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ジャズ事始め 僕の場合

随分前に投稿した、

神保町のジャズ喫茶「響」のこと」が、今だにちょいちょい読まれているようで

誠に有難いかぎりです。

やっぱり「ジャズ」や「ジャズ喫茶」というキーワードは、

ファンの方々は、常に気に掛けておられるのかもしれない。


ただ、


あの投稿を読まれて、うちの店を「ジャズ喫茶」や「ジャズバー」なんかだと、

勘違いをされて来店された方には、さぞかしがっかりさせているのではないかと、

気に病んでいる。


ご存知の方もいらっしゃるかと思うが、うちは全くそんな店ではない。


レコードはおろか、ターンテーブルすら置く場所もない。

掛ける音楽もバラバラ。

そうだな、ジャズというカテゴリーに入るのは、全体の2〜3割程度だろうか。

元々、お酒に関しては「特定のジャンルに偏ることなく、どの分野も分け隔てなく紹介していけたら」という主旨で始めた店なので、その辺りは、音楽に関しても同様とお考え頂けたらと思う。

にしても、「ジャズは掛かってないんですね・・・」というお言葉には胸が痛む。

たまには掛けますので、どうかこれに懲りずに。


と、言いつつ、


やはり「ジャズ」は僕にとっても、好きな音楽であるし、

「好きになる音楽」の判断基準に「ジャズ」があるのは間違いないところなので、

そもそも何故「ジャズ」を聴くようになったかを、ちょっと記してみたいと思う。


時は遡って、中学生のころ。


周りは、聴いている音楽といえば、聖子ちゃん、トシちゃん、マッチ全盛期。


もちろん僕も毎週欠かさず「ベストテン」を観ている、といった世代でした。

ところが、ある時、突然「皆と違ったものが聴きたい!!」という、ありきたりな天邪鬼精神が、ムクッと頭をもたげます。

当時、僕らが偉そうに「音楽を聴く」と言っても、中学生の少ない小遣いでは本物のレコードなど買える筈もなく、繰り返し聴くには、当時流行っていた「貸レコード屋」(確か藤沢駅南口の「黎紅堂」だったと思います)へ行って、それをカセットテープに録音して楽しむというのが主流でした。

レンタルとはいえ、借りるとなると1枚300円〜400円くらい。

中学生には充分重たい出費です。

ましてや全く観たことも聴いたこともない人のレコードを借りるとなると、

なかなか度胸のいる選択です。

しかしながら、「人と違うことをする」という中学生の野心には抗えません。

勇気を出して(??、とにかく「ジャズ」のコーナーへ入って行きました。

レコード棚の前に立ったはいいものを、もちろん何が何だかさっぱりです。

「とにかく「黒」きゃいいだろう。」と、棚の一番前に飾るように置いてあった、黒人アーティストのものを2枚。清水の舞台から飛び降りるつもりで(笑、カウンターへ持って行ったのを覚えています。

家へ帰って、早速録音。

録音してカセットテープをケースに入れると、必ずタイトルと曲名を、綺麗にインレタで書き記すのが常だった(これをいかに綺麗に貼るかが、少年達の興味の的でした)のですが、どういうわけかこの2枚に関してはうっかり忘れて貸レコード屋さんへ返してしまいます。(多分何かの都合でそうなったのだと思います)

さあ大変。

ただでさえさっぱり解らない音楽なのに、どっちがどっちだか区別がつかないカセットテープが2本。

うーむ。これは困った。

とりあえず、訳も分からぬまま、当てずっぽうにどちらかを適当にデッキに入れ、

掛け続けること1ヶ月あまり。

なんとなくどちらか片方のテープを選んで掛けている自分に気が付きます。

そう。「好み」が出てきた訳です。

ほとんど区別がついていなかった中学生が・・・。

まさに「違いの分かる男」の誕生です(笑。

やがて、またさらに半月ほど経つと、今度は別のもう一本のテープの方が気になり始めます。

「好み」が変化してきた訳です。

立派な「ジャズファン」の誕生です(笑。

ちなみに、

最初に気に入ったテープは
・ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS / Moanin' (BLUE NOTE 4003)

次に気に入ったテープは
・JOHN COLTRANE / GIANT STEPS (ATLANTIC 1311)

でした。

どちらも世紀の名盤ですね。

どうりで棚の一番前に飾ってあったわけです。


そうなると、後は芋ずる式に、マイルス、エバンス、モンクとお決まりのコース。


いっとき、離れたりもしますが(その辺の話はまたいつか)、自分の中の「カッコいい音楽」の基準は、やはりあの頃のジャズにあると思っています。

(でも、3周回って、やっぱりメッセンジャーズって格好いいですね。ちなみに中学生の頃の僕のヒーローは、リー・モーガンとジャッキー・チェンでした。ほとんどアクションスターと同じ括りです(笑。)


そんな訳で、決してジャズばかり掛かる店ではありませんが、根はそんなところにある店主でございます。


宜しければ、どうぞがっかりなさらずに(笑、ひとつ寛大なお心で。


そんな「ジャズ事始め」でした。


ご静読有難うございました。


神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。

でも、4周回って、聖子ちゃんはやっぱり偉大ですね(笑。

お待ちしております


Jus'Listen / The Amalgamation Of Soundz
X:treme Records
2000

(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)

サポート頂いたお金は、お店でかける音源の購入に充てさせていただきます。