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スクレイピング(クローリング)は違法?弁護士が法律を解説!

皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですが、スクレイピングは法律的にどうなのという事をお伝えしたいと思います。
スクレイピングとは何なのかという話です。関係ない人にとっては一生かかわらない話だと思いますが、Webの業界だとスクレイピングやクローリングという事は結構よくかかわります。要するに、色々あるWebサイトから自動的に必要な情報をとっていくというプログラムの事をスクレイピング、クローリングなどといったりします。人のサイトから情報をとってくるという事なので、そもそもこれは法律的に大丈夫なの?何となく危ないのでは?という相談も受けますので、今日はここを解説したいと思います。

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スクレイピングと著作権の問題

著作権の問題が1つあります。先ほど言った通り、他人のWebサイトやコンテンツから必要な情報を抜き出すという事なので、他人のコンテンツを勝手に使っても良いのかという事になります。
例えば、コンテンツをコピーしたり、自社サーバー内に保存したりというのは、基本的には著作権法違反になります。つまり、権利者、作った人の同意がない限りは著作権侵害になります。そうすると、スクレイピングして他のサイトのコンテンツから情報を抜き出して、自社のサーバーに保存するというのは良いのか?原則、駄目なのでは?とも思えます。

ただし、著作権法が例外的に、権利者の許可がなくてもOKな場合を規定しています。それは何かというと情報解析のための複製です。つまり、何かしらの情報を分析するために他人のコンテンツをコピーする事はOKなのです。
では何が情報解析にあたるのかという話ですが、コンテンツを自社のデータの分析に使う場合はOKとされています。例えば、スクレイピング、クローリングをして自社のデータベースの作成を行う場合、これは情報を分析し自社のデータベースを作るという事なのでOKです。逆に、他人のコンテンツをそのまま抜き出して、そのままポンと出してしまうのはNGになります。あくまで、その情報を抜き出して分析するために使っているという事であればOKなので、ここは注意が必要かなと思います。なので、著作権としては、データを分析するためであれば、スクレイピングはOKという事になります。

スクレイピング先の利用規約との関係

あと問題になり得るところとしては、例えば利用規約でスクレイピングは禁止ですと書かれていると、利用規約違反という話になります。利用規約は契約みたいなものなので、契約違反になり、いわゆる民事上の損害賠償請求を請求される可能性があります。
ただ、利用規約は示して、チェックをさせる。そういう事をしないと効力はありません。契約書でいうところのサイン、ハンコが利用規約ではチェックにあたるので、それがないと効力は生じません。なので、利用規約に同意させた後のサイトのコンテンツに対しては正に利用規約違反になりますが、そうではない場合、いわゆる一般に公開されているWebサイトを情報解析のためにデータを使う場合にはOKになります。くれぐれもそのまま使って良いという事ではなく、情報を分析するために自社サーバー内に保存、コピーする場合はOKになります。そこは注意が必要かなと思います。

業務妨害になる可能性もあるので注意

例えばスクレイピングの結果、相手方のサーバーをダウンさせてしまったという話であれば、これは当然、民事上は損害賠償です。相手方がダウンさせた事によって生じた損害について賠償するという話になります。更にこれは業務妨害という刑事罰になる可能性もあります。なので、何回も短時間にかなり多数のアタックをして相手のサーバーをダウンさせてしまって、業務を妨害したという話だと、これは刑事罰になる可能性があります。

まとめ

原則的としてスクレイピングというのは、著作権法の情報解析であればOKです。利用規約の後のサイト、コンテンツについては、利用規約違反になる可能性があります。相手のサーバをダウンさせる様な場合については損害賠償、業務妨害などもかかわってくるという事は注意が必要かなと思います。是非ここをおさえて、スクレイピングをするのであればきちんと法律を守ってする様にして下さい。

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