蒸気鎧の乙女と魔術師

 噴煙吹き上がる蒸気鎧を駆って、空飛ぶ大地を走るボク。
 奴が、フラハティが遂に本気になってしまった。
 空飛ぶ大地スカイスチームに、もうボク達の居場所は無くなった。
 でも、だからと言って指を咥えて彼女が連れ去られるのを黙って見て居られるか!

 でも、結果は酷い物だった。
 彼女と友達を取り囲んでいた連中に勢いのままに殴り掛かかり、一体は倒したけど、すぐに他の奴に背後を取られて後部ハッチから引きずり出された。

「ガキが、タップリ躾てやるぜ!」

 ボクの両手を掴み上げて、下卑た笑みを浮かべ男が笑う。

「き、汚い手で触るな!」

 もがくけど、逃げ出せない。
 他の奴らは彼女の方へと向かい、ボクを掴む男はズボンのチャックを降ろし始めた。
 い、いやだ……。

「躾がなってない大人がいっぱいだね、マリオン大佐」
「旦那様、大人とはゴミの事を言いませんよ」

 不意に聞こえた男女の声。
 皆がそちらを振り向くと旅人のレイジーとメイドさんが立っていた。

【続く】

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