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深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン 沢木耕太郎

学校がお休みの間に読む本の紹介vol.21
 とうとう沢木耕太郎(と私)のインドからロンドンまでのバスの旅もフィナーレを迎えました。彼が1年2カ月かけてたどった旅路を私は2カ月ほどで追いかけたことになります。読み終えたとき、このシリーズと出合うことができた幸運と沢木耕太郎という人間への感謝の気持ちがわいてきました。さらに、彼がこの旅を始めたのは1974年の春とのことですから、ちょうど私が生まれた時期に重なっていて、そこにも運命を感じつつここまでたどり着きました。

 そんな最終巻はイタリアから始まります。私自身が大好きなイタリアを沢木耕太郎はどんなふうに歩き何を見てどう感じるのかを楽しみにしてページをめくり始めました。

 ローマで最初の衝撃はミケランジェロの「ピエタ」との邂逅ということになるでしょう。『こんなものがこの世に存在してもよいのだろうか、、、』と胸の裡でつぶやき天才の存在を認めざるを得なくなります。

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 この衝撃は沢木耕太郎にとって幸運だったのか悲運だったのかはわかりませんが、彼はこれ以降にイタリアでどのアートを見ても「ピエタ」に比べて感動を得ることができなくなってしまいます。私も直に見たことはないのですが、そこまですごいものならぜひ見たい!一生のうちに行きたい場所がまた増えてしまいました。
 そして、このころのローマを訪れた人ならだれもが「ローマの休日」の場面に出てくる場所に立つことに心が躍ったことでしょう。実際に深夜特急6巻のイタリア編は「ローマの休日」という名前の章になります。オードリーといえばお笑い芸人コンビを先に思い出してしまう私ですが、ちゃんとこの映画も観てみようと思います。
 ミケランジェロに脳天を撃ち抜かれて以降、なんとなく刺激が足りなくなってしまった沢木耕太郎のイタリア滞在はいくつかのエピソードとともに淡々と過ぎていき、モナコ経由でパリへと向かうことになりそうでしたが。パリまで行けばもうロンドンはすぐそこなので、あとはフランス滞在記とロンドンでのフィナーレというところかと思いきや、ここで沢木耕太郎は大きく西へと舵を切り、スペインからポルトガルへと向かうことになります。

 ここまでの行程はおおむね直線的というかさほどの迂回もなく進んできましたが、まさかここでヨーロッパの西の果てまで行きたいなんてことになるとは予想しませんでしたが、このまま旅が終わってしまうことに複雑な気持ちになっていた沢木耕太郎にとっては当然の選択だったのかもしれません。
 スペインといえば、私が大好きなレストランが金沢にあります。そこ通うようになってスペイン料理の味を知ってしまった私には、このスペイン・ポルトガルの旅は素敵なおまけになりました。ドカッと沈んでいくスペインの夕日、マドリードのバルで飲むビール、迫力いっぱいの「蚤の市」、、、一人で行くにはハードルが高そうだが、想像に胸が躍ります。勝手な想像だがスペイン・ポルトガルへの回り道という”おまけ”は沢木耕太郎にとっても心躍るものだったはずだ、文章のリズムや感じる息遣いがアップテンポに感じました。

 そして、パリでしばらく時間をすごしたのちにとうとうロンドンに到着する。ラストシーンは、、、

 内緒にしときます(笑)

 おそらく全巻読んでここまでたどり着いたなら、きっとこの結末に特別なものを感じると思います。

最後に
 グローバリズムの流れの中で、情報は世界を一瞬で駆け巡り、交通手段の発達で時間距離は圧倒的に短くなりました。そのことをもってして私たちは世界の広さや多様性を知った気になってしまいがちです。沢木耕太郎がタイで出会った駐在員に言われたことが最終巻で思い出されます。

「しかし、外国というのはわからないですね」
「知らなければ知らないでいいんだよね。自分が知らないということを知っているから、必要なら一から調べようとするだろう。でも、中途半端に知っていると、それにとらわれてとんでもない結論を引き出しかねないんだな」
「どんなにその国に永くいても、自分にはよくわからないと思っている人のほうが、結局は誤らない」

 外国や外国人に対してだけでなく社会全般に対しても同様のことが言えるのかもしれません。最終巻になってなんだか今の混乱の中で大事にしなければならないことを指摘されたような気すらしました。

 さて、これにて深夜特急の旅は一区切りです。一斉休校や外出自粛なんてことがなければ読み続けることもできなかったかもしれません。

 どんな本でもいいので、この機会に読書にたっぷりと時間を使うのもいいんじゃないでしょうか。読書という海原でもまだまだ紹介していきます。次は何を読もうかな~

 深夜特急シリーズを楽しんでくださったみなさんありがとう!
 次回もお楽しみに。

おまけ
深夜特急シリーズの紹介を連続で貼っておくので今から読むぞ!っていう人はこれ読んで勢いつけてください(笑)

以上がミニ深夜特急シリーズです~

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