見出し画像

コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/10/24)

米ナイキ、CEO交代 14年ぶり、社外から

【記事の注目ポイント】スポーツ用品大手のナイキは22日、マーク・パーカー会長兼最高経営責任者(CEO)がCEO職を退き、後任に社外取締役のジョン・ドナホー氏が就く人事を発表したとのこと。ナイキのCEO交代は14年ぶり。ドナホー氏はイーベイCEOなどを経て、現在は米IT企業のCEOや米決済サービス大手ペイパルの会長を務める。ナイキの社外取締役に14年から就任している

【コメント】最近のトレンドとして、社外取締役からCEOに選ばれるケースが増えてきているように思う。典型例としては、経営再建中のGEのCEOにフラナリーから元ダナハーのCEOでGEの社外取締役を務めていたカルプが就任したような、緊急事態のCEO Successionのケースだ。そもそも、社外からいきなりCEOに就任して成功するケースは米国でもそれほど多くない。意外に思うかもしれないが、社内からのCEO登用の方が米国企業でも成功しやすいという事実がある。一方、これだけ経営環境の変化が激しいと社内に必ずしも適任者がいるわけではなく、必然的に社外も含めて候補者を検討しておく必要がある。社外である一定規模の企業のCEOを務めた経営者を有力なCEO候補者として社外取締役として迎え入れるというのは、そうした備えの面もあるのだろう。


WeWork、共同CEO2人と巨額の退職金契約

【記事の注目ポイント】ソフトバンクグループ(SBG)の支援の元、経営再建中のWeWorkは、経費削減のため管理職以外の従業員を対象に数千人規模の人員削減を準備しているとされる。その一方で、同社の取締役会は先月就任した2人の共同CEOと巨額の退職パッケージで合意したと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたとのこと。

【コメント】Retirement Packageは米国のCEO報酬としてそれほど特別なものではないが、さすがに現在の経営状況をみたときにその中身や支払いの条件が気になるところである。SBGとしては、さすがに何らかの目標を達成した上で円満に退職する(解任や突発的な本人の自発的辞任ではない)場合であればという条件は付けているものと考えられる。しかし、従業員からすると人員削減が予定される中で、こうしたニュースを聞くのは心穏やかではいられず、創業者でCEOであったアダム・ニューマンの横暴な振る舞いとここまでそれを野放図に許してきたSBGをはじめとした株主には怒りを禁じえないだろう。


ソニーが新たに「パーパス」(存在意義)を掲げた理由

【記事の注目ポイント】ソニーがESG経営に大きく舵を切っている。「環境」「社会」「企業統治」の各々の分野で、長期的な視点で社会的価値の創出を目指すとともに、社員や株主の期待にも応える戦略だ。

【コメント】「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というのがソニーの掲げる「パーパス」であるとのこと。先日以来、何度か取り上げた米国の経営者団体「ビジネスラウンドテーブル」が「株主至上主義」から「ステークホルダー主義」へと変化する中で、企業の存在意義を問う「パーパス」に注目が改めて集まっている。ただ、こうした取り組み自体は非常に良いことではあるが、多くの場合掛け声だけで留まってしまい、実際に企業の行動レベルで変化を起こすことにはつながらないことが多い。そうした中で、ソニーが役員報酬の算定要素の一つにESG要素を組み入れたことは、本気度の表れとして評価に値する。既に日本企業ではオムロンも同様の取組みを行っているが、今後この動きが他の日本企業にも広がるかどうかが注目される。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?