【ディスクレビュー】The 1975 / Notes On A Conditional Form

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バンドの歴史を振り返るようなアルバム。

アンビエント調なインタールードがいくつも挿入されていて、各時代にタイムスリップしているような、記憶の中を辿っているような、夢のなかを彷徨っているような感覚になる。

アルバム全体での情報量は多くて、長さも80分ある。でも、不思議と「次はどんな曲が来るのだろう」と思いながら聴くと最後まで聴いてしまう。どんなタイプの曲も耳なじみのいいサウンドとグッドメロディで、そんな曲たちが練りに練られた構成で続いていく。ボリューミーなのに消化不良にならず聴けてしまう。

ジャンル的にはギターロック、90's風ポップ、フォーク、エレクトロニカなど広く、これまでのTHE 1975の音楽性も踏まえながら、さらに拡張したイメージ。
新機軸の曲もあり、"People" は痛快なほどのロックンロールが最高で、Phoebe Bridgersとのコラボ曲 "Jesus Christ 2005 God Bless America" はPhoebe節のメロディが心地よい。

アルバム後半部は徐々にスローダウン、感傷的な曲調が多い。
最終部のDon’t worry→Guysは個人的なハイライト。これまで世界的な成功を収めてきたが、その背後には多くの苦労もしてきたのだろうか。自分たちを慰め、そしてこれまでの自分を讃えるようなこの曲の流れはなんとも泣ける…。


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