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BAR は大人の駄菓子屋

晴れ間が続いて、「これは梅雨が明けたのではないか?」とも思えるのだが、やはり、きっかり「海の日」あたりまでいかないと、本当の暑さにはならない。太陽のギラツキが違うのだ。毎年思うが、「良く出来ている」と、思う。


                  ◆


うちのメニューに「フローズン・桃・マルガリータ」というカクテルがある。

テキーラと桃のリキュールに桃の果肉を加えて、クラッシュアイスと一緒にミキサーにかけた、夏の人気メニューで、通称「大人のかき氷」と呼ばれている。

このカクテルであるが、真夏日にならないと、本当の美味しさが出てこない。

梅雨時分に蒸し暑くなってくると、「ねえ、もうあれ出してよ。」なんて言うお客さんもいるが、絶対に「海の日」を超えて、ちゃんと梅雨明けをしていないと出さないことにしてる。本当にそれくらい、美味しさが段違いなのだ。


是非、もう数日お待ち頂きたい。(今年はノンアルでやります!!)


ところで、このような旬の「果物を使ったカクテル」には、

それぞれ「通称 = ニックネーム」のようなものを、ある命名の上手なお客さんから毎回頂いていて、かれこれそれなりの数になってきている。

・「大人のかき氷」:フローズン・桃・マルガリータ
・「大人のパフェ」:バナナのカクテル
・「大人のネクター」:マンゴーのカクテル
・「大人のシャービック」:メロンのカクテル
・「大人のアポロ」:いちごのカクテル

等々。

どれも、愛らしくて気に入っているのだが、考えてみると、結局「BAR」というところは、つくづく「大人の駄菓子屋」的なところなんだな、と気付く。

やっぱり、人間幾つになっても、かき氷やパフェを食べたいんだな、と思う。


そんな事もあって、うちの店では、作るときにいつも

「本格的になりすぎない = 少しジャンクさを残す」

を心掛けるようにしている。


冷凍物や、場合によっては缶詰の果物も使うし、「甘さ控えめで」などと言われても、インパクトがなくなるまで甘さを抑えることはしないようにしている。

「食べる(飲む)」ことへの一抹の罪悪感。

それがないと、つまらないと思っている。


                   ◆


僕の通っていた高校には、正門の前の右と左に、それぞれ一軒づつ駄菓子屋があった。(本当は生徒の昼食向けに、惣菜パンなどを売っていたお店なのだが、僕ら生徒は、部活帰りの「駄菓子屋」として使っていた。)

それぞれ、わりと年齢のいった男性と女性がやられていて、

通称

右「じじショップ」(失礼!!)

左「ばばショップ」(本当に失礼!!)

と呼ばれていた。


毛色としては、あっさり事務的な「じじショップ」と、ちょっと話好きな「ばばショップ」といった感じで、僕らはその日の気分で、どっちの店に行くかを使い分けていた。


部活が終わって、腹が減っているのだから、早く帰ってちゃんとした飯を食えばいいものを、ダラダラとたむろしていたのは何でなのだろうと思うが、今考えると、あれは結局「BAR」や「スナック」みたいなものだったのだと思う。(実際「ばばショップ」の女将さんは、風貌もちょっとスナックのママさん風だった(笑。)


仕事(部活)を終えて、家に帰るまでの中間地点。


切り替える場所。


そんな場所が、人間幾つであろうが、必要なのかもしれない。


気付くと、僕もすっかり「じじショップ」と呼ばれても文句の言えない年齢になってきた。


将来「じじBAR」などと呼ばれるようになるのかもしれないが、


「通称 = ニックネーム」を授かることって、


結構「名誉」なことのような気がしてきている。



神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。

訳あって、今は「大人のジュース屋」になってます(笑。

お待ちしております。


Hard Like a Rock / NUSPIRIT HELSINKI
Steeple:Guidance Recordings
1998

(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)

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