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導線の中のグラフィック・レコーディング

グラフィック・レコーディングというと、議論や対話を促進させるコミュニケーション・ツールとしての側面が注目されている一方、自分たちの活動をもっと広く知ってもらいたくて依頼されることも多い。
前者を目的として描いている人はたくさんいるのでそれはお任せして、自分は後者を考えたい。最近考えていることの備忘録用。対話好キー、リアルタイム好キーはスルー推奨。

オンライン・イベントの導線を考える

最近とくに多いオンラインでのイベント。それに伴いグラフィック・レコーディングをSNS等で見る機会も増えているように思う。
その場合のグラフィック・レコーディングの目的とは何だろう?
参加者が自由に発言できるイベントでなければ議論・対話の促進をすることは難しい。となると、参加者のふりかえりやイベントに参加できなかった人に内容を知ってもらうなどの目的になると思う・・・というのは描く側の考えか?

イベント主催者にとってはどうか?
参加者や元々興味があった人のためのメモがわり程度であれば、グラフィック・レコーディングはわざわざお金を払って頼むものにはならない。オンラインのイベントではアーカイブを残すことも容易となったため、内容を知ってもらうのであればそれを公開するほうが親切だ。
グラフィック・レコーディングは詳細な内容を知ってもらうためではなく、そこをきっかけにしてアーカイブにアクセスする、次回のイベントに参加するなど、見た人の次のアクションへつなげることが必要になるのではないか?

次のアクションにつなげる描き方とは?

TwitterやFacebookで見るグラフィック・レコーディングはデジタルで描かれるものが増えたが、その描き方は模造紙に描いていた時とあまり違いがないように思う。
ただし、デジタルになったことで写真をトレースしてスピーカーの似顔絵を描くことができるようになったため、一見すると(絵の)クオリティが高いグラフィック・レコーディングが増えた。サムネイルで見るとスピーカーの似顔絵だけが目立ち、肝心の内容は拡大をして見なければ判別できない。(拡大して、似顔絵と内容のギャップにげんなりすることも少なくない。)
元々スピーカーに興味があればその先に進むかもしれないが、そうでなければスルーされてしまうのではないか?

そんなことを考えながら、最近はデジタルでの描き方を模索している。
(お仕事ではなく、趣味で描いている。)

最近描いたもの①

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これはKreamというバンドが、新譜CDを全曲解説したYouTube配信を描いたもの。名古屋のFM局ZIP-FMのナビゲーターやB.leagueシーホース三河のホームコートMCをされているコバタクさんがZoomを使ってインタビューし、ライブ配信した。

アルバムが6曲入りだったので6分割のレイアウトで。
アルバムのタイトル「samsara」は「輪廻転生」という意味で、このアルバムのテーマにもなっていたので、全体を円形に配置すればもっと直感的に感じられるものになったかもしれないが、描き直す気力もなく断念・・・下調べは重要である。
また、Twitterのタイムラインでは下側がカットされているので正方形のキャンバスがいいようにも思えるが、上下に画像が配置される場合は横長になるのでこれは場合による。

見た人に期待するアクションとしては、バンドに興味を持ってもらう、アーカイブを視聴する、CDを購入する、といったところか。
フォロワー数の少ない自分のタイムラインに載せただけなので、効果の確認もできないが・・・

ちなみに、ライブ配信では全曲解説の間にトークもあったが、レイアウトのおさまりが悪く別にまとめてしまった。iPadの画面で描いていると、全体の流れを意識して描くことが難しくなっているように感じる。

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最近描いたもの②

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こちらも同じくKream x コバタクさんのライブ配信第2回目。
複数枚になることを想定して横描きで。実際には3枚になったので、Twitterでのおさまりを良くするため、一部を切り取り拡大して4枚添付している。(3枚の場合、左側に1枚・右側に上下2枚になる。)
しかし4枚添付するとかなり小さくなり、クリックしなければ内容がわからないものになってしまった。添付は1枚にしたほうがインパクトがあり、目を引きやすい。イベントの特徴的な部分を切り出して見せて、全体は別ツイートやリンクで見せるのがいいのかもしれない。もしくは、Twitterではよく見かける縦に長いマンガのように、画像を縦につないで冒頭だけが見えるようにしても面白そう。

描き方の特徴

こういったオンライン・イベントでは視覚情報がほとんどスピーカーの顔だけになってしまうため、「似顔絵+ふきだし」の生首だらけのグラフィックになったり、テキストだらけにならないようにしたい。とくに生首グラフィックは絵から得られる情報が「誰が話したか?」しかなく、せっかく絵を描いてもその効果は少ない。できるだけ動作・情景が伝わる絵を描くようにしている。想像力・絵の引き出しは重要。

また、見てもらう対象をその場の参加者に想定していないため、リアルタイム性には拘らず、パッと見た人が興味を引くように意識して描いている。
トークテーマごとに明確に枠を分けたり、塗りを多用して絵の印象を強くしている。部分の切り取りもやりやすくしたい。
ちなみにリアルタイムではかなりラフに描いている。

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この時の配信が終わったのが22:30で、仕上げが終わったのが3:00頃。ちょっと時間がかかりすぎか。このあたりはいろいろな描き方を試して探っていきたい。
実際には主催者がイベント後どのぐらいでグラフィック・レコーディングをリリースしたいかによるかも。オンライン・イベントであれば、イベント終了後すぐではなく翌日リリースでもいいような気もするが。

それにしても、後からレイアウト変えたり大きさ変えたり描き直せるのはホント楽だ。

これからやりたいこと

模造紙にしろデジタルにしろ、目的に対してどのぐらいの効果があったのかを考えて描いていきたい。とは言え、そういうことを考えるのは好きだけどあまり得意ではないので、どこかに金森氏(@映像研)みたいな人はいないだろうか?最強の世界をつくりてぇ。(間違っても「グラレコで沢山の人を笑顔にしたい」などとは思っていない。)

おまけ

Kreamの曲でも聴いておくれ。


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