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戦争、ダメ、絶対!書籍『それでも、日本人は戦争を選んだ』過去からの警鐘

俺、争い、嫌い


本記事は加藤陽子さんの書籍『それでも、日本人は戦争を選んだ』を要約したものとなっています。

僕は、知識を得るための読書は
『広く・浅くでいい。どうせ内容なんてほとんど忘れてしまうから』
というスタンスです。

ただ、読書中に心が震え、そして動かされることは事実。
そして心が震えた部分は、頭の片隅に残り続け、今後の人生に必ず活きてくる。


そんな体験をしたくて読書をしているみたいな部分もあります。

このような気持ちで、なるべくサクッと簡潔に要約させてもらっています。
文字数は全体で4000文字程度。
スキマ時間や移動時間などを利用して読んでみて下さい。


内容紹介


加藤陽子さんは、歴史学者であり、東京大学大学院法学政治学研究科の教授を務めています。

専門は日本近現代史で、特に戦争と社会、戦争と国民意識に焦点を当てた研究で知られており、彼女の著作は、戦争や歴史についての理解を深めるために、学術的な視点だけでなく、一般読者にも分かりやすくまとめられています。

そんな彼女の代表作『それでも、日本人は戦争を選んだ』は、歴史学者である加藤陽子が、日本が第二次世界大戦に至る経緯やその背景にある日本人の心情や思考を探求した作品です。

日本がなぜ戦争に突入したのか、その決断に至るまでの国民や指導者の心理を、一次資料や当時の状況を詳細に分析しながら解説しています。

戦争を選択した日本人の姿を、教育や社会の在り方を含めて掘り下げ、日本の近現代史を理解するための重要な一冊となっており、日本の戦争観を再考するための一助となる作品です。


著者プロフィール

以下に彼女のプロフィールの主な点をまとめます。

経歴

  • 1960年10月、埼玉県大宮市(現さいたま市)生まれ

  • 東京大学大学院人文科学研究科で学び、1989年に博士課程を修了

  • 1991年から山梨大学教育学部で講師、助教授を務める

  • 2009年から現在まで東京大学大学院人文社会系研究科教授を務めている

学位・専門

  • 博士(文学)の学位を保持

  • 専門は日本近現代史、特に日本の政治外交史

主な著書

  • 『模索する一九三〇年代: 日米関係と陸軍中堅層』

  • 『天皇と軍隊の近代史』

  • 『昭和天皇と戦争の世紀』

  • 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

その他の活動

  • 山川出版社の高校日本史教科書『詳説日本史』の執筆に携わる

  • NHKの教養番組などにも出演

  • 2020年に日本学術会議会員の任命を拒否された6人のうちの1人




第1章:戦争への道を選んだ日本


①日本の国際環境と内政状況

この章では、日本が戦争への道を選んだ背景として、国際情勢と国内の政治状況が解説されます。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、日本は日清戦争や日露戦争での勝利を経験し、列強の仲間入りを果たしますが、その後の国際情勢の変化と、日本国内での軍部の台頭により、戦争への道を選ぶことになります。

国際連盟からの孤立、世界恐慌による経済的な不安定さ、そして植民地拡大を図る列強国の動きが、日本に対して軍事的対応を迫る要因となりました。

②日本人の戦争観

また、この章では、日本人の戦争観がどのように形成されてきたのかにも触れられます。

戦争は、当時の日本人にとって一種の「必要悪」として認識され、国家の独立や発展のためには避けられないものと考えられていました。

教育やメディアを通じて戦争が美化され、国民の戦争に対する抵抗感が薄められていった経緯が描かれます。


第2章:戦争への突入とその影響


①満州事変と日中戦争

満州事変(1931年)から始まり、日中戦争(1937年)へと続く日本の軍事行動について、この章では詳しく分析されます。

満州事変は、日本が中国大陸での利権を確保し、国際的な影響力を強めるための戦略的行動でしたが、この行動が国際社会からの非難を招き、日本は孤立を深めていきます。

日中戦争においても、当初は短期間での勝利を目指していましたが、泥沼化していく中で、日本はさらに戦争への傾倒を深めていきます。

②戦時体制の構築

この章では、戦争の長期化に伴い、日本国内で戦時体制がどのように構築されていったかも説明されます。

政府や軍部は、国民総動員体制を敷き、経済・産業・教育などのあらゆる分野で戦争遂行に向けた動員を行いました。

これにより、国民生活は戦争のために大きく変容し、戦争協力が「国民の義務」として強調されるようになります。


第3章:太平洋戦争への突入


①対米関係と開戦の決断

この章では、アメリカとの関係悪化と、資源確保のための南方進出が日本を太平洋戦争へと導いた要因であるとして、取り上げられます。

アメリカの経済制裁や禁輸措置により、日本は石油やその他の資源の供給を断たれ、経済的に厳しい状況に追い込まれました。

このままでは自国の存続が危ういと感じた日本は、開戦という最終的な手段に訴えることになります。

②開戦の正当化と国民意識

開戦に際して、日本政府や軍部は戦争を「自存自衛のための戦い」として正当化しました。

また、メディアや教育を通じて、国民に戦争の正当性を訴え、戦意高揚を図る動きが見られます。

国民の間では、戦争に対する賛否があったものの、国家総動員のもとで戦争協力が進められ、日本全体が戦争に突入していく様子が描かれます。


第4章:戦争の終結とその後


①戦局の悪化と敗戦

戦争の長期化と戦局の悪化により、日本は次第に追い詰められていきます。

この章では、ミッドウェー海戦などの敗北を契機に、戦局が日本にとって不利に転じていった過程が詳しく説明されます。

戦争末期には、本土決戦を前提とした「一億玉砕」など、極限的な戦争遂行方針が採られるようになります。

②戦争の総括と日本社会への影響

戦後、日本は戦争の原因や責任について総括を行うことになりますが、その過程での混乱や葛藤も描かれます。

戦争の経験が日本社会に与えた影響、戦後の平和憲法制定やアメリカの占領政策による社会変革などが取り上げられます。

加藤陽子は、これらの歴史的事実を通して、日本人が戦争にどのように向き合ってきたのかを再考する重要性を訴えます。




まとめ


『それでも、日本人は戦争を選んだ』は、日本がなぜ戦争を選んだのかを、多角的な視点から分析した一冊です。

著者の加藤陽子さんは、当時の国際情勢や国内事情だけでなく、日本人の戦争観や国民意識にまで踏み込み、戦争という選択の背景を明らかにしています。

本書を読むことで、日本の近現代史に対する理解が深まり、現在の平和と安全がどれだけ貴重であるかを再認識することができます。

戦争の歴史を学ぶことは、平和を維持するための第一歩です。

ぜひこの機会に本書を手に取り、日本の戦争史を学んでみてはいかがでしょうか。


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