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防災に関するアンケート調査

こんにちは。ゼネラルパートナーズです。

今回は、「防災に関するアンケート調査」の結果についてお届けします。

近年、毎年のように全国各地で自然災害が頻発し、甚大な被害が発生しています。最近の例では令和元年9月に発生した台風15号、同年10月の台風19号、そして今年7月の熊本県を中心に発生した集中豪雨などが記憶に新しいところでしょう。

そこで障がい者総合研究所では、障害のある方が普段から災害の備えについてどのような準備をなさっているのか、また災害に対してどのような不安や心配を感じていらっしゃるのか、その現状を把握するためにアンケートを実施いたしました。

今回のアンケート調査は株式会社メジャメンツ様との合同アンケート調査となります。アンケート結果につきましては、障がい者総合研究所、並びに株式会社メジャメンツ様それぞれのWebサイトにて公表されます。

対象者:障がい者総合研究所アンケートモニター(回答者属性は巻末をご覧ください)
実施方法:インターネット調査
アンケート期間:2020/8/25~2020/8/31(有効回答者数:139名)


【質問1】最も備えが必要だと思う災害はなんですか?

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【質問2】あなた、またはあなたの同居のご家族が防災対策として実施していることを教えてください。(あてはまるものすべて)

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その他:いつも飲んでる薬とおくすり手帳、ペットの安全確保など


【質問3】あなた、またはあなたの同居のご家族が防災対策として実施していることで、あなたの障害に関係して備えていることはありますか?

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【質問4】質問3で「ある」と回答された方にお聞きします。備えている内容をご記入ください。

(自由回答欄より一部抜粋)
・病院から貰った透析データを携帯している・近隣の透析施設一覧表を携帯している。(女性 40代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))
・補聴器電池。(女性 50代 聴覚障害)
・避難所に行けないので車が必須になる。ガソリンを満タンにしている。 (女性 50代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))
・薬の準備。明るさの確保のため多めの懐中電灯準備。(男性 40代 視覚障害)
・予備の杖を用意している。(女性 50代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))


【質問5】今後、防災対策として実施したいと考えていることを教えてください。(あてはまるものすべて)

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その他(自由回答欄より一部抜粋)
・持病の薬を一か月分ほど備蓄。(女性 30代 精神障害)
・実際の訓練への参加。(男性 20代 発達障害)
・新コロナの感染、インフルエンザへの準備と覚悟。(男性 60代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))
・避難場所での情報収集方法の確認。(男性 60代 聴覚障害)


【質問6】今後、災害が発生した場合に避難する際、あなたの障害に起因する支障はあると思いますか?

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【質問7】質問6で「あると思う」と回答された方にお聞きします。どのような支障があると思いますか?

(自由回答欄より一部抜粋)
・逃げるための足が不自由なので本当に大丈夫なのか。(男性 40代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外) )
・いつまでも病院に通えなかったら診察してもらえず薬の処方もしてもらえない。(女性 30代 精神障害 )
・外見だけでは、特に障害あるようには見えないので、周りの理解が得られない可能性なある。(男性 50代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外) )
・避難と合わせて透析施設を探す必要がある。(女性 40代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))
・正確な情報が得られないこと。筆談や手話でないと不安。(女性 60代 聴覚障害 )
・免疫抑制剤の家庭内在庫、透析施設の被災(男性 50代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))
・"体温調整ができない。(女性 40代 その他 (高次脳機能障害))
・視覚による情報が入って来るのか心配。(男性 60代 聴覚障害)


【質問8】今後、災害が発生し避難所で過ごすことを想定した場合、あなたの障害に起因する支障はあると思いますか?

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【質問9】質問8で「あると思う」と回答された方にお聞きします。どのような支障があると思いますか?

(自由回答欄より一部抜粋)
・トイレや車椅子での居場所。(男性 60代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))
・免疫が低いので感染症の危険。(男性 50代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))
・装具を付けているので土足で入りたいが、たぶん無理だと思う。(男性 40代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外) )
・避難所などでの集団生活のストレス、医療機関への定期的な受診の困難。(女性 40代 精神障害 )
・避難先での薬の調達。不安症状の悪化。(男性 40代 精神障害)
・補聴器の故障、紛失。(女性 50代 聴覚障害 )
・障害者用トイレの確保、電動ベッドがない場所には避難できない。冬は温度管理が出来る場所が必要。(女性 40代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))


【質問10】災害時に周囲や自治体の方に支援してほしいことはありますか?

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【質問11】質問10で「ある」と回答された方にお聞きします。どのような支援をしてほしいと思いますか?

(自由回答欄より一部抜粋)
・しゃがむことができないので、それについての配慮(居場所、トイレなど)。(女性 50代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外) )
・障害者への連絡と移動の介助。(男性 60代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外))
・保健師さんによる体調確認やプライバシーが確保された避難所スペース。(女性 40代 発達障害 )
・既往症の薬が不足する前に薬の確保をしてほしい。(男性 30代 発達障害 )
・"透析施設への搬送透析施設の近くの避難所に入れるように配慮して欲しい。(女性 40代 身体障害(視覚障害・聴覚障害以外) )
・障害に起因するストレスへの対応・ヒアリングやカウンセリング、医療機関受診の援助。(女性 40代 精神障害 )
・常備薬の処方。(男性 60代 精神障害 )
・筆談や手話通訳者に居て欲しい。(女性 50代 聴覚障害 )
・聴覚障がい者に対しての視覚的対応など、障害を考慮した対応。(女性 60代 聴覚障害 )
・障害者がいるということを認識した上で相談窓口を作って欲しい。(女性 30代 精神障害 )


【まとめ】

[1]最も備えが必要だと思う災害として、「地震」と答える方が最も多く、全体の約74%であった。

[2]同居のご家族が防災対策として実施していることでは「飲料水の備蓄」と答える人が最も多く、ついで「食料の備蓄」、「非常用持ち出し袋の準備」、「地域のハザードマップの確認」、「避難場所・経路の確認」が続いた。

[3]防災対策として実施していることで障害に関係して備えていることが「ある」と答えた方は約14%であった。

具体的な備えとしては、
近隣の透析施設一覧表の携帯、補聴器電池、薬の準備などとなった。

[4]今後、防災対策として実施したいことでは「非常用持ち出し袋の準備」が最も多く、ついで「食料の備蓄」、「飲料水の備蓄」、「家具などの転倒・落下防止策」、「寝室に懐中電灯やスリッパ等を用意」が続いた。

[5]災害が発生し避難する際、障害に起因する支障が「ある」と答えた方は約49%、「ない」と答えた方は約27%となった。

具体的には「足が不自由なので無事に避難できるのか」、「避難期間中の薬の確保」、「筆談や手話などの情報保障」等があった。

[6]避難所ですごすことを想定した場合、障害に起因する支障が「ある」と答えた方は約58%、「ない」と答えた方は約18%であった。

具体的には「車いすでの居場所」、「免疫が低いので感染症の危険」、「避難先での薬の調達」、「障害者用トイレの確保」などがあった。

[7]災害時に周囲や自治体の方に支援してほしいことが「ある」と答えた方は約37%、「ない」と答えた方は約22%、「分からない」と応えた方は約41%と一番多かった。

具体的には「プライバシーが確保された避難所スペース」、「常備薬の処方体制」、「筆談 手話通訳者の手配」、「カウンセリング、医療機関受診の援助」などがあった。

【総研の見解】


今回は139名の方より回答をいただきました。アンケートにご協力いただいた皆様には改めて御礼申し上げます。

備えが必要だと思う災害として、およそ7割の方が「地震」と回答されました。中小企業庁の「中小企業白書(2019年)」によれば、国内での自然災害の発生件数が多い順に台風(57.1%)、地震(17.9%)、洪水(14.7%)となります。一方、被害額の割合でいくと地震(82.8%)、台風(14.1%)、洪水(3.3%)となります。被害の大きさという面で考えると、災害と聞いて「地震」を想起するのは自然なことかもしれません。

そして、防災対策として実施していることには、「飲料水の備蓄」、「食料の備蓄」、「非常用持ち出し袋の準備」、「地域のハザードマップの確認」、「避難場所・経路の確認」となりました。自宅避難、自宅外避難いずれも想定した対策を取られていることが分かりました。

しかし「自分の障害に関係して備えていること」では、防災対策として実施していることについて「ある」と答えた方は約14%となっており、「なし」と答えた方の約86%と比べ大きく下回りました。これは後述の質問「避難する際、あなたの障害に起因する支障があるか?」そして「避難所ですごす場合、あなたの障害に起因する支障はあると思いますか?」と併せてみる必要があるでしょう。前者の質問では、およそ半数(48.9%)の人が障害に起因する支障が「ある」と答え、後者の質問では6割近く(58.3%)の方が障害に起因する支障が「ある」と答えました。

それにもかかわらず「自身の障害に関係した備えが進んでいない」との回答が86%となっており、注目に値すると言えるでしょう。ここから読み取れることとして、災害に備え障害当事者自身が障害に応じて自助で賄えることには限界があるということ、そして避難に際しては他者の協力(援助・配慮)、そして自治体、行政側の支援(公助)が必要不可欠であるということが挙げられるでしょう。どのような援助、配慮が必要なのかについては個別性が高いため詳細はアンケート結果をご参照いただくとして、大まかには移動の支援、物資(特に処方箋)の支援、情報保障、避難所QOLの整備(障害者用トイレ)が挙げられます。

一方で「周囲や自治体の方に支援してほしいことはありますか?」という質問に対しては「ある」と答えた方は約37%いた一方で、「わからない」と答えた方が41%と一番多くなりました。他者からの支援の必要性は認識しているものの、こと公的支援についてはどこに、何を、どこまで要望していいのか、を個々人で具体化しづらいということが言えるのかもしれません。防災に対する意識は年々高まりを見せており、今回のアンケートにおいても自宅避難、自宅外避難の備えについて意識が根付いていることをうかがわせる結果となりました。

一方で自身の障害に関連する被災時の備えについては自助努力には限度があること、周囲の協力が必要なもののどこにどう働きかえればその整備が進むのか、当事者自身も困っている状況がアンケート回答からも見て取ることができました。被災時は誰もが困った状況にはおかれますが、こと障害者(高齢者なども)はより深刻化しやすい事情を抱えています。

アンケート回答で得られた、発災時の具体的な不安や困りごとは実に貴重な情報かと思います。これらの情報を広く社会に知ってもらい、今後の被災対策に役立ててもらえれば幸いです。

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【属性情報】

■性別 

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■年代

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■障害種別

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■属性詳細

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■これまでに実施した防災関連のアンケート

震災対策および防災に関する調査(2018年3月)



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