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コロナ禍における、企業の障害者雇用状況に関するアンケート

こんにちは。ゼネラルパートナーズです。

今回は、「コロナ禍における、企業の障害者雇用状況に関するアンケート」の結果についてお届けします。

新型コロナウイルスが発生し、昨年4月に全国各地で緊急事態宣言が発出されました。そして年が明け、1月7日に2回目の緊急事態宣言、4月25日には、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に3回目となる「緊急事態宣言」が発出され、なお予断を許さない状況が続いています。

この間、企業における障害者雇用状況にもなにがしかの変化がみられたことと思います。そこで、障がい者総合研究所では、コロナ禍における企業の障害者雇用状況がどうなっているのかを知るべくアンケートを実施しました。

■調査回答者の属性
対象者:総研の企業モニター登録者、並びにゼネラルパートナーズ法人営業顧客
実施方法:インターネット調査
アンケート期間:2021/2/12~2021/2/18(有効回答者数:32社)

【質問1】今年度(2020年)6月1日時点の御社の実雇用率を教えて下さい。

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<1,000人以上>
 2.4%以上        3社(27%)
 2.2%以上〜2.4%未満  3社(27%)
 2.0%以上〜2.2%未満  1社(9%)
 1.8%以上〜2.0%未満  2社(18%)
 1.6%以上〜1.8%未満  1社(9%)
 1.0%以上〜1.6%未満  0社(0%)
       1.0%未満  0社(0%)
 1わからない      1社(9%)

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<1,000人未満> 
 2.4%以上        2社(9%)
 2.2%以上〜2.4%未満  2社(9%)
 2.0%以上〜2.2%未満  4社(18%)
 1.8%以上〜2.0%未満  1社(5%)
 1.6%以上〜1.8%未満  1社(5%)
 1.0%以上〜1.6%未満  3社(14%)
 1.0%未満        8社(36%)
 非公開          1社(5%)

1,000人以上規模(以下大企業)では達成率は55%、1,000人未満希望(以下中小企業)では達成率は18%。

【質問2】今年度(2020年度)の御社の障害者雇用数は、年度初め(2020年4月)と比較してどう変化しましたか?                             

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<1000人以上>
雇用数は増えた     5社(45%)
雇用数に変化はなかった 3社(27%)
雇用数は減った     3社(27%)

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<1000人未満>
雇用数は増えた                    4社(18%)
雇用数に変化はなかった 13社(59%)
雇用数は減った       5社(23%)

大企業では2社に1社の割合で雇用が増えた。中小企業では増えた企業の割合は2割にとどまる。

【質問3】来年度(2021年度)の御社の障害者雇用計画はどのようになりそうですか?

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<1,000人以上>
 雇用は増やす予定    4社 (36%)
 雇用数は維持する予定  7社 (64%)
 雇用は減らす予定    0社 (0%)

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<1,000人未満>
 雇用は増やす予定    9社(41%)
 雇用数は維持する予定  7社(32%)
 雇用は減らす予定    2社(9%)
 未定          4社(18%)

来年度障害者雇用計画で「雇用を減らす」と答えた大企業は0。来年度障害者雇用計画で減らす、あるいは未定と答えた中小企業の割合は27%。4社に1社で障害者雇用へのためらいがみられる。

【質問4】2021年3月1日に法定雇用率が2.3%に引き上げられます。来年度(2021年4月~2022年3月末)御社の法定雇用率はどのようになりそうですか?

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<1,000人以上>
 現時点で法定雇用率2.3%は、すでに達成している 5社(46%)
 2021年度中に達成する見込み          3社(27%)
 2021年度中の達成は難しい見込み           3社(27%)

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<1,000人未満>
 現時点で法定雇用率2.3%は、すでに達成している 5社(23%)
 2021年度中に達成する見込み          8社(36%)
 2021年度中の達成は難しい見込み        9社(41%)

現時点で法定雇用率2.3%を達成している企業割合は大企業で46%、中小23%とダブルスコア。
大企業は来年度中に達成と回答した企業の割合は72%超。中小企業では来年度の達成が難しいと答えた企業の割合は40%


【質問5】2021年6月1日時点での御社の雇用率の目標を教えて下さい。

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<1,000人以上>
 2.4%以上   4社(36%)
 2.3%      5社(46%)
 2.2%      1社(9%)
 2.0%以下    1社(9%)

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<1,000人未満>
 2.4%以上      5社(23%)
 2.3%              6社(27%)
 2.2%         0社(0%)
 2.1%         2社(9%)
 2.0%以下       5社(23%)
 特に定めていない 4社(18%)

6月1日時点の雇用率目標を法定以上に定めている企業の割合は、大企業で80%超、中小企業で50%。およそ2割の中小企業では、障害者採用について計画を定めていない。

【質問6】障害者雇用率制度(法定雇用率以上の割合で障がい者を雇用する義務を課す制度)について、どのような印象をお持ちですか。 ※ご回答者様の個人としてのご意見で結構です。

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<1,000人以上>
 とても良い制度だと思う      1社(9%)
 まあまあ良い制度だと思う        9社(82%)
 あまり良い制度だとは思わない   1社(9%)

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<1,000人未満>
 とても良い制度だと思う       6社 (27%)
 まあまあ良い制度だと思う      12社(55%)
 あまり良い制度だとは思わない  3社 (14%)
 まったく良い制度だとは思わない 1社 (5%)

障害者雇用率制度を評価しない割合は、中小企業のほうが多く、大企業の倍以上。


【質問7】前問の理由を教えて下さい。


建設業 <1,000人以上>
障がい者にも雇用の機会を広げられるため

製造業 <1,000人以上>
現状の課題は障がい者の雇用を確保することにあると理解しています。そのためには現行の法律達成に向け企業側が実施していくことで解決できます。雇用に関する課題が解決した後は、定着の問題等に意識が変わって行くと考えられますので、可能な限りそういった先を見た対応も必要と考えます。

サービス業(他に分類されないもの)<1,000人以上>
D&I推進の一助となっていると感じられるため。

建設業 <1,000人未満>
雇用人数を充足しているため。

製造業<1,000人未満>
就業が難しい方を社会全体で支えるのは良い考え方。ただ、まだ漏れる方がいるような気がします。

情報通信業<1,000人以上>
業態業種によって障害者への業務切出しにかなりの格差がある。また、高齢者雇用による業務確保やも業務自動化・ソフトロボットの活用といった人業務の削減もあり、障害者雇用制度はかなり厳しい状況にある

卸売業,小売業<1,000人未満>
明確な数値目標を掲げることで、企業側は何等かの形で達成しようと努力する点はよい。一方で、この変化が激しい時代、ビジネスイベントでどうしても雇用に取り組めないタイミングもある。現在の制度は雇用率については周知されているが、その時点で達成できなかった後のプロセスの認知が十分とは言えない気がする。
また、今年度についてはコロナの影響で行政からの未達成企業への指導は通常の時期より1.5~2カ月遅かったにもかかわらず企業の達成タイミングは変更されなかったので、企業としてはその点は厳しかった。数年前の国による虚偽の雇用率の申告もあった。数値目標を負うことで民間が頑張る活力になるかとは思うが、数値だけでなく質的な面(多様性の中での障がい者雇用の在り方)も国には身を正した上で明確に伝えて頂きたい。

建設業<1,000人未満>
雇用人数だけに縛りをつけているため。報告人数だけで雇用実態調査もなければ、本来の精神保健福祉法の概念とかけ離れる実態になる可能性がある。
必要なのは雇用人数ではなく、ひとりひとりができる「仕事」を確保することではないだろうか。
今の雇用率制度を継続すれば、就業できる層は限らたものになり、就業できない層は今後も一生家族を中心に「お世話」されるだけの存在となり、自分の存在は社会のお荷物と認識されかねない。

複合サービス事業 <1,000人以上>
ダイバーシティーが進む昨今において、まだまだ障害者の採用に関しては、制度などがないと就職できにくい環境なので、現時点では良い制度だと思うが、将来的には制度関係なく障害者が就職できる環境が整うとよいと思う。

卸売業,小売業 <1,000人以上>
大企業は雇用義務ありで良いと思うが、中小企業にとっては相応の負担となり、また雇用に対しての理解や社員の理解をえることが難しいと思われる。

サービス業(他に分類されないもの)<1,000人未満>
本来、このような法律が無くても障がい者が働ける社会になることが理想と思います。現状を考えると法律での規制もやむを得ないかと思います。

金融業,保険業<1,000人未満>
障害の内容によっては業務が限られることを考えると、定例業務の削減(又はアウトソース)やRPA化等を進めている金融業の当社としては、上昇し続ける雇用率の為に採用活動している現状が否めません。企業が職業訓練所の延長線上に位置する訳にもいきませんので、上昇対象は、例えば製造業等に特化するなど、業種によって濃淡をつけて頂きたいと思います。

情報通信業 <1,000人未満>
ダイバーシティ推進

金融業,保険業 <1,000人以上>
日本企業(人)は、外圧で動くので、このようなしばりがあることで雇用が進んでいる面があり結果としては悪いことではないと思っている。ただ、今後柔軟な働き方が進んでいく中で、規定の雇用時間でポイント換算する現制度のままだと、真の意味で、障がい者にとって働きやすい環境整備を進めていくこととは反してしまう気がしている。制度も、環境にあわせ見直しが必要かもしれないと思っている。

サービス業(他に分類されないもの) <1,000人以上>
とりあえずここから始めないことには・・・といった意味合いでは必要な制度かと思います。

建設業 <1,000人以上>
ダイバーシティ施策は非上場企業ですとなおざりにされる傾向がありますので、法令での義務付けは一種の原動力になると思います。ただし、調整金・納付金の制度はあまり有効性を感じておりません。
また、障がい者の方の心証も複雑なところがあるのではないかと感じております。"

卸売業,小売業 <1,000人未満>
義務付けられない限り、そういった方々を雇用する企業は限られてしまうと思うので。

卸売業,小売業 <1,000人以上>
一つの目標になる。

情報通信業 <1,000人以上>
米国式のほうが良いと思う。

卸売業,小売業<1,000人未満>
障害者雇用の促進のためには良いとは思うが、業務内容が限定される企業にとっては、現実的な採用は厳しいと思われる。


【質問8】これまでに精神障害者(発達障害者を含む)の雇用実績はありますか。

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<1,000人以上>
 ある 9社(82%)
 ない 2社(18%)

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<1,000人未満>
 ある 17社(77%)
 ない 5社(23%)

精神障害者雇用については大企業、中小企業とも雇用実績が75%以上。


【質問9】今後精神障害者(発達障害者を含む)を雇用する予定はありますか。


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<1,000人以上>
 ある 11社(100%)
 ない   0社(0%)

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<1,000人未満>
 ある 16社(73%)
 ない  6社  (27%)

精神障害者の雇用については大企業は全企業で雇用予定があると回答。一方中小企業では27%で雇用予定はないと回答。


【まとめ】


[1]幅広い業種から回答をいただいている。

[2]1,000人以上規模(以下大企業)では達成率は55%、1,000人未満希望(以下中小企業)では達成率は18%

[3]大企業では2社に1社の割合でこの1年で雇用が増えた。中小企業では増えた企業の割合は2割にとどまる中小企業では増えた企業の割合は2割にとどまる

[4]来年度障害者雇用計画で「雇用を減らす」と答えた大企業は0だった一方、来年度障害者雇用計画で減らす、あるいは未定と答えた中所企業の割合は27%。原因までは不明だが4社に1社で障害者雇用へのためらいがみられる。(コロナのせいか、景気のせいなのかどうかまでは言えない)

[5]現時点で法定雇用率2.3%を達成している企業割合は大企業で46%、中小23%とダブルスコアの差がついた。
また、大企業は来年度中に達成と回答した企業の割合は72%超。中小企業では来年度の達成が難しいと答えた企業の割合は40%。法定雇用率達成へのコミットは大企業のほうが強い

[6]6月1日時点の雇用率目標を法定以上に定めている企業の割合は、大企業で80%超、中小企業で50%。
どちらの規模でも「2.3%」と回答した企業が一番多く、法律遵守の観点で採用計画を進める傾向が読み取れる。どちらの規模でも「2.3%」と回答した企業が一番多く、法律遵守の観点で採用計画を進める傾向が読み取れる。 およそ2割の中小企業では、障害者採用について計画を定めていない。およそ2割の中小企業では、障害者採用について計画を定めていない。

[7]障害者雇用率制度を評価しない割合は、中小企業のほうが多く、大企業の倍以上。

[8]精神障害者雇用については大企業、中小企業とも雇用実績が75%以上。しかし、精神障害者の雇用について、大企業は持続的に雇用することを見て取れるものの、中小企業ではおよそ4社に1社(27%)では雇用予定はないと回答。精神障害者の雇用は着実に社会に認知されていると思われるが、まだ中小企業の一部では雇用にためらいがみられる。







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