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1000点は6でも7でも割り切れない

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、高いパフォーマンスを実現するための「証明された」リーダーシップと経営の実践的な方法(プラクティス)を示したものです。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、「核となる価値観と概念」「質問集(MB賞審査基準、評価基準)」「評価の仕組み」の3つで構成されています。

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークを、米国マルコ・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)の審査基準として使う場合には、質問集の回答を評価して、プロセスおよび結果のカテゴリーごとに点数をつけて、その合計点をその組織の評点として、他の組織と比較します。

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークを、パフォーマンスエクセレンスに向けた自己評価として使う場合には、その点数で組織の「成熟度」を評価し、改善を進めて、組織の成熟度の向上を目指します。

 パフォーマンス・エクセレンス・フレームワークは、全体で1,000点です。
 1,000点はプロセスのカテゴリーの数(6)や、結果も含めたカテゴリーの数(7)では割り切れません。各カテゴリーに均等に点数を割り振ることはできません。

 パフォーマンス・エクセレンス・フレームワークは、7つのカテゴリーに次のように点数を配分しています。

ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク 2019-2020 より
<プロセス>
1.リーダーシップ            120点
2.戦略                  85点
3.顧客                  85点
4.測定、分析、ナレッジマネジメント    90点
5.働き手                 85点
6.オペレーション             85点

<結果>
7.結果                 450点
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
                   1,000点

 6つのプロセスの中で、特にリーダーシップに他のプロセスと比べて大きな得点が配分されています。
 これは、経営のパフォーマンスの向上には、経営幹部のリーダーシップが特に重要な役割を担っていることを示しています。

 ただ、これはこの20年ほどの話です。実際この配点になったのは、1999年の改訂からです。それ以前は、リーダーシップが確かに一番大きな配点ではあったものの、働き手(当時は「人材の開発と管理」)とオペレーション(当時は「プロセス管理」)にも比較的大きな点数が配分されていました。

 以下、参考です。

1997年ボルドリッジ賞審査基準(1997 Award Criteria)より
<プロセス>
1.リーダーシップ            110点
2.戦略計画                80点
3.顧客と市場の重視            80点
4.情報と分析               80点
5.人材の開発と管理           100点
6.プロセス管理             100点

<結果>
7.事業の結果              450点
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
                   1,000点

 配点のもうひとつの特徴は、プロセスだけでなく、結果にも相当の450点という点数が配分されていることです。これは、20年前も変わりません。

 プロセスがどんなに良く(見え)ても、結果が伴わなければ、全体としては良いと評価されない、ということです。

 ただこれは逆から見れば、結果が良いだけでは、すなわち、どれだけ高い売上、利益を上げていても、それだけでは評価されない、ということも意味しています。

 システム的視点先見の明のあるリーダーシップ事実に基づく経営などの核となる価値観と概念が、評点の仕組みにも埋め込まれていることがわかります。

★★★

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国政府機関NISTのウェブサイトからダウンロードできます。
 下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。

注記:
 タイトル図は Baldrige Excellence Framework 2019-2020, BPEP より引用。翻訳と黄色の囲みは筆者。

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