作れる事。氷点下であればあとは水と空気の圧力さえあれば作れるほど単純なのでランニングコストも優秀です。
 この圧力と言うのがとんでもないもので、巷の消火栓なんて目じゃないくらいの圧力で水を撒きます。さらに雪にするために高圧の空気も必要。なので人工降雪機を使うにはそれとは別に大量の水を送り出す施設と溜め池や井戸などの水源、高圧ポンプなどが必要になります。

 一般ではスプリンクラーのように高圧で水を噴き出して雪を作るスノーガンと、でっかい扇風機でできたスノーマシンとがあります。スノーガンは据え置きで使われるもので、常に雪が必要なメインコースなどで見かけることが多いです。スノーマシンは据え置き型と自走型があり、モウモウと雪を噴き出して作っている姿を見たり、リフトの上でスノーマシンの雪にあてられてつらい思いをした方も多いのでは?

 こうして作られた人工雪は普通の雪とちょっと違います。天然雪は徐々に凍って尖った結晶になるので形が様々ですが、人工雪は過冷却により強制的に細かい水を瞬時凍らせて雪にしているので、その結晶の形が球に近くなります。このために人工雪は融けにくく、固まりにくいものの固まると天然雪より堅くなり、アイスバーンになりやすい特性があります。人工雪のゲレンデが堅いと言われるのはこれが原因なのです。

 そしてアイスバーンと言えば多くのスキボダが苦手にしている雪だと思います。従来のスキーボードと人工雪はあまり相性が良くなくて、人工雪のゲレンデではスキーボードを見かけないほどでした。今時のスキーボードは堅い人工雪のゲレンデでも滑れるように工夫されたり、滑走技術も進歩したのでその限りではありませんが、人工雪のゲレンデに通う方はチューンを見直すとより快適に楽しめると思います。
 あ、人工雪のゲレンデは滑走速度も高くなりがちなのでヘルメットをお忘れなく!

 最後に、スノーマシンなどで雪を作る場合、天候条件がかなり影響します。いくら氷点下でもマイナス2℃程度では作れなかったり、湿度が高いと作れないなどの事があります。そして毎晩暗い中を命懸けで雪を作っているのがスノーメイクと言う作業員の方々。命懸けと言うのは冗談でなく、自走式のスノーマシンは間違えると滑落したり、ホースの接続を誤って怪我をする事があります。しかもそれを氷点下で深夜の暗い中で行うので本当に大変な仕事なのです。

 この人工雪は全てのスキー場にあるものではなく、天然雪を売りにしているスキー場や規模の小さい豪雪地帯のスキー場にはありません。昨年の雪不足で営業のおぼつかなかったスキー場の多くは人工降雪機を持たないスキー場でした。昨年はそんな人工雪のスキー場が見直されたシーズンだったのではないでしょうか?

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