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美術館便り-灸まん美術館編-

こんにちは。グラニフのライセンスDiv.兼 YouTuberのはないです。

今日は灸まん美術館のご紹介です。
初めて美術館名を見た時には、見慣れない単語に「灸まん・・?」と頭の中にハテナが浮かんでおりました。
ただ、美術館について知れば知るほど、歴史や土地の魅力をたっぷり感じるとともに、あるひとりの芸術家の多才で多彩な人生に感動したのです!!

今月は、そんな灸まん美術館の学芸員である西谷様に、美術館の魅力をたっぷりご紹介していただきます。

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みなさん、はじめまして。香川県善通寺市にある灸まん美術館(和田邦坊画業館)で学芸員をしている西谷と申します。美術館では、和田邦坊に関する調査・研究・展示活動をしています。個人では、和田邦坊リサーチプロジェクトを主催し、デザイナーやフォトグラファーたちと和田邦坊探検隊と名乗りながら香川県内(ときには東京まで)をあっちこっち探訪しています。

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さて、私の勤務先は灸まん美術館といいます。「灸まん」とは、金比羅土産で有名なお饅頭の名前で、親会社は土産物屋になります。美術館は、弊社創業をプロデュースした地元の画家・和田邦坊の作品を展示している施設ですが、たまに和菓子(お饅頭)のミュージアムと勘違いされてしまうことも多々あります…。もちろんお饅頭も販売していますが、和田邦坊の多彩な人生を作品と資料で紹介している美術館になります。

灸まんウェブサイトhttps://kyuman.co.jp/

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さっそくですが、みなさん「和田邦坊(わだくにぼう)」という人物をご存じでしょうか。香川県内では、ようやく知られつつある名前ですが、おそらく全国区の知名度はないように思います。しかし、きっとこの風刺漫画は見たことはあるのではないでしょうか。

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日本史の教科書にもよく登場する成金の風刺漫画です。この作品は、大人から子供まで知る邦坊の代表作として紹介しています。ただ、香川県内でも「成金を描いた人が地元の人だとは知らなかった!」という声も少なくありません。名前は知られていないけれど、全国区で有名な作品もあります!ということを最初にご紹介…

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そして、数々の香川県の物産品をプロデュースしたデザイナーであるということも付け加えたい情報です。弊社「灸まん」はもちろんのこと、「名物かまど」「山田家うどん」「白栄堂」「豆芳」「わら家」など、地元を代表するお菓子やうどん店は、邦坊がパッケージのデザインをしており、内装、外観、商品の売り方についてそれぞれ指南しています。見たことも食べたこともある、あれもこれもというくらい邦坊の作品は香川県内に溢れています。

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邦坊は、明治・大正・昭和・平成の時代を生きた人物で、新聞漫画家、小説家、農業学校の教員、讃岐民芸館館長、デザイナー、商業プロデューサー、画家として多彩な活躍を残しています。人生の前半(戦前)は、華やかな新聞記者時代を過ごし、渋沢栄一、高橋是清、双葉山、ピストン堀口、水の江瀧子(ターキー)など日本史に登場する政治家だけでなく、昭和を代表する芸能人、スポーツ選手、芸術家たちとも仕事をしています。また、小説家としても一世を風靡しており『ウチの女房にゃ髭がある』は2度も映画化し「パピプペパピプペポー」という変な歌詞の主題歌も大ヒットしました。漫画のような武勇伝も多く、話を少し盛っているように疑ってしまいますが、遺した仕事をみると流石だなあと感服します。

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人生の後半(戦後)は、香川県を拠点にしており一度も県外に出ていません。当時の県知事に招聘されて県の事業にも関わり、讃岐民芸館の設立にも尽力し、東京時代以上に幅広い仕事を手掛けていました。様々な肩書があるものの本人としては「画家でありたい」と言っていますが「自信があるのはデザインだ」とも強く語っています。邦坊の十八番ともいえるパッケージデザインについては、解説が長くなるので省略しますが、最後に私がおススメする香川らしい・邦坊らしいデザインを紹介します。

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この作品はJCD(日本商環境デザイン協会)高松総会のポスターの図案になります。昭和44年(1969)インテリアデザイナー、建築家、空間プロデューサー、グラフィックデザイナーなど専門家たちが集う大会の告知ポスターとして採用されました。また、邦坊の実績はJPDA(日本パッケージデザイン協会)の会報誌にもたびたび取り上げられており、当時のデザイン業界のなかで一目置かれていた存在だったことがわかります。

さて、描かれている風景は、太陽が昇る明け方の高松港になります。青い瀬戸内海、海沿いにある高松城、たくさんの乗客がのる連絡船、太くたくましい松、そして朝日に照らされた屋島がみえます。本州と四国を繋ぐ今はなき連絡船は、かつての香川の風景に欠かせない存在でした。また、フォルムだけをみれば平たい山の形も屋島とすぐに分かり、実に香川らしいデザインといえます。また、画面の上部と下部には、野暮ったいほど丸々とした黒い丸が並んでいます。この丸は、邦坊が手掛けた店舗の半被や暖簾の図案にもよく登場する形で邦坊のデザインを代表するパターンのひとつです。そして、互いの色を引き立たせる赤と青の配色もポイントになります。この組み合わせは、パッケージや商品だけでなく絵画にもよく取り入れていた邦坊カラーともいえる配色です。発想の原点は、漁師の赤い褌と青い海だといい、まさに香川の風景は邦坊のデザインそのものといえる作品です。

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現在、企画展「秋の夜ばなし/冬来たりなば」を開催しています。前回の「春かすみ/夏の夜風」の続編として、第1部では秋の夜話で語りたくなるような絵画作品だけでなく、親交が深かった棟方志功との書簡、作品などを公開しています。今回は、コロナを意識して《鐘馗》(疫病を払う神様)も展示しています。しかし、邦坊が描く鐘馗はなんとお昼寝中。そして敵である小鬼が「出番ですよ」と鐘馗さんを起こそうとしているユーモラスな作品になります。邦坊は、大変な時こそユーモアが大切だと言います。こんな時だからこそ、クスっと笑わせてくれる、そんな邦坊のユーモアセンスを美術館で楽しんでいただければ幸いです。

和田邦坊画業館コレクション展vol.3
Long Autumnal Night After winter comes spring
秋の夜ばなし/冬来たりなば     
第1部  2020年10月17日(土)~2021年1月11日(月)
第2部  2021年2月4日(木)~4月8日(木)

開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)   
感染症の拡⼤防⽌のため、展覧会の中止または変更の可能性がございます。
休館日  火曜日・水曜日        
     年末年始 2020年12月30日(水)31日(木)、2021年1月1日(金)     
     ※展示替え期間 2021年1月14日(木)~1月31日(日)  
入館料  一般500円、65歳以上の方・身体障害者手帳等をお持ちの方は300円 、小中高大生・無料

KYUMAN MUSEUM OF ART 
和田邦坊画業館 灸まん美術館 
〒765-0052 香川県善通寺市大麻町338
TEL&FAX 0877-75-3000

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奥が深いお話で、勉強になることばかりでしたね。ジャンルの垣根を越えて大活躍されていた方なので、知らないうちに邦坊さんのデザインが身の回りにあった、なんてこともあるのではないでしょうか。
そして、私は灸まんを食べてみたくなりました。

ところで、灸まん美術館もグラニフパスポートTシャツに参加しているので、パスポートTシャツを着て行くと、ポストカードが1枚もらえます!
実際に邦坊さんが過ごされていた土地の空気を感じながら作品鑑賞ができるのはとても素敵ですよね。
香川県にまた行ってみたくなりました。

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和田邦坊《瀬戸の曙》昭和44年

力強さがあってたくましい筆づかいが「邦坊カラー」によって優しいバランスに仕上がっているようです。作品の持つパワーをそのままTシャツに落とし込んでみました。ぜひ手に取って感じてみてください。(はない)


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Design Tshirts Store graniph 世界中のアートやアーティストをつなぎ、キャンバスにみたてたTシャツやアパレルアイテムにデザインを施しているブランドです。https://www.graniph.com

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