見出し画像

ファッションの持つチカラ/STYLIST 藥澤 真澄

#10 INTERVIEW STYLISTMasumi Yakuzawa

こんにちは。インタビューをメイン記事にしてるYOです。
今回、ご協力いただけたのは、スタイリスト・藥澤 真澄さん。


画像8

Stylist/藥澤 真澄
WEB : https://www.masumiyakuzawa.com/
instagram:https://www.instagram.com/masumi_yakuzawa/
2016年〜2018年スタイリストYOSHI MIYAMASU師事後、2019年から東京をベースにスタイリストとしてのキャリアをスタートさせる。雑誌、広告、カタログ、ミュージックビデオ、セレブリティー、ディスプレイなど 幅広い媒体の中で、エレガントでありながらも新鮮なスタイリングを得意とする。



──藥澤さん、ご無沙汰しております。本日はよろしくお願いいたします。
「こちらこそよろしくお願いします!」
──独立をされていたんですね。こんなに実績もつくられていたのは知りませんでした・・。さっそくですが、最近されたお仕事の紹介をお願いします。


仕事も作品撮りも、本気で取り組む。楽しむ。


“自主的にアプローチすることで、一見不可能だと思われることも可能になるし、いい作品になるんです。”

「まずはこちら、“ファッション力(Fashion-Ryoku)”という杉野学園からのオファーで、フリーペーパーを撮影したものです。」
──かっこいいですねー。写真もスタイリングも素敵!
「ありがとうございます。チームのようにいつも一緒にやってる仲間がいるんです。どんなオファーも全力です。アポ取りも臆せずやっちゃいます。」
──へー!場所のアポ取りですか?
「わたしアポ取りうまいんですよ(笑)。なんでも自力でやっちゃいます。
例えばこの写真とかは、映画館なんですよ。映画館とか本当は借りれないような気がしますけど・・“いや映画館かりれないでしょ”、じゃなくって、“映画館に声かけてみようよ!”っていうモチベーションなんです。」

photographer / Karin Ikeda
“ファッション力(Fashion-Ryoku)”
https://www.instagram.com/fashionryoku/?hl=ja


「あと、この撮影は学校を貸してもらったんですよ。」
──学校で撮影なんてすごい!
「これもほんと、たまたまなんですよね。普通なら学校で撮影なんて絶対難しいんですけど・・今、コロナで部活動やっていないんで使わせてもらうことが出来たんです。知り合いのツテを通じて、心よく貸してくれるっている奇跡を生み出せる、“ドリームチーム”なんですよ(笑)。一見不可能なことを、撮影として実現できるっていうのがとってもワクワクするし、楽しいんです。」

"Isolation" for @dna_magazine print issue 21ss
photographer / Karin Ikeda
“DNA Magazine”
https://www.instagram.com/dna_magazine/


「いまご紹介した映画館と学校の撮影の仕事の、同じフォトグラファーさん・ヘアメイクさんでやったものなんですけど、そのチームで行った作品撮りの1つになります。」
──お風呂に入ってる・・!めちゃくちゃアートですねーー。写真もスタイリングも素敵・・!
「ありがとうございます!こういう作品撮りも、仕事と同じくらいのモチベーションで本気で、楽しんでやってます。」

photographer / Karin Ikeda( @ikd_yokkori)
hair&makeup @stkszk19 model @keblaite
special thanks to #松の湯



スタイリストになった経緯。


──ではでは、藥澤さんがスタイリストになった経緯も教えてもらえますか?やっぱり服が好きで、今に至る感じなんでしょうか?
「はい、そうですね。もともと服はとても好きでしたね。でも実はわたし・・スタイリストになりたいとは特に思っていなくって。大学も、心理社会学科卒業なんです。」
──えっ!そうなんですね??とっても意外です・・。
「はい、もともとは服が好きでしたけど・・大学進学の時は、スタイリストになろうなんて発想は全くなかったですね。実は、大学での目標は、自分の心からやりたいことを見つけることだったんです。でもそれがあったから、自分で図書館に行って、いろいろ調べるってことをしていましたね。」
──なるほど。大学って場所は受け身だとよくない場所って言いますし、藥澤さんの自主的に動く姿勢はもともと生まれ持っていたものなんですね。


大学時代。
アルバイトを経験して、『服を“売る”のは、違うと思った』。


ユニクロで2年間アルバイト。

「服に関することと言ったら、大学1年のときにユニクロでバイトしてました。
それについては実をいうと、ファッションが好きだったからというよりは家の近くにあったから、という理由でした(笑)。」
──そうなんですね、ユニクロ、近かったからですか(笑)。アルバイトでショップの販売員さんだったんですね。
「そうですね・・販売員というのはちょっと違うかもしれません。ユニクロって販売をしないスタイルなんです。」
──え?!!販売しないんですか?
「というのは・・ユニクロの店員さんに、『これかわいいですよねーー?』って言われたことないじゃないですか?」
──たしかに・・!言われてみるとそうですね。
「そうなんです。たとえばお客さんが困ってるとき、たとえばこのSサイズはどこだろう?とかに、困ってるときに出てくるスタイルなんです。つまり、オペレーションとして決まっているんです。ユニクロの場合、販売というよりは、必要なタイミングで、手助けをしてあげる役割なんです。もともと日常のライフウエアという概念だし、生きるための服を売るんです。ファッションではなく機能性を重視したメーカーなんですよ。今思うと、地味な作業も多かったことも含めて、それが肌にあってたんですよね。」
──楽しくアルバイトできた経験だったんですね。

念願の好きなブランドで販売員の挑戦。

──ユニクロ以外でアルバイトはされなかったんですか?
「ユニクロで2年バイトしたあとに、販売員のバイトをしました。
ずーっと憧れだったアパレル会社があったんです。そこの洋服が昔から大好きで。わたし、学生アルバイトで販売員の募集があると知らなくて。それを知ったときに、即応募しましたね。それで販売員に挑戦したんです。」
──へー!そうなんですね。どうでしたか??
「実はその面接、4回もあったんです。全身写真とかも必要で。」
──全身写真?面接4回?!!ちょっとしたオーディションですね・・
「販売員は、お客様にとってマネキンじゃないといけないんですよね。ほんと大変でしたけど、なんとか受かって。全然うかるなんて思わなかったからとっても嬉しかったです。それで1年半くらい、そこでアルバイトしてましたね。」

“服を買うことおしゃれはイコールじゃない。売りたくないけど売らないといけないジレンマ。

──憧れだったショップで働けたのは、どうでしたか?
「やってみて気づいたんですけど・・とても楽しかったけど、向いてないなって。すごく勉強になった期間だったとは思っています。」
──なにが嫌だったんですか・・?
「そうですねーー。なんていうか、おしゃれって、『服を買う』こととイコールではないじゃないですか。」
──たしかに。例えば1着、ハイブランドの服を買ったとしても、それでおしゃれになれるわけじゃないですもんね。結局着こなしですし。
「そうなんですよ。販売員の1日って、毎日朝礼からスタートするんです。売上総予算に向けて、今日もみんな頑張りましょうって。で、1日を終えて、終礼するんです。何がよくなかったかという話を毎日やってました。それを繰り返してて、なんだろうって思ってて。だって、服なんて毎回毎回新しい服がくるんですよ。でもそれをたとえその度に毎回新しい服を買ってたって、別におしゃれじゃないじゃないですか。」


“だったら、わたしがあなたのクローゼット開けて、スタイリングしてあげるよ!って思ったんです

「例えばなんですけど、1枚白Tをもってたら、もう白Tって買う必要ないじゃないですか。でもお客さんは白Tを買いに来るんですよ。最初、なんで買うんだろってわかんなかったんです。ものすごくベーシックな服を買うお客さんに対して、『いや、持ってますよね・・?』って思ったし、むしろ買わないでいいですよって言っちゃってたくらいで(笑)。だったらクローゼットあけてわたしが今っぽくスタイリングしてあげるよ!ってそのとき本気で思いましたね。」
──(笑)。そんな販売員さん、なかなかいませんよね。衝撃的(笑)。
「本当はダメですよ(笑)。
でもお店は売らないといけないし、予算を達成しないといけないじゃないですか。それが肌に合わなかったんです。必要ないって思ってるのに、それを買わせないといけない。どうしても、売上をとろうという気持ちにならなかったんですよね。
わたしはそのブランドが大好きだったし、お洋服も好きだったんですけど、自分自身がやりたいことは、そこじゃないと思ったんです。」
──なるほど。それがスタイリストになろうと思ったきっかけでもありますね。


スタイリストとしての出発。

アシスタント派遣の事務所に。

「1年半ほどそこでアルバイトは終了しました。就職活動の時期になって、皆と同じように大手のアパレル会社に、私も就活を始めました。広報になれたらいいなと思って。じつは最終選考まで受かってたんです。けど、説明を受けるとやっぱりどこも、はじめは販売員からのスタートなんですよね。
それがどうしても気が進まなくて。そこで考えたんです。わたしのやりたいことは、やっぱり「販売」ではないなって思って。
それでも服に関わる仕事をしたくて、スタイリストのアシスタント派遣の事務所に登録したんです。なんで突然スタイリストっていうそのあたりの経緯は忘れちゃったんですけど。そこから私の
スタイリストの経歴がスタートしました。」

YOSHI MIYAMASUさんのアシスタントに。

──そこでYOSHIさん登場ですね!
「そうなんです。就活終わって、半年間くらいかな。週2-3回
くらい、いろんなスタイリストさんに、派遣でアシスタントをしていました。」
(※スタイリストさんは、ベタづきのアシスタントをつける方、つけない方がいます。後者の方が派遣のアシスタントをご依頼される事が多いです。)
──なるほど。ちなみに、ずっと派遣アシスタントとしてされる方もいるんですか?
「ずっと派遣でやる方もいますし、師匠をみつけるき方もいますね。わたしは後者の方で。何度か派遣の仕事を得て、4人くらいのスタイリストさんからお声がけしてもらったんです。」
──4人も!すごいですね。そのなかからYOSHIさんのアシスタントになられたんですね。
「そんなにお声がけを頂いたのは、きっと挨拶ができただけですよ(笑)。
仕事の内容が一番ファッションに近かったんです。その分一番忙しそうでもありましたけど(笑)。それでYOSHIさんのアシスタントになることを希望させていただきました。」

YOSHI MIYAMASU
www.yoshimiyamasu.com
2003年、東京でスタイリストとして独立し、その後、2006年にSIGNOに所属。
国内外の雑誌・広告・カタログ・セレブリティー・ショーのコンサルティングと幅広い媒体の中で、YOSHIらしい新鮮なミックス感のあるスタイリングと洗練されたイメージの打ち出しに定評がある。ファッションで自分のイメージ演出していくことの楽しさを数多くの人々に伝えていきたいと考え、スタイリングのみならず、独自のアイデア出しやキャスティングによるイメージ作り、フォトコーディネーションなどでも高い評価を受けている。
引用:https://signo-tokyo.co.jp/artists/yoshi-miyamasu/  



スタイリストアシスタント時代のお話。

スタイリストアシスタントの仕事内容。

──アシスタントさんの仕事の流れを教えてもらえますか?
「はい!だいだいこんな流れですね。アシスタントの最初の仕事はアポ入れです。
1. 師匠の仕事の説明を受ける(打ち合わせに同行も)。
2. 服をどこで、どのように手配するのかを考える。
3. 実際に電話をしてリースのアポイントを入れる。

仕事によって動きが全く変わってくるんですよ。広告ならレンタルショップで借りるし、雑誌はクレジットのせて最新の服を借りてきます。ものによって全然動き方が違うんです。広告はけっこうスタイルが決まってることが多いんですけど、雑誌は自由度高いですね。あと大変だったのは、YOSHIさんに限ってかもしれませんが、言葉で詳しく説明されないことが多くて。」
──言葉で説明されないのは最初は大変かもしれませんね・・。
「見て学んで、実践して学んでいくんです。当初は、
何を言ってるかわからなくて。とにかくメモるんですけど、そのメモってる意味もわかってないんですよ(笑)。で、あと辛かったのは、質問できなかったんです。」
──質問も!?
「っていうのは、何がわからないのかもわからないから質問できないってことなんですよ(笑)。だから、どんどん実践で学んでくことが大事なんです。
あとスタイリストの仕事って、準備までが一番忙しいんです。わたしがもともとやってた派遣のアシスタントって、
当日の現場しか見てないんですよ。もし本当にスタイリストの仕事をしたいなら、ちゃんと師匠の元に入ったほうがいいと思います。いろんな意味で強くなれるし、スタイリストの仕事を知ることができます。」


アシスタント時代に印象に残ってる仕事。

──なるほどですね。アシスタント時代に、印象に残ってる仕事はなにかありますか?
「2016年の仕事でしたけど、モデルの鈴木亜美さんを起用した撮影だったんですけど、京都で撮影した「DEPARTURES」です。
撮影のときって、写真を見てからすごいってなることが多いじゃないですか。もう現場で“すごい”と魅了された撮影でした。」
──うわーーめちゃくちゃかっこいいですね。京都をNYのフォトグラファーが撮影するというマッチングも素敵です・・!

※写真は『Ami Suzuki オフィシャルブログ』より引用いただいてます
https://lineblog.me/suzukiami/archives/1061744372.html

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7




“DEPARTURES”
Photographer / ERIK MADIGAN HECK
Model / Ami Suzuki
Stylist / Kareem Rashed・Yoshi Miyamasu
Hair&Make / Takayuki Shibata


スタイリストになろうと思ったきっかけ。

“持って生まれたコンプレックスがあったからこそ、服が好きになった”。

──やっぱり服が好きだったから、スタイリストになったんでしょうか?
「そうですね。もちろんそれがベースにある気がしています。
たぶん服が好き、にも人種があって。スタイリストって基本服が好きだと思うんですけど、一方で街に“ファッションヲタク”っているじゃないですか。」
──あ〜はい、いますね!全身ブランドモノというか・・。同じ『服好き』なのに、なんだか世界が違う気がしています。何故なんでしょう・・?
「彼らとは、好きの気持ちの向く方向が違う気がします。服への知識がとても豊富で、好きなブランドで身を固めたり。私達ももちろん勉強はしていますけど、大事にしてるポイントがかなり違うんですよ。」
──なるほど。藥澤さんにとって服が好きなのは、どういうところからきてるんですか?
「服が持つチカラが好きなんですよ。わたしもともと、コンプレックスがいっぱいあったんです。服とかメークって、すると気分とか気持ちが変わるじゃないですか。自分のこと好きじゃないのに自分が好きになれる。着ただけで、気分が変わるんです。」
──あ〜ありますね!わかります・・!コスプレとかに近いのかな?
「そうかもしれないです。“ファッションヲタク”との違いって、たぶんそこだと思うんです。どんな服でもいいんですよ。その人のテンションがあがるものであれば何でもいんです。変身できるし。気分が変わる。服にこだわってるのは自分でもわからないけど、アパレルで働いた経験が大きいかもしれません。」


これからスタイリストになりたい人へ。

人生の転機は、「アパレルに受かったこと」。

──これからスタイリストを目指す方へ、なにかメッセージやアドバイスはありますか?
「そうですね・・。なんだろう。
わたしが初めて、一番やりたいと思ってたことが叶ったっていうのが、“アパレルに受かった”ことだったんですよ。やりたいと思っていた憧れてたことが叶った瞬間。それが転機になった気がするんです。
“夢なんて叶わなそう”ってみえるじゃないですか。人生って。
でも、“あ、やってみたら、できるんだ!”って思えたんですよ。
そのときから、その発想になれた気がしています。道が開けた感覚というか。
そこからは、そこから全てがポジティブになったし、何やってもうまくいくなって思えるようになれたんです。
「販売員」として"選ばれる"ような感覚が、自分に自信をつけたのかもしれません。自分にしかできないことをしたいと、無意識に感じるようになったきっかけのような気がします。
皆さんにもそういうきっかけや転機があるといいなと思っています。」
──インタビューは以上です。いいお話をたくさん聞くことができました。長時間お付き合い頂き、本当にありがとうございます!

まとめ。

彼女はコンプレックスをベースに、それを逆に力にして実行し続け、そして転機を得ました。
なにか1つ努力したらできた経験、努力したらできる経験、思考錯誤したらできる経験。「何か努力をして成功を得る」ことは、チカラになる。
それをチカラは、あなたを絶対成長させるし、強さになる。

“自主的に動くこと”
“それを楽しむこと” 
“何をやりたいかを求め続けること”

今回のインタビューは、彼女のとことん突き進むポジティブなマインドがとても素敵で、話をしただけで何だか勇気をもらえたように思えました。

なにか叶えたいことがある全ての人へ。
このお話が、その目標の後押しになれますように。
ではまた。


STYLIST/藥澤真澄 Masumi Yakuzawa
WEB  : https://www.masumiyakuzawa.com/
instagram : https://www.instagram.com/masumi_yakuzawa/

【 MAGAZINE 】
WWD japan / DEW magazine / PAP magazine / kaltblut magazine / KARBN magazine / BOYFRIEND magazine /
VULKAN magazine / AI CREATIVE / Lula japan etc.

【ADVERTISING & CATALOG】
Coca-Cola / 東急電鉄 / グリコ / SONY / 24/7English / LINE / ADANSON /109 / JRA / KA / Glaab / RAKINES / walenode / septem / nina&jules / RIEMPIRE / rikolekt / KONTRACT

【CELEBRITY】
桐谷美玲 / 鈴木えみ / 堀田茜 / 三戸なつめ / NANAMI / 坂ノ上茜 / 青木源太(アナウンサー)/ 三原勇希

【ARTIST】
Rina Sawayama / 福原遥 / 遥海 / Hi Cheers! / Fischer's / ましのみ / おこさまぷれ〜と。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?