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予想を超えて進む農地の荒廃 - 何が「想定外」だったのか?

農地と農業者の減少が問題視されてはや数十年がたち、東日本大震災と原発事故で東日本の離農が更に加速してから、もう8年以上になります。
農林水産省が発表したデータによると、2015年からの5年間で新たな荒廃農地の発生や農地の転用が合計15.2万ha発生しました。これは、東京23区の2.5倍に相当する面積で、2015年に農林水産省が予想していた計画の2倍近い規模です。

これだけのスピードで農地減少が進んだ理由として、「高齢化の進展や担い手不足などで新たな荒廃農地の発生が大きく見通しを上回った」という農村振興局のコメントが上の記事にも書かれています。

高齢化の進展は人口構造から予測可能な範囲であったでしょうが、その後を担う世代が想定以上に減少しているのは1つ理由としてあるように思います。また、中山間地を含めて農地利用に対する交付金等を出すことで、その維持を図る政策が採られてきました。しかし、短期的に今その地域で踏みとどまっている人たちのアクションを促すことは出来ても、長期的な担い手となる農業後継者が移住するには全く不足であったのでしょう。

そもそもが金銭的な話ではなく、コミュイニティの衰退・崩壊が見えている場所に少なくとも子育て世代が大挙して移住するはずはなく、衰退・崩壊の理由として「若年層の流出」以外の根本的な問題への対処は全く取られてこなかったように思います。

既に、現在の社会情勢や個人のライフスタイルを考えたとき、19世紀から20世紀にかけてどんどん拡大していった人の生活・生存圏を、今度は人口減少に応じて再編成することは避けられません。

この状況を打開するためには、残すべき・残すことが出来る場所はどこなのかを線引きし、限られた政策資源をそこに集中投下する判断を真っ先に行うべきなのだと考えます。

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