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素直さと真面目さ—ブランド設立5周年を迎えて思うこと

「誰々は素直じゃない」
「素直に人の話を聞けない人は伸びない」

いずれも日常会話やネット記事などでよく耳にするフレーズです。

確かに、ブランド運営においても素直に学び、素直にアドバイスを聞き入れられる姿勢は、1つの成長の肝だと思います。

一方で、素直とは何なのか、私自身は素直なのかを、ふと考えることがあります。

私は素直ではないらしい

「素直じゃない」とは「人の言うことを聞かない=我が強い」様子を指すことがあります。

このニュアンスで使われるのを聞くたび、素直とは難しいものだと感じてきました。
「自分の気持ちに正直であること」を素直だと捉えるなら、我が強い=自分の意思に従うことも素直だと思うからです。

私は人から聞いた話やアドバイスをすぐに取り入れることは、あまりしません。

即行動(走りながら考える)というのがどうも苦手で、自分の中でじっくり噛み砕いてからではないと、行動に移せないのです。

私自身は素直に自分の意思に従っていると思っているものの、
周囲の人からは「人の言うことを聞かない、素直じゃない人」と思われているかもしれません。

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素直という強み

2020年8月、grace factory はブランド設立5周年を迎え、6年目に突入しました。

まずは、これまで素晴らしいご縁をくださったお客様や、さまざまな形でお世話になった方々に、心より感謝申し上げます。

この5年間を振り返ると、特筆すべき成果や出来事はあまりなく、些細なことを積み重ねてきた日々だったように思います。

ふと、同じくらいの時期にブランドを立ち上げた友人を思い出しました。
この友人は積極的にいろんなところに出向き、アドバイスを受けたらすぐに行動に移し、企画の声をかけられたら二つ返事でYesと言うようなタイプでした。

「なんでそんなに判断が早いの?」
と聞くと、「長く働いていた業界は仕事が流動的で、悩んでいると仕事自体がなくなってしまうから、悩む暇がなかった」と言っていました。

この友人の立ち上げたブランドは今や、日本中の商業施設から委託販売の声がかかり、有名どころとのコラボも複数手がけ、海外にも販路を拡大しています。
(もちろん作品自体も素晴らしいものです)

共通の知人がこの友人のことを「素直だ」と称賛しているのを聞いたことがあります。
積極的に行動に移し、さまざまな物事に取り組む姿勢は、私も本当に尊敬しています。

そして、この友人とは異なる自分はやっぱり「素直じゃない」のだろうな、とも思いました。

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素直じゃなくてできなかったこと

「素直じゃない」らしい5年間は、確かにせっかくの機会を失ったこともあります。

私は普段オンラインストアでのみ販売しているのですが、これまでリアル店舗での委託販売のお声がけを何度かいただました。

実物を手に取って見ていただけるリアル販売にはずっと興味があり、
周囲からも「革小物は実物を見て選びたい人も多いから、展示の意味でもリアル販売の場を持つといいよ」とアドバイスを受けていました。

ただ、私は主に受注製作として注文を受けているので、すぐに販売できる在庫をあまり用意していません。
リソースの限られた個人ブランドとして、在庫を抱え込むことは正直怖いと思っているからです。

売れるかどうかわからない在庫を多く用意する必要があること
革製品は人の手に触れたり長く陳列していると傷がついたり経年変化するため、売れ残ったら販売できる状態で戻ってこないかもしれないこと

などと悩んで断ったり、あれこれ理由をつけて迷っているうちに話が流れてしまったりしました。
結局未だに機会を失ったままです。

今振り返れば、認知拡大の場と捉えてもっと気軽に受ければよかったとも思いますが、当時はそれが自分の素直な判断でした。

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5年続けて見えてきたもの

自分としては素直だけど世間的には「素直じゃない」5年間でしたが、よかったこともありました。

1つは、たくさんの方に私のつくった革小物を喜んでいただけたことです。
お喜びのメッセージやレビューはどれも宝物ですが、今年のはじめごろ、非常に印象的なレビューをいただきました。

20歳の誕生日に、親にねだって買ってもらいました。大切に長く使っていきたいです。

20歳の誕生日、ハイブランド品をねだっても不思議ではありません。
そんな大きな節目に私の作品を選んでくださったことに、胸が熱くなりました。

もう1つは、売上だけでなくブランド理念を意識するようになったことです。
5年前の2015年8月、私は

年齢性別問わず、心から「好き」と思いながら使える自分だけの革小物を提供することで、多くの人の日常生活に豊かさを発信したい

という理念を掲げて grace factory を設立しました。
しかし、設立間もない1,2年目のころは実績をつくるのに必死で、理念を忘れたわけではありませんが、それ以上に売上を伸ばすことばかりを考えていました。

「とにかく売らなければ」という思いで、日々の数字に一喜一憂していました。

実績もそれなりにでき、心に余裕が出てきた3年目くらいから、「自分は何のためにブランドを立ち上げたのか」を意識するようになりました。

5周年を迎えた今では、もちろん事業として売上を伸ばしたい気持ちはありますが、
常に理念に立ち返りつつ、より強く「私の作品を使われる方が少しでも豊かな気持ちになられますように」と祈るように思いながら、日々の製作や活動を行なっています。

たかが5年、されど5年続けてこられたからこそ、見える景色もあるものだなぁと感じています。

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真面目さは武器になる

私はよく「真面目だね」と言われます。
真面目とは「ちゃんとしている」というニュアンスもありつつ、ネガティブな意味も孕んだ言葉のように思います。

周囲との会話で「誰々は真面目だ」という話題が出ると、もちろんいい意味で使われていることもありますが、
どちらかというと「柔軟さに欠ける、頭が固い」というようなニュアンスで使われていることが多い印象があります。

なので、私は真面目と言われるたびに、遠回しに欠点を指摘されているような複雑な思いをしてきました。

ところが以前、きゃりーぱみゅぱみゅさんの事務所社長の著書の中で、きゃりーさんがヒットした理由の1つとして

彼女は真面目。
同じような発信ができる子は他にもいるけれど、多くは続かない。
しかし彼女はマメに続けることができる。
それが彼女の強み。

このようなことを書かれているのを見かけました(原文ママではありません)。
真面目の呪縛から解放されたように感じました。

この5年間は特段大きなことはしていないし、素直じゃない故に逃した機会もありましたが、
マメに作品をつくり、オンラインストアを更新し、お客様とやりとりをし、スケジュール管理をしてきたからこそ、前述のように草の根を張ってこられたのだと思います。

「真面目さ」は私の強みです。

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6年目、そして未来に向けて

「素直じゃない」からできなかったこともありつつも、「真面目さ」で着実に積み上げてきた5年間。

6年目を迎え、10年・20年と続くブランドにするには、常に変化する社会やトレンドに「素直に」対応していくことも重要だと痛感しています。

コロナ禍で個人的に感じたのは、海外販路の重要性です。
国内消費が落ち込んでも、ネット販売なら比較的経済活動が維持されている国・地域の方にアプローチする事で、外需を獲得できるからです。
そのノウハウは平時でも事業維持・拡大に十分活かせるので、言語や文化のハードルを乗り越えて対応していきたいところです。

また、密かな願望すぎて公にするのもおこがましいのですが・・・
私が革小物に興味を持つきっかけとなった百貨店(プロフィールご参照)で、いつか何らかの形で、作品を販売する機会をいただけたらいいなぁと心に秘めています。
これが叶ったら、ブランドとして1つ大きなことを成し遂げた気持ちになりそうです。

ブランド運営も作品づくりも苦労は絶えませんが、「素直に」社会・トレンドの変化を掴み、「真面目に」取り組んでいくことで、
これからの grace factory も「心から『好き』と思っていただける自分だけの革小物」を通して、多くの方の日常に豊かさをお届けしていきたいと思います。

・・・

▼ grace factory オンラインストア

▼ grace factory Instagram


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色で遊べるレザーブランド。「誰もが『好き』と思って使えるもの」をコンセプトに、革色・糸色を組み合わせ、自身の「好き」を体現いただける革小物を製作しています。https://gracefactory.theshop.jp/
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