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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/22)

会社法改正案、修正して22日に可決へ

【注目ポイント】コーポレートガバナンスの強化策を含んだ会社法改正案が、22日に開催される衆院法務委員会で、自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決される見通しとなった。本改正案では、社外取締役の設置義務や株主総会の規定見直しなどが盛り込まれている。

【コメント】「桜を見る会」疑惑に対する野党の追及が本格化するなか、本国会で可決されるかどうか微妙だった会社法改正案が可決成立される方向であるとのこと。これにより日本のコーポレートガバナンス改革は一段と強化される運びだ。会社法改正に伴うコーポレートガバナンス改革に関しては、以下にまとめているので、ご参照を


セブン株急騰の秘策、大物アクティビストが初激白

【注目ポイント】香港のアクティビスト(物言う株主)であるオアシス・マネジメントの創設者で最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏のインタビュー。同氏はインタビュー内で、現在、日本の十数社に対してエンゲージメント活動を行っていることを明らかにするとともに、そのうちの一つとされるセブン&アイ・ホールディングスについては「バリュエーション(株価評価)を上げられる」と断言している。

【コメント】パソナ、出光興産、東芝など数々の日本企業に投資を行い、積極的に経営改善提案を仕掛けているオアシスのセス・フィッシャー氏のインタビュー。2週間に一度の頻度で来日し、投資先企業訪問等を重ねているようだが、注目すべきはインタビューの中で語られた以下の部分だ。

「私が今、日本で目の当たりにしているのは、われわれが企業の価値向上に貢献したいという姿勢を、企業側が理解してくれているということだ。われわれはビジネスを改善するために尽力したい。そのための最良の方法は、お互いに協力することだ。」(中略)「今日の会議でも、真のコーポレートガバナンスの確立や収益改善に向け、どのような独立社外取締役の形が理想なのかについて議論した。」

上記で語られていることのうち、前段では、企業と株主が協調して、より良い経営を討議できるようになってきていることが示され、その上で、後段では、どのような独立社外取締役の形が理想=つまり、経営陣と株主の両面から見て、どのような独立社外取締役が必要なのかを議論したということが示唆されている。

アクティビストが投資先企業に対して経営改善を提案する上で、取締役会や取締役の選任について口を挟むというのは非常に重要な取組みであり、それが実現されたときには、その企業に対するアクティビストの影響力がかなり強くなっていると考えるのが妥当だろう。P&GやGEなど、海外の大企業もアクティビストやその推薦する人物を取締役に迎え入れた後は、明らかに経営の方向性に変化がみられる。セス・フィッシャー氏が今回のインタビューで語っていることが真実だとすると、オリンパスや川崎汽船に続いて、アクティビストから取締役を迎え入れる企業が近いうちに出てくる可能性が高い。


東芝と対峙した香港の投資家に聞く、巨額マネーを動かすインナーサークルの世界

【注目ポイント】大株主に有名アクティビストが名を連ねる東芝。その東芝の経営危機の際に、他のアクティビストと連携しながら、積極的に提案を繰り返したアクティビストがいる。香港のアクティビスト、アーガイル・ストリート・マネジメント最高投資責任者のキン・チャン氏のインタビュー。

【コメント】こちらもアクティビストの投資責任者のインタビューだが、一読した感想としては、アクティビストの世界も結局人間の様々な感情がぶつかり合う世界なのだなという印象を強くした。しかし、こうしたアクティビストが1社でも大変なのに、数社も大株主に名を連ねている東芝は本当に大変だろう。車谷CEOは自身も三井住友から英投資ファンドのCVCキャピタルの日本の会長も務めておられたので、内情は理解できても実際には大変な苦労をされているはずである。


百戦錬磨の常勝アクティビストが語る「反省と新戦略」

【注目ポイント】旧村上ファンドの幹部を務めた丸木強氏が立ち上げたストラテジックキャピタル。現在は、7年間で20%超の運用利回りを実現するなど好成績を達成している。2000年代前半からの投資スタイルの変化には、コーポレートガバナンスコードの施行や他の株主の意識の変化など、外部環境が大きく変わったことも大きいとする。

【コメント】蝶理や図書印刷など、比較的上場企業としては、中堅企業をターゲットとして投資を行っているストラテジックキャピタル。ストラテジックキャピタルのエンゲージメントの特徴は、経営陣や取締役会に対する株主提案や要求を当事者だけでなく、広く世の中に対してオープンにする点である。例えば、以下のように専門サイトを立ち上げて株主としての立場や要求、投資先企業の経営陣とのやりとりなどを公開している。


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