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紅葉|平屋私庭日記#33

いよいよ12月に入り年末感が出てきた。毎年あっという間に過ぎ去り気がつけば年末という流れをもうかれこれ6〜7年している。今回はこの時期らしく紅葉のお話を。

庭師の年末

お正月に向けて庭を綺麗にして欲しいというお客さんが多いので、年末はどの造園屋さんもバタバタしているのが年末の風物詩。独立したての僕も忙しい先輩方に応援・お手伝いに呼んで頂いたり、自分の仕事で猛烈に忙しい年末を過ごしている。
あまりの忙しさに好きな雑誌や本、映画が見れない日々が続くけれど、平屋の庭に出ると、ふとゆっくりした時間を過ごすことができる。

たかが2〜3分だけれど静寂な時間を作ってくれる庭はやっぱり面白い存在。
「昨日まで蕾だった花が咲き始めた。夜露を浴びた植物たちはいつもより鮮やかやなぁ。いつの間にか来春の蕾がしっかり姿を表してる。」
そんな朝の発見はこれから始まる1日の過ごし方を少しだけ楽しませてくれてる気がする。

冬の花ツワブキが咲き始めている。この黄色い花の後に、タンポポのようなふわふわの種をつける姿もかわいい。

紅葉

出勤前の朝、庭先に出て眺めていると夏とは違う鮮やかさを感じる。ブルーベリーの赤い葉にマルベリーの黄色い葉、常緑樹のお茶の木、アガベ、、なぜ秋になると紅葉するんだろうってふと疑問に思ってしまった。

ブルーベリーの真っ赤に染まる葉が好き。朝方は夜露を浴びてその色が尚更鮮やかに見える。

紅葉する葉

紅葉について調べてみるとどうやら光合成と葉に含まれる要素が関係しているらしい。

秋になって徐々に気温が下がりはじめると光合成から受けるエネルギーが小さくなって木が葉を維持するためのエネルギー量と採算が合わなくなるらしい。
そのため耐えきれなくなった木は葉っぱを落とすための準備を始める。そして葉っぱが役割を終える過程で、葉の色の変化が起こる。

ちょっと解説

寒くなり葉が光合成を停止すると光合成をつかさどるクロロフィルという〈葉緑素〉が減ってくる。光合成活動の低下によりクロロフィルが分解され、緑色の色素が薄くなることでカロチノイドという色素の黄色が目立つようになる。これが葉が黄色くなる過程らしい。

最後に

急激に気温が低くなると紅葉がより美しい年になる、とよく耳にする。それは光を受けてエネルギーに変換する働きと、そのエネルギーを使って養分をつくる働きの連係プレーのバランスが崩れるから。そうすると葉はそのバランスを保つために赤い色素のアントシアニンという要素を形成して落葉ギリギリまで光合成を続けようとする。

葉の色を変えてギリギリまで光合成してることを知ると、外見では分からない葛藤が実はあるんでしょうね。それだけ栄養を蓄えないと落葉した後の冬を乗り越えるのは過酷なものなのかもしれないなぁ。

今年は冷え込みが急激だったから、どこも紅葉がキレイで良い年だなぁ。紅葉狩りには行けない分、お客さんの庭先で楽しもう。

定点写真#33。平屋の庭は建物に囲われてて風がほとんど当たらないし、わりかし暖かいのでまだまだ落葉しない植物たちもいてる。

園園. 庭師 中山智憲

Instagram @enen_nakayama
note @green_s_nakayama


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