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変化し続けられる組織として荒波を超えていく-Goodpatch Anywhere事業責任者インタビュー

国内外から140名が集まるフルリモートデザインチームが見つめるこれからの組織のあり方(2)

2018年に組織を立ち上げてから1年半あまり、メンバー全員がフルリモートで事業に取り組んできたGoodpatch Anywhere。その総指揮をとる事業責任者 齋藤恵太のインタビューを2回に渡りお届けします。

後半は、リモートワークを取り入れるメリットや組織として学ぶことが重要な理由、不確実性(VUCA)の時代における労使関係など、アフターコロナの社会で組織が生き残るために必要な視点を組織経営者の目線から語ってもらいました。

ミーハー力を備えた組織として成長したい

Anywhereは圧倒的な実験組織だと思っています。新しいサービスが出てきた時にどんどん取り入れて試してみる速度についてはどこにも負けないという自負があります。新しい技術が出てきた時にみんなで面白がって試せるかという態度は非常に大事なんです。

「どうしたらこのツールを一番面白く使えるだろう」「このツールで遊ぶとしたらどうしよう」ということを大真面目に考えて、どんどん試していくところにAnywhereの強みがあります。そういうことを組織として試せる場って実はかなり少ないと思っています。

今の時点でのAnywhereのやり方を全てコピーされたとしても、新しいツールが出てきた時に僕らはそれを一番うまく取り入れられるだろうし、使いこなせるという自信があるので、Anywhereのノウハウを全部表に出せるんです。もっともっと新しいことにトライしていきたいですね。

組織的ミーハー力を持って、Anywhereのメンバー全員で一番楽しい場所を自分たちの手で作るんだという意思で進んでいきたいです。

リモートワークは最良の実験場

僕は決して「社会全体がリモートワークをやるべきだ!」とは思っていません。ただ、リモートワークをやることによって、今まで甘えていた部分などがはっきりと見えてきたり、組織系のの実験をしやすくなったりします。リモートワークをきっかけに試行錯誤をする事で、自分の会社織がどういう組織なのかということをきちんと見直すことが大切なのです。

リモートワークの環境は実験がしやすいメリットがあります。例えば、雑談が大事だということも、リモートワークになり実際に雑談が減ることによって改めて気づくことです。オフィスだと雑談と会議のコミュニケーションについて考えてみたくても、雑談の部分を完全にゼロにしてみる実験なんてそうそうできないですよね。ですが、リモートワークだとスイッチを切るだけで、雑談ができない環境を作ることができます。それによって、自分の組織での雑談が担っていた機能をチェックすることができるのです。

また、リモートワークだとマネージャーがメンバーを評価しづらいという声もよく上がります。これは極論ですが、全員ずっとオンラインミーティングに接続することを強制して、作業の様子を全部録画したり、パソコンのログを全部取っておくことも技術的には可能です。究極のマイクロマネジメントですね。

ですが実際は、「ここだけは押さえておくけど、あとは自由にやってね」と線引きをした方が、メンバーのパフォーマンスは上がります。評価もコミュニケーションの一種。これまでマイクロマネジメントで通してきた組織も、それがもうできないということをまずは受け入れることからやってみる。その上で、部下を信頼して任せることができないなら、今までもじつは部下を信頼できていなかったということになります。それは一つの取り組まなきゃいけない課題ですよね。自分がきちんと相手を信頼する力を持てているのか、マネジメント側もこれまでのやり方を見直すことが一番大事なことです。

「対面で会っているからちゃんと評価できていると思い込んでいるだけではないか」「今まであやふやにしてごまかしてきた部分がないか」、組織として当たり前になっていることを一度疑って再構築することがリモートワークを通じてできるのではないかと感じます。

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変化し続けられなければ、先はない

つまるところ、今立っている場所が本当に永続的なものなのかということを疑えるかどうかが重要なのです。誰もがCOVID-19でこんなにも経済が悪くなるとは思わなかった。しかし、グローバル化が進んだ経済の中ではこういうカタストロフが起こるリスクはずっとあったし、それこそブラックスワンと言われて今までさんざん警鐘が鳴らされていました。それに対して、想像力を持って世の中を見て、自分で勉強していないと、今の状況をきちんと受け入れることはできないのではないでしょうか。

現代はVUCAの時代で、今後ますます不確実性が高まっていく中で、変化を許容し続けられる組織にならなければならないと強く感じます。どういう状態に変化するかではなく、そもそも変化し続けなければ倒れてしまうと思えるかどうかです。新陳代謝の速度や組織の回転数が全体の勢いになっていくと思いますね。変化して一つの最適解を得るのではなく、変化し続けられる体質になること自体を目的にできる組織しか生き残っていけないと思います

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パラレルキャリア時代のメリットと厳しさ

不確実性の時代において、パラレルキャリアという生き方も進んでいくと思います。一つの会社だけに依存していけるのはちょっとリスク高すぎる。別の環境でもきちんと生きられると自信を持っておくことだけでもだいぶ違うし、2つの環境にまたがることで学びが倍になり、さらに多くの経験を積むことができます。

僕は過去のプロジェクトを手がけている時に、3年ほどクライアントのオフィスに通い詰めていました。その時にGoodpatchの組織とクライアントの組織、両方に深くコミットしたことが、会社に属する社員という経験値を2倍で得ることができ、今につながっています。自個々の能力を高めるという観点において複数の組織を知るということはとても大事なことだと思います。

パフォーマンスの高い組織の特徴として言われていることの一つに、メンバーが色んなネットワークを外に対して持ってることというのがあります。自分の組織の外にネットワークを持ってるメンバーが集まっていることが僕の中でのひとつの組織の理想系です。

そうなってくると、労使関係にも自ずと変化が生じます。会社側の「みんな辞めないだろう」、社員側の「暫くはクビにならないだろう」という、いわば双方の「甘え」が通用しなくなる。個人としては自分が何者であるかをきちんと言えるように、会社としては選ばれるような組織であり続けなければいけないというのを、Anywhereを運営して、より強く思うようになりました。

組織全体の学びの量が成功確率を押し上げていく

そのために、組織の学びの量を増やす施策を積極的に行っています。「組織として積み上げる学びの量=事業の成功確率」だと考え、Anywhereの設立当初から学ぶことを重要視してきました。

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「学びの量=成長確率」という話は、プロジェクトのキックオフで説明すると多くの人に刺さっている手応えがあります。「このままだと20年後、うちの会社はなくなっているんじゃないか」「10年後にも会社が生き残るためにはどうすればいいのか」ということを普段から考えている人というのは、「学びの量=成長確率」ということを自分ごととして捉えることができるのではないでしょうか。今のスタイルのままでやり通したいと思った時点で成長もできないし、そのプロジェクトもきっとうまくいかないと思っています。

ですが、「学べ」とただ言っても人は動かせません。そこにはある種の経済合理性を考えていかなければならないと思っています。学ぶことによって自分がベネフィットを得られるんだという実感が必要です。

とはいえ、Anywhereも今はまだ、学びの量を増やすために誰かが薪をくべなくてはいけない状態です。薪をくべ続けなくてはいけないということは誰かが消耗してるということです。その状態を長く続けていると、頑張ってる人から潰れてしまう。全員が少しずつ推進力を持って、勝手に船が進んでいる状態に早くたどり着きたいと思っています。学びの蓄積が勝手に増える状態というのは必ず実現できるはずなのです。

例えばそれは、社内の勉強会のシステムを充実させることであったり、そもそも案件の数をもっと増やしてプロジェクトに関わる人を増やしていくことであったり。まだまだやれていないことはたくさんあります。その試行錯誤の過程も、全てが学びだと思っています。

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面白い会社になれば、面白い案件が集まってくる。面白い案件が集まると面白い人たちが集まる。その循環に乗って業界の先端に存在していたいと思っています。

そのために、組織としての循環をもっと良くしていきたいし、デザイン業界自体をもっと大きくするような活動をしないといけない。産業自体の活性化やデザイン人口の増大といった大きな視点でも物事をみながら、組織運営の施策を打っていきたいです。

Anywhereではお仕事のご相談を常時受け付けております。
プロジェクトの開始〜進行まで、全てオンライン上で遂行できるノウハウを蓄積しています。また、リモートワーク導入支援も行っております。
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