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給与への満足度に関するアンケート調査 (2022)

こんにちは。ゼネラルパートナーズです。

今回は、「給与への満足度に関するアンケート調査(2022)」をお届けします。

2014年12月にも障がい者総合研究所で同様のアンケートを実施しましたが、あれから7年余が経過しました。そこで、障害者の『給与』に関して何か変化はあったのか実態把握のためのアンケートを実施しました。
※前回調査の結果はこちら

対象者:20~70代の就業経験者
実施方法:インターネット調査
アンケート期間:2022/5/25~2022/5/31(有効回答者数:147名)

【質問1】あなたの現在の状況を教えてください

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【質問2】現職または離職前の雇用形態を教えて下さい

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■身体障害

質問2身体

■精神障害

質問2精神

【質問3】現職または離職前の、年収はいくらですか?

質問3

■身体障害、精神障害、それぞれの割合

質問3ー1

【質問4】現職または離職前の給与への、満足度について教えてください

質問5

■身体障害

質問5身体

■精神障害

質問5精神

【質問4-1】現職または離職前の給与に、満足している理由は何でしょうか?(とても満足している、まあまあ満足していると回答した56人の複数回答の結果)

質問5-1

【質問4-2】現職または離職前の給与に、満足していない理由は何でしょうか?(あまり満足していない、全く満足していないと回答した91人の複数回答の結果)

質問5-2

【質問5】満足できる年収額はいくらですか?

質問6

■総研の見解

今回の調査では「現職中」と回答した割合が86%と、8年前の調査(以下、前回)と比較して25ポイント増えました。

雇用形態の内訳を見ると、身体障害者では正社員の割合は51.5%、一方、精神障害者では正社員の割合は24.6%と、身体障害者の回答の半分以下という結果でした。ただし前回は、身体障害者の正社員割合が36%、精神障害者の正社員割合は15%でしたので、どちらも正社員の割合は増えているようです。

次に「年収」に関する回答を見ていきます。

障害者全体で給与収入を見ると、年収200~299万円が最多、次いで年収300~399万円となりました。障害別で見た場合、身体障害者で最も多い給与年収は200~299万円で、精神障害者では最も多い給与年収は100~199万円という結果になりました。

この結果は先ほどの雇用形態とも併せて見る必要があります。たとえば、身体障害者における時給制(契約社員、パート社員)の雇用割合は10.6%ですが、精神障害者では35.6%と3倍以上となります。また、時給制で働く障害者のうち78.9%が年収199万円未満であり、精神障害者のなかでも時給制で働く方の多さがこうした結果に反映されているとも言えるでしょう。

障害別で見た場合の年収格差は大きいのですが、前回と比較してみると、身体障害者、精神障害者いずれも年収レンジは引きあがっているようです。
 
■障害別
給与年収                 前回(2014年)   今回(2022年)
身体障害      
99万円以下           7%       →    4%
100~199万円以下       19%        →           13.3%
200~299万円以下        28%               →           29.3%
300~399万円以下        22%               →           21.3%
400~499万円以下        10%               →           12.0%
500万円以上                  14%               →           20.0%

精神障害
99万円以下                    22%              →            7.4%
100~199万円以下         31%             →            30.9%
200~299万円以下         23%             →            25.0%
300~399万円以下         10%              →           26.5%
400~499万円以下          7%               →            7.4%
500万円以上                    7%       →            2.9%

こうしてみると、身体障害、精神障害いずれも年収99万円以下の割合が前回と比べて半減しており、身体障害では年収500万円以上の割合が、そして精神障害者では年収300~399万円の割合が大きく伸びていることが分かります。身体障害、精神障害の間での賃金格差は依然ありつつも、精神障害者の年収レンジも身体障害者の年収レンジも連れだって引きあがった、と見ることもできそうです。

給与の満足度について見てみます。

障害者全体では給与に「満足している」と回答した割合は38.1%でした。
その理由を見ると「仕事に対する正当な評価だと感じるから」や「労働時間に見合っているから」など、自己の仕事内容に対して適正(な年収)であるとのとらえ方がされているようでした。

一方、「満足していない」と答えた61.9%のうち、およそ2人に1人が

「希望の生活水準に足りていないから」
「同年代や一般的な水準と比較して低いから」
「今後の年収アップが期待できないから」

と感じており、生活水準に年収が追いついていない状況が見て取れます。

また、同年代の水準に達していない、今後の年収アップが期待できないといった社内間格差や昇給・昇格の制限ともいえる状況にある層も一定程度いることが分かります。

障害別では身体障害者で給与に「満足している」と回答した割合は45.3%、精神障害者では29.4%となり、精神障害者のほうが年収に対する不満を抱えていることが分かりました。

「満足できる年収額」という質問では、8割以上の方が「年収300万円以上」と回答しました。また、最も多い回答は「300~399万円以下」であり、おおよそ3人に1人が年収300万円台になることを希望しているようです。

障害別で見ると、身体障害者で給与年収が300万円台以上の割合は53.3%、精神障害者では42.9%であるため、希望年収300万円台に届くためにはなお課題、特に精神障害者で希望と実態の解離が大きいと思われます。

まとめ


今回の調査により、障害者の給与年収は8年前の前回調査から確実に引き上がっていることが分かりました。興味深い点として、精神障害者の中で年収300万円台以上の割合が前回調査時(24%)からおよそ19ポイント(42.9%)も増えたことが挙げられます。

精神障害者の正社員割合が増えたことも影響しているかもしれませんし、障害理解が進んだことで精神障害者の職域や働き方が広がったことも影響しているかもしれません。この辺りはさらなる調査が待たれるところです。

一方で給与の満足度については、障害者の6割以上が低いという回答になりました。また、身体障害者と精神障害者との年収格差は引き続き存在していることも分かりました。

一般的な給与水準と比して障害者の給与年収はまだ低いということ、そして障害者間で依然給与格差があること、それぞれの格差解消が引き続きの課題となりそうです。

コロナ禍で一時的に障害者の就職件数が下がりましたが、直近の厚労省の報告では前年の就職件数を7%近く上回る回復傾向にあります。
このように障害者の社会参加は増えており、それに伴い受け入れる側の企業も障害者雇用や合理的配慮に対する意識が着実に高まってきています。今後もこうした傾向は変わらないでしょう。

次回調査時には、今よりも障害者の労働環境がよくなっていることを願ってやみません。本調査が、障害者の皆さんの働き方や幸せな人生のあり方について考えるうえで少しでもお役に立てば幸いです。

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【属性情報】

■年代

年代

■性別

性別

■障害種別

障害者手帳種別

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■プロフィール
障がい者総合研究所 所長:戸田 重央

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2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと(現atGPジョブトレ大手町聴覚障害コース)※」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。※聴覚障害者専門の就労移行支援事業所「atGPジョブトレ大手町聴覚障害コース」


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