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ばばっと馬場ご飯〜焼き牛丼とメイラード反応

料理好きな芸人さんの動画(ロバートの馬場さんの、『ばばっと馬場ごはん』やかまいたち濱家さんのステーキ丼の動画ーこちらは期限切れでもう見られないー)を見ていると、立て続けに
メイラード反応」という単語が出て来て、驚いた。

「えっ?それ知ってるの??」

「メイラード反応ですね!」とノリで明るく言われると、ちょっとドキドキする。

料理に詳しい人の間ではよく知られている言葉らしい。「香ばしい」「焦げ」「焼く」などの美味しい風味のざっくりした意味で使われているし、実際そういうことでいいと思う。醤油を焦がしたような、香ばしいお煎餅のイメージ。

薬剤師という職業にとっても、このメイラード反応は大切な知識だ。だからこそ、軽々しく口にできない単語でもある。

メイラード反応は、還元糖とアミノ酸が反応して起こる。褐色になり、焼き立てのパンやビスケットの香りの段階から最後は醤油や味噌の色合いの段階に至る。最終化合物はほとんど明らかにされてないという。そんな複雑な話だ。

高カロリー輸液バッグが、糖・電解質部分とアミノ酸部分に分かれており、使用直前に隔壁を開通して混合するのは、メイラード反応を防ぐためだ。

もし、全部の材料を一緒に合わせた製剤が出回っていたら、流通、保管段階で、中身がゆっくりと褐色に変化していくだろう。

輸液製剤が2つ(実際には4つ)の部分に分かれている理由から知っておけば、開通忘れなどという残念なことは起こらないだろうなぁ、と思う。半面、人間だから、いつどんな状況でミスをするかわからない。fail safeという言葉があるように、エラーが起きても危なくない、あるいはfool proofという言葉があるように、エラーが起きないような対策が重要と言われている。
製品には「開通確認!」というシールがついていたりあちこちに開通を促す表示がされている。

開通忘れがゼロに近づけばいいが…。

便利な製剤のもう一つ、抗菌薬のバッグだが、こちらも開通しなければ、ただ生食を点滴しただけになる。

便利さや効率性とエラーは背中合わせである。

そんなことを考えながら、馬場ご飯ー焼き牛丼ーを作ってみた。確かに、肉を焼いてから作る牛丼は、おいしかった。

なお、馬場ご飯では、メレンゲと生の黄身を牛肉に乗せていたが、生卵は強烈に苦手なアイテムなので、真似できなかった。
小学校の時の調理実習で作った「ミルクセーキ」や、修学旅行の朝食で出てきた「卵かけご飯」は、今思い出すだけでもおぞましい。

(大塚製薬工場の資料を参考にしています)


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